2004年度公務労協情報 51 2004年8月5日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

地公法及び任期付採用法改正の運用について公務員課長と交渉−8/4

 公務員連絡会地方公務員部会は、8月4日、「地方公務員法及び地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律の一部を改正する法律」(以下、「改正法」という。)の運用に関する交渉を実施、公務員課側より上田公務員課長、溝口同理事官が、公務員連絡会側より岩本地公部会事務局長、幹事他が参加した。
 交渉は、冒頭、公務員課より「地方公務員法及び地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律の一部を改正する法律の運用について(公務員部長通知)」の内容についての説明を受けた。その後、地公部会は、以下について見解を求めた。
@現在の臨時・非常勤職員の制度と実態の乖離が自治体における無原則な当該職員の採用により生じているという認識のもと、実際に法制度の趣旨にそぐわない採用が行われても、これを無効とする措置をはかることは法制度上困難であることから、新たな任期付職員の採用については、任期付職員法第4条に規定する要件に厳格化されることを明らかにされたい。
A任期付職員法第5条第2項に規定する業務は、永続性を求められる場合が多く、この場合に係る業務に従事する職員が任期の到来により交代していくことは必ずしも好ましいとはいえない。その意味で、任期付短時間勤務職員について、法制度において再任は否定していないものと認識してよいか。
B新たな任期付職員及び任期付短時間勤務職員の給料表の構造と運用(昇給、昇格)、諸手当の支給については、勤続に基づく経験の蓄積及び能率の向上を反映するという観点から、公務員部長通知を踏まえつつも自治体が適切に判断することとして差し支えないか。
C修学及び高齢者部分休業の申請について、「取得を予定している期間の全体について予め行う」というのは、硬直的すぎる。例えば、修学部分休業においては修学年数が経過するにしたがい、休業する日や時間が授業等に応じて変更していくことが一般的に想定され、また高齢者部分休業においては従事していたボランティア活動の予定外の終了など、都合により変更せざるを得ない事項について、その都度、任命権者の承認を得ることとすべきである。
 これに対して公務員課長は、次のように考え方を明らかにした。
@地公法第17条による任期付採用がまったく不可能なわけではないという点については最高裁判例が判示するとおりであるが、実態においてはこのような形での任期付採用が地方団体において行われていない状況において、今回法定した要件に該当するケースについて任期付採用できるものとするものであり、任期付採用法を根拠とする限り、同法第4条の要件に合致しなければならないことは当然である。
A法律上再任という概念自体がないもの。今まで、任期付短時間勤務職員として任用されていた人が、その任期の終了にあたり、再び競争試験又は選考を経て任用されることはあり得るもの。
B業務に熟練することにより能率が向上した新たな任期付職員又は任期付短時間勤務職員について、例えば3年の任期中一度、査定を経て給料額が増加することはあり得るものと考えている。具体的には、単一号俸を設けた給料表に、「業務に熟練し、能率が著しく向上した任期付職員については、この表の額にかかわらず、人事委員会が定める額をこの表の額に加算することができる。」との備考を追加することが考えられる。昇格については、「特定の業務に従事する」という新たな任期付職員又は任期付短時間勤務職員の性格にかんがみ、例外的なケースを除いてはあり得ないものと考えている。諸手当については、部長通知で通知しているとおりである。
C修学部分休業については、期間がどういう長さになるのか任命権者において把握する必要があるため、あらかじめ取得予定期間を申請することが必要であるが、修学先のカリキュラムに対応できるよう、部分休業を取得する曜日や時間の変更には対応すべきものと考えている。しかし、高齢者部分休業については、任命権者による変更・取消を除き、退職までの取得が制度の前提であり、申請者側の都合によって部分休業を撤回すること、部分休業時間を短くすることなどはできないものである。部長通知と同日付で発出した条例例は、このような趣旨を織り込んでいるものである。

 なお、「地方公務員法及び地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律の一部を改正する法律の運用について」(公務員部長通知)が策定されたことにより、改正法に基づく措置に係る条例化及び具体化についての条件整備がすべてはかられたことになる。

以上