公務員連絡会賃金・労働条件専門委員会は、29日13時30分から、寒冷地手当見直しに関わる人事院交渉を実施した。本年の人事院勧告については9月10日に完全実施することが閣議決定され、臨時国会の冒頭に給与法及び寒冷地手当法の改正法案が提出されることになっており、総務省令(寒冷地手当支給規則)の改正勧告も行われることから、経過措置等と合わせて作業状況を質したもので、人事院は宮本参事官のほか給与三課の担当者が対応した。
省令勧告について人事院は、@「寒冷地手当法、寒冷地支給規則(総理府令33)、運用方針(総人局958)」という法令の構成は変えない、A寒冷地手当法は追給・返納、豪雪手当の廃止等の条文整理を行うこととなる模様、B規則では官署指定、扶養親族に含まれない職員、単身赴任職員に準ずる職員などについて規定する、こととし、給与法及び寒冷地手当法の閣議決定・国会提出以降、勧告できるよう作業を進めていると説明した。
また、経過措置については、「今作業を進めているところである」として作業にあたっての基本的考え方を以下の通り説明した。
(1) 経過措置は、旧基準日(本年10月29日)に旧寒冷地に在勤する職員に適用するものであるが、旧寒冷地の支給地以外に異動した時点で適用はなくなる。また、旧基準日の翌日以降の異動者には新制度を適用する。
(2) 人に付く経過措置であり、月の初日を基準として支給額を決定することにするが、支給額の低い地域へ異動した場合には低い方の支給額を、高い地域へ異動した場合には異動前の支給額を適用する。
(3) 新寒冷地に在勤または異動した場合で、経過措置が新法を下回る場合は新法を適用する。
説明に対し、公務員連絡会が@休職者の扱いはどうするのか、A官署指定の作業状況はどうか、B総務大臣が定める単身赴任職員に準ずる職員等はどんなイメージか、を質したのに対し、人事院は@経過措置は在勤が要件であり復職した時点で適用する、A各府省からの要望をチェックしているところであり、国公の対象となる官署は少ない、B単身赴任手当を貰っていなくても実態として単身赴任の状態にある職員や通常は通勤しないような遠距離通勤をしていて家族が遠く離れて暮らしている職員を想定している、という見解を示した。
さらに公務員連絡会は、「報告でふれられている官署指定の居住地要件1km以内は、地公の場合、自治体官署、学校(分校)や郵政公社の郵便局など山間地に多く所在しており、勤務している職員が多く、通勤事情も異なっている。その実態を踏まえ、この要件を弾力的に適用できるよう検討してもらいたい」と強く要求し、ギリギリまで努力するよう求めた。要求に対し人事院は「地方公務員などの実態は伺っている。規定上弾力的な表現は困難ではないかと思っているが、強い要求でもあり、引き続き検討したい」との考えを示した。
最後に、公務員連絡会から「1kmの問題は地方にとっては重い課題であることを受け止めていただいて省令勧告前に再度交渉を持ち、われわれが納得できる回答を示して欲しい」と重ねて要求し、本日の交渉を終えた。
なお、人事院の省令勧告は、改正法案が臨時国会冒頭に提出する段取りで作業を進めていることから、改正法案の閣議決定のあと、行われる予定。公務員連絡会としては、10月上旬にも再度交渉を行い、回答を引き出すこととしている。
以上