提案に対し、公務員連絡会側は、@人事院としては昨年報告に示された考え方にあるように給与構造の見直しの中で地域給与を位置づけていると理解してよいか、A昨年来、何が何でも民間準拠という対応がはびこっているが、公務員が民間をリードしてきた面があることや公務サービスをどうしていくのかという視点で検討すべきではないか、などと人事院の考えを質した。
これに対し山野局長は、@地域給与の見直しは給与全体の見直しの中に位置づけないといけないという趣旨であり、地域給与を見直すために給与構造を見直すということではない、A見直しを行う趣旨は、今、公務員バッシングがあるから、それに乗って見直そうというものではない。民間準拠、情勢適応が公務員給与決定の大原則であるが、職員にインセンティブを持ってもらうことや、行政だから効果的に行う必要もある。民間準拠ではあるが、公務の特殊性を踏まえることや、ドナー休暇のように公務が先導することも当然ある。率直に言うと、給与構造を時代にあった、それぞれの職員が満足し、国民の理解が得られるものにしていく必要がある、との考えを示した。
示された考えを受けて、山本事務局長から、@財政諮問会議の建議書や骨太方針2004で公務員給与に言及され、本来労使で決めるべき賃金を政治的に方向付けるような見直し手法は問題であり、人事院は第三者機関としての立場を堅持して作業を進めるべきである、A春の段階で総裁から適正な水準が確保されているとの回答があったし、6月16日に人勧期要求を提出したときも総裁との間でやりとりがあり、地域給与の問題は公務員の給与水準をどうするかという話ではなく、配分の問題であると理解しているし、給与構造の見直しの中に地域給与の問題が位置づけられていることを確認しておきたい、B給与構造の見直しは、時代の変化の中で必要であると考えており、その観点から協議のテーブルを設けて、十分な交渉・協議と合意に基づいて進めることを約束してもらいたい、として局長の見解を求めた。
これに対し山野局長は、@使用者、職員双方から意見を聞くことがベースであり、さらに一般の人の意見も聞いて、第三者機関の立場で対応することが基本である、A規模問題は前提であり今年はさわらない、B組合と協議を進めていくことは当然であり、その中で合意をめざしていきたい、として協議テーブルを設けた上で、節々で書記長クラスの交渉を行い、日常的には実務クラス交渉を進めていくことに同意した。
最後に、山本事務局長が「過去に勤評という苦々しい経験があるが、査定昇給を導入するということになれば、評価制度が機能しなければならない。広い意味で人勧制度下における給与決定をどうするかという観点に立って、給与にとどまらず、評価制度に対する労働組合の関与も含めて議論させていただきたい」と要請し、本日の交渉を終えた。
公務員連絡会は、30日の企画調整・幹事合同会議で、地域給与・給与制度見直し問題を本年勧告期の取り組みの重要課題として確認し、当面の取り組みを強化する方針を決定した。
その中で公務員連絡会は、@この問題を勤務条件の重大な変更事項として位置付け「十分な交渉・協議と合意」を得ることを基本に対応するAそのため人事院に対して交渉テーブルを設けることを求めるB本年については拙速な報告・勧告を行わないよう求める、等の対応方針を決定した。
また、これらの取り組みを進めるため、各構成組織書記長等で構成する「地域給与・給与制度見直し対策委員会」を設置し、勧告期の対応を強めることを確認した。
本日、人事院から考え方の提示が行われたことによって、地域給与・給与制度見直し問題に関わる交渉がスタートしたことになる。
公務員連絡会は、交渉後、第1回「対策委員会」を開いて、@人事院の考え方に対する公務員連絡会としての考え方を早急に取りまとめるA7.28給与局長交渉を重要な節目として交渉・協議を追い上げる、ことなどを確認した。
以上