公務労協公務員連絡会は、5月13日午後13時30分から都内・池之端文化センターに地公部会を主体に200人を集め、「2004自治体賃金闘争交流集会」を開いた。
交流集会は、地方財政危機などを理由とする自治体の賃金カットなどが激しくなっているもとで、確定闘争の報告を行いながら、統一的な賃金水準の確保など自治体賃金闘争の交流を行うことを目的としたもので、昨年に続いての開催となる。
交流集会は、水越地公部会幹事の司会で進められた。
主催者を代表して挨拶にたった松島地公部会議長(都市交委員長)は、「公務員連絡会として6月16日に要求を提出して人勧期の取り組みを開始する。民間春闘結果は、大手で定昇を確保したものの、今年の人勧も厳しいと認識している。3年連続の基本給切り下げはなんとしても阻止する。6月の経済財政諮問会議での骨太方針ではさらに給与へ切り込む情勢にある。給与構造の見直し課題もあり、今年の勧告で地域の給与引き下げがでるという危険もある。はっきり地公の賃金に焦点を当てており、自治体での労使交渉の積み重ねが大事だ。予算が組めないなど地方財政は本当に厳しい状況で、地公部会が団結して取り組みを進めていく必要がある」と訴えた。
記念講演では、辻山幸宣地方自治総合研究所主任研究員より「自治体行財政の課題と公共サービスが直面するもの」と題する提起を受けた。氏は、社会の変化に対応した公共サービスの広がりの過程と、財源集中のもとで分配機能を通した政府・与党の支配のメカニズムを明らかにしつつ、今日の財源がないもとで公共サービスのアウトソーシング・市場参入の動向を分析し、公共サービスを担う民間労働者との連帯の重要性を指摘した。
講演のあと、岩本地公部会事務局長が交流集会の基調報告を行い、経済・雇用の分野における2極分化の広がりの中で公務員賃金引き下げ圧力という構造的背景、当面の経済財政諮問会議における地方賃金の切り下げ強要という厳しい情勢、そして2003年確定をふまえた人勧期の課題、公立学校教職員の給与決定の課題、年金制度、公務員制度改革の課題の取り組みについて報告・提起した。
次いで、5人の構成組織代表から闘争報告を受け、各組織が直面している課題について参加者全体の共通認識を深めた。
自治労・千葉保宮城県職委員長からは、経済産業再生戦略という新規事業の財源を捻出するための賃金削減に対して、議会も巻き込んだ取り組みが報告された。
日教組・藤川伸治中執からは、国立大学の独法化にともなう関係諸法改正により、従来準拠することとされた国の基準がなくなったもとで、新しい賃金決定の仕組みの構築の取り組みについて報告があった。
都市交・楢原孝彦横浜交通労組調査部長から、赤字を理由とするバス事業の廃止・民間譲渡に反対し公営事業として存続させるために、5%ダウンした新給料表導入による妥結に至った取り組みが報告された。
全水道・久保田和尊中執から、宇和島市の労働関係に無知・粗暴な管理者による、企業手当廃止問題における不当労働行為、権利侵害に対する総力を挙げた取り組みが報告された。
日高教・小林政至書記長から、日教組と同様公立学校教職員の賃金闘争の取り組みの方向についての報告があった。
集会のまとめには山本事務局長がたち、まず、この日の夜開催される公務員制度改革の政労協議に臨む連合・公務労協の立場と考え方を示した。基本権の議論を排除しない、「大綱」に固執しないことが確認されるなど政労協議の前提は確保されたと判断し、協議を開始する。政労協議では、改革の諸課題をセットで解決することを求めるとともに、ILO勧告事項の前進、協約権保障の明示、当面の人勧制度の民主的改革を求めていくと述べた。また、賃金闘争等の取り組みについて、改めて財政当局、経済財政諮問会議の動向にふれ、労使関係を越えた賃金の切り下げ議論を厳しく批判し、今後の政府への要請、人事院の地域給・給与構造見直しへの取り組みの考え方を明らかにするとともに、その基本において労働者の所得格差を縮めるための地域の労働者と連帯した取り組みを進めていくことが重要であることを提起した。
最後に、松島議長の音頭で団結がんばろうを三唱し、交流集会を締めくくった。
以上