2004年度公務労協情報 60 2004年9月10日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

政府が勧告通りの実施を閣議決定−9/10

 政府は、10日午前9時40分から第2回給与関係閣僚会議を開き、本年の人事院勧告の取り扱いを協議、勧告通り実施する方針を確認。その後、10時から開かれた閣議でその方針を正式に決定した(資料1、2、3参照)。
 総務省は、この閣議決定に基づいて給与法・寒冷地手当法の改正作業に入り、臨時国会の冒頭には法案を提出する予定。また、寒冷地手当の基準日が10月31日であることから、臨時国会の早い段階で改正法案を成立させるよう与野党に働きかけていくこととしている。
 公務員連絡会は、9日に委員長クラスが総務大臣と交渉し、政府が勧告通り実施する方針であることを確認するとともに、幹事会で今後の取り組み方針を確認した。それによると、@法案作成作業や国会審議等に必要な対応を行うとともに、A今後は、独法や政府関係特殊法人、地方公務員の給与確定に重点を移し、取り組みを進めていくこととしている。

資料1 政府の閣議決定内容

公務員の給与改定に関する取扱いについて

平成16年9月10日
閣 議 決 定

1 一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与(寒冷地手当を含む。)については、去る8月6日の人事院勧告どおり改定を行うものとする。
 なお、公務能率及び行政サービスの一層の向上を図るとともに、官庁綱紀の厳正な保持、公正な公務運営の確保に努めるものとする。
2 特別職の国家公務員の給与については、おおむね1の趣旨に沿って改定を行うとともに、本年3月に取りまとめられた内閣官房長官主宰の「幹部公務員の給与に関する有識者懇談会」の報告書の趣旨を踏まえた見直しを行うものとする。
3 1及び2の給与改定については新たな追加財政負担は要しないが、我が国の財政事情がますます深刻化していることを考慮すれば、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を極力抑制するとの基本方針は堅持する必要がある。そのため、行政事務・事業の整理、民間委託、人事管理の適正化等行政の合理化、能率化を積極的に推進する等の措置を講ずる。また、定員については、各府省とも、定員削減計画を上回る大幅な削減に積極的に取り組むことにより、真に必要な部門への適切な定員配置を図りつつ、引き続き国家公務員数の純減に努める。独立行政法人についても、中期目標設定、評価等に当たって役職員数も含めた一層の事務運営の効率化を図る。特に、平成17年度末までに中期目標期間が終了する独立行政法人については、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(平成16年6月4日閣議決定)等を踏まえ、中期目標期間の終了に伴う組織・業務全般の整理縮小、民営化等の検討を進める。さらに、特殊法人等についても厳しい定員削減を実施する。
 地方公共団体についても、国の措置に準じて措置するように要請する。また、地方公共団体に定員の増加を来し、人件費の累増をもたらすような施策を厳に抑制する。
4 独立行政法人(国立大学法人及び大学共同利用機関法人を含む。以下同じ。)の役職員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与水準を十分考慮して適正な給与水準とするよう要請する。独立行政法人及び主務大臣は、総務大臣が定める様式により、役職員の給与等の水準を毎年度公表することとする。また、特殊法人等の役職員の給与改定に当たっても、国家公務員の例に準じて措置されるよう対処するとともに、事業及び組織形態の見直しを通じた給与等の適正化を進めるものとする。特殊法人等の役職員の給与等についても、法令等に基づき、公表を進める。
5 地方公共団体における地方公務員の給与改定に当たっては、現下の極めて厳しい財政状況及び各地方公共団体の給与事情等を十分検討の上、国と同様、行政の合理化、能率化を図るとともに、既に国家公務員又は民間の給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、その適正化を強力に推進するため必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
 また、地域における国家公務員給与の在り方については、人事院において、地域ごとの民間賃金の水準を的確に反映したものとするよう具体化を図っていくこととされており、こうした国の動向にも鑑み、地方公務員給与についても、地域の民間給与の状況をより的確に反映し決定できるよう、人事委員会機能の強化をはじめとしてその在り方を見直し、所要の要請を行うものとする。


資料2 閣議決定に当たっての内閣官房長官談話

内 閣 官 房 長 官 談 話

(平成16年9月10日)

 政府は、本日の給与関係閣僚会議及びそれに引き続く閣議において、一般職国家公務員の給与改定について人事院勧告どおり実施することなどを内容とする本年度の公務員の給与改定の方針を決定しました。
 本年度の勧告は、官民の給与がほぼ均衡していることから、俸給及び期末手当等の改定を見送ることとするほか、寒冷地手当について、支給地域、支給水準をはじめとした制度全体の抜本的な見直しを行うこととするものであります。
 政府は、人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、国の財政事情、民間の経済情勢など国政全般の観点から、国民の理解の得られる適正な結論を出すべく検討を行った結果、本日、勧告通り実施することを決定したところであります。また、併せて、特別職の幹部公務員の給与について、審議会の常勤委員の俸給月額の引下げ等の見直しを行うこととしております。
 これらの給与改定の実施については、新たな追加財政負担は要しませんが、政府としては、ますます深刻化している財政事情等にかんがみ、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を極力抑制するとの基本方針を今後とも堅持する必要があると考えております。そのため、行政の合理化、能率化を一層強力に推進するとともに、定員については、引き続き国家公務員数の純減に努める所存であります。
 公務員諸君は、今回の決定が現下の厳しい諸情勢の下でなされたものであることを十分理解し、今後とも、国民の信頼にこたえ、公務能率及び行政サービスの一層の向上を図るとともに、官庁綱紀の厳正な保持、公正な公務運営の確保に努めるよう強く期待するものであります。


資料3 閣議決定にあたっての総務大臣談話

総 務 大 臣 談 話

平成16年9月10日

 政府は、本日の閣議において、一般職の国家公務員の給与改定について、人事院勧告どおり実施する決定を行いました。また、特別職の審議会委員等の給与について見直しを行うことも決定しました。
 この決定を踏まえ、総務省としては、今後、関係府省との連携を密にしつつ、早急に給与改定法案を国会に提出するよう努力する所存であります。
 また、行政改革に積極的に取り組むことを基本とし、従来にも増して、行政事務・事業の整理、人事管理の適正化等行政の合理化、能率化を強力に推進するとともに、引き続き厳しい定員管理に努めてまいる所存であります。
 地方公務員の給与改定については、国家公務員の給与改定に準ずるべきものと考えます。
 各地方公共団体においては、地方財政が引き続き極めて厳しい状況にあり、その健全化が重要な課題となっていること及び地方公務員の給与のあり方について国民の強い関心が寄せられていることを十分認識し、給与水準等が不適正な団体にあっては、給与制度・運用の見直しを行うなど、必要な是正措置を併せて講ずるべきであります。 また、各地方公共団体においては、引き続き、数値目標を掲げた定員適正化計画の着実な実行及びその積極的な見直しを行うことにより人件費の抑制を図るとともに、自主的・計画的な行政改革の推進と簡素かつ公正を旨とした行政運営に一層努力を払われるようお願いいたします。

以上