2004年度公務労協情報 4 2003年11月17日

公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

財務省に2004年度基本要求提出−11/17

 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は、17日午後1時30分から財務省主計局給与共済課、理財局国有財産調整課と交渉を行い、「2004賃金・労働条件に関わる基本事項の申入れ」(資料)を提出し、回答を求めた。
 交渉には、財務省主計局から大川給与共済課長・宮崎参事官ほかが、理財局からは籠・小池国有財産課課長補佐がそれぞれ出席した。

 冒頭、公務員連絡会が基本要求事項のポイントを説明し、見解を質した。
 これに対し、給与共済課は次のとおり見解を述べた。
(1)給与改定財源については、昨今の厳しい財政事情の下ではあるが、人勧制度尊重の基本姿勢のもと、引き続き適切に対処していきたい。通勤手当の問題、超過勤務手当の予算についても同様である。
(2)級区分による旅費支給基準については、旅費は実費弁済の性格を有しているものであるが、職員のそれぞれの職域、職制にもとづいて支給されるものでもあることから、級に応じてある程度差が出るのはやむを得ないと考えている。
 宿泊費、移転料の話については、実態調査に基づいて、大幅な開きが出ていると判断したときは改定を行うなど適切に対処していきたい。また、特段の事情のある場合の旅費については、従来どおり適切に対処していきたい。
(3)国庫負担1/2の問題については、年金制度全体の問題であり答える立場にないが、年末の来年度政府予算案決定までの流れの中で決まっていくものと考えている。
 公務員制度の一環としての共済年金制度という点は認識している。年金制度全体として一元化の動きがあるのは承知しているが、具体的なものはまだ出ていない。われわれの共済年金制度が、そのような議論の中でどのような位置づけになるか議論、検討の中で対処していきたい。
 これらの見解に対し、連絡会は、「公務員に対するバッシングの風潮が強いが、現行の公務員給与の仕組みを誤って報道しているところからの議論も多く、そういったものには、財務省としても毅然とした態度で臨んでほしい」「超過勤務については、当面来年度の予算を増額し、将来的にはすべての超勤に手当を支払うという仕組みに転換すべきである」「旅費法46条は現実とあっているのか」などと、さらに質したところ、次の見解があった。
(1)バッシングについては、総人件費の抑制は考えなければならないと思っているが、財務省がバッシングを仕掛けているとか、荷担しているというようなことはない。この問題の一番の問題は、民間経済の動向が悪いと言うことに尽きるのではないか。我々としては、そういった厳しい目にさらされていることは意識していく必要はある。
(2)超過勤務については、各省庁で適切な勤務時間管理をしていただくことに尽きる。昨今の財政事情から超勤予算の増は難しいと考えている。
(3)旅費の基準は、公務出張が過度に贅沢にならないよう設けられているものであるが、具体的な部分として合理性を欠くケースがあれば、個別に対処したい。

 続いて国有財産課は、次のような見解を示した。
(1)公務員宿舎は、宿舎法1条に基づき、公務のために設置しているのが大前提である。宿舎の確保については、戸数としては十分足りているという認識であるが、限られた予算の範囲ではあるが、緊急性の高いものから建替え・整備を行っている。
(2)宿舎貸与基準については、原則の変更は難しいが、平成4年にその一部改正を図るなど改善に努めてきた。
(3)原状回復費用については、平成15年6月6日付で通達を発遣したところであり、これにより一定の改善が図られたと理解している。
 これらの見解に対し、連絡会は、「公務員宿舎というのは、勤務条件性を伴う福利厚生事項だ。それをきちんと認識し、さらに拡充に努めるべきだ」「昨今の公務員バッシングの中で、宿舎に関することも言われているが、理財局として毅然として対応すべきだ」「原状回復については今後もきちんと検証し、必要に応じて新たな基準設定を行うなどの取り組みを進めるべきだ」と、さらに質したが、財務省側は、@バッシングに対しては、明らかに間違いがあるものについては反論しているが、基本的には、事実誤認が多いA原状回復については、きちんと行うべきであると考えており、会議等においてもその旨指示しているので、もう少し様子を見ていただきたい、と答えるにとどまった。
 公務員連絡会側は、最後に、来年度予算編成前後に給与改定費の取り扱い等について情報提供することや本日の申し入れの実現にさらに努力することを求め、この日の交渉を締めくくった。



資料−財務省への基本要求書

2003年11月17日


財務大臣
 谷 垣 禎 一 殿


公務員労働組合連絡会
議 長 丸 山 建 藏



2004年度賃金・労働条件に関わる基本要求事項の申入れ


 日本経済は、景気指標に明るさが見え始めているといわれているものの、デフレ基調に変化はなく、勤労者の雇用と生活の危機は一向に解消されていません。
 一方で、公務員給与に対する「バッシング」と引き下げ圧力がかつてなく強まっており、公務員の賃金・労働条件をめぐる情勢には極めて厳しいものがあります。また、公務員制度改革をめぐる情勢も流動的かつ不透明な現状にあります。
 こうした中で、公務員の処遇を確保・改善するための貴職の役割がますます重要となっています。
 そうした観点から、2004年度の賃金・労働条件改善に関わる基本的な要求事項を下記の通り申し入れますので、誠意を持って協議に応じ、諸課題の解決に全力であたられるよう要請します。



一、給与に関わる事項
(1) 2004年度予算編成に当たっては、歳出削減の観点からではなく公務員の処遇改善の観点にたって人件費予算等を確保すること。
(2) 通勤手当については全額非課税とすること。
(3) 超過勤務等に対する予算を増額するとともに、実態に見合った支給を行うこと。
(4) 級区分による旅費支給基準を抜本的に改めるとともに、実態にあった旅費(宿泊費、日当の増額など)が支給できるよう給付額を引き上げること。また、赴任旅費を含む移転料については、直ちに改善すること。

二、福利厚生施策等に関わる事項
(1) 公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の正確な実態把握を行い、その抜本的な改善・充実を図ること。
(2) 2004年度の予算編成に当たっては、改定された「国家公務員福利厚生基本計画」の着実な実施を図る観点から、職員厚生経費をはじめ、福利厚生施策の改善に必要な予算を増額すること。
(3) 公務員宿舎を重要な福利厚生事項として位置づけ、必要十分な宿舎の確保、貸与基準、現状復帰のあり方等の改善に向けて公務員連絡会と十分交渉・協議すること。

三、年金・共済制度に関わる事項
(1) 公的年金制度の安定と信頼回復をはかるため、基礎年金の税方式への転換を射程におき、2004年財源率再計算において国庫負担を2分の1に引き上げること。
(2) 公務員制度の一環としての共済年金制度の基本的役割、機能を維持すること。

以上