2005年度公務労協情報 20 |
2005年3月7日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員連絡会 |
「評価の試行」巡って総務省人事・恩給局の見解引出す−3/7
公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、7日午後4時30分から、戸谷総務省人事・恩給局長と交渉をもち、2月22日の交渉の際に申し入れた事項についての見解を求め
た。
これに対して戸谷局長は、次の通り見解を示した。
1.「評価の試行」と公務員制度改革との関わりについて明確に説明すること。
(1)公務員制度改革は、公務員制度調査会において、その必要性が謳われ、平成13年12月に閣議決定された「公務員制度改革大綱」に基づき、行革事務局を中心にその具体化が進められてきたところであり、これまでに実施に移されたものもあるが、公務員制度の抜本的改革のための改革関連法案については、法案提出には至っていない現状にある。
(2)法案については、引き続き、行革事務局において、制度設計の具体化や関係者間の調整を進め、改めて提出を検討することとされており、総務省としても、行革事務局との連携の下、協力してまいる所存である。また、「評価の試行」等総務省が中心となって取り組むべきとされた事項については、各府省や職員団体等の関係者の理解・協力を得つつ推進していく考えである。
(3)新たな人事評価システムの構築は、公務員制度調査会の答申においても、重要な柱の一つとして取り上げられており、本来、その他の公務員制度の改革に関わる項目の帰趨に関わらず早急に取り組むべきものである。これまで抜本的改革の中で取り扱うことが全体として整合の取れたものとなるという観点から、行革事務局を中心として進められてきたが、抜本的改革案の取りまとめに、なお時間を要する可能性等も否定できないこと、評価自体の課題として実施に向けて取り組むべき課題も相当残されていること等から、一旦切り離して、総務省において担当することとなったものと理解している。
(4)従前、総務庁・総務省において進めていた新たな人事評価システムの構築は、公務員制度調査会の答申の理念を具体化するものとして検討されていたものであり、今後の公務員制度のあるべき姿を目指すという基本的方向性については共通であると認識している。閣議決定においても、当面の取り組みとして行う事項の成果は法制化を含む「公務員制度の抜本的改革」に活用することとされている。
2.「評価の試行」を行政改革推進事務局に代わって総務省人事・恩給局が担当 することとなった経緯を説明すること。
(1)人事評価については、公務員制度調査会の答申以降、総務庁人事局、総務省人事・恩給局が中心となって新たな評価システムの検討を進めていたが、平成13年以降は、公務員制度改革の一環として、行革事務局が中心となって検討・調整が進められてきたものである。
(2)先般の閣議決定に伴い、公務員制度改革本体とは、一旦、切り離して、再び総務省人事・恩給局において、新たな評価システムの検討、試行への取組を進めることとなった。
(3)閣議決定を踏まえて、評価の試行についての進行管理、対各府省・職員団体等との調整の窓口については、人事・恩給局において行うこととしており、この点については行革事務局とも認識は一致している。
3.評価の理念・目的、基本的な枠組み等についての考え方を明確にすること。
(1)新たな人事評価については、「行政活動の一層効果的・効率的な遂行を図る」ために、職員の「自主性を高め、個々の多様な能力を適切に発揮していくことのできる人事管理」を実現することが重要との認識の下、
@評価を通じて「人材の育成・確保と的確な任用」「勤務の結果に対する適切な処遇」「勤務意欲の向上」が図られること、
A評価システムの公平性、客観性、透明性を確保するとともに、その納得性を高めることのできるような仕組みを整備することによって、システムに対する信頼感の向上を図ること、
が必要である旨、人事評価研究会における検討の結果としてとりまとめられている。
(2)その趣旨等を踏まえつつ、公務の世界の実情に即したもので、実際に定着し、機能するものを作り上げていくため、今後、各府省や職員団体等と十分に議論・意見交換等を行いながら検討してまいりたい。
4.評価制度のあり方、試行のスケジュール等について公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意の上で進めることを約束すること。
評価制度のあり方や評価の試行の進め方などについては、労使で十分な意思疎通を図り、相互信頼関係を維持しながら検討を進めることが重要であると認識しており、公務員連絡会の皆様と十分に意見交換を行いながら検討を進めてまいりたい。なお、その具体的な進め方などについては今後相談してまいりたい。
このような見解に対し、公務員連絡会側は、次の点について総務省の考え方を質した。
@公務員制度改革と「一旦、切り離して」ということは、抜本改革は引き続き追求するが、サブシステムとして独自性をもつ評価制度を検討するという理解か。
A今回の評価制度の検討に行革推進事務局が関与することはないと理解していいか。B総務省人事・恩給局が取り組もうとしているのは、「新たな人事評価制度」という理解でいいのか。
C「納得性を高めることのできるような仕組み」の検討には、労使関係のあり方についても含まれると考えるがどうか。
D今後の協議において、誠意をもって対応し、納得が得られるよう努力するという姿勢を明確に示してもらいたい。
これに対し総務省人事・恩給局は次のように回答した。
@公務員制度の抜本的改革のための議論については、「評価の試行」の中で並行して行われることが期待されるところである。
A「評価の試行」の窓口を総務省人事・恩給局が行うことについては、行革推進事務局とも認識は一致している。
B現行制度の部分改善ではなく、「新しい評価制度」を白紙から議論していく必要があるという考え方である。
C労使関係制度それ自体の議論は困難だが、評価システムの整備の観点で労使関係のあり方を議論することは必要であると考える。
D評価制度が機能するためには、組合の理解が重要であり、誠意を持って対応し、納得が得られるよう努力することは重要である。
総務省側のこうした見解に対し、公務員連絡会側は「今後の試行を巡る協議の中で実際に誠意を示すことが重要だ。本日の見解では、公務員制度改革と試行との関わりが未だ不明確だが、サブシステムの独自性の範疇での検討として受け止める。今後の対応については、重要な事項なので機関に持ち帰って協議し、後日回答する」とし、局長の見解を持ち帰って協議し、対応方針を決定するとの見解を示し、この日の交渉を締めくくった。
公務員連絡会としては、本日の交渉経過を踏まえ、直近の企画調整・幹事合同会議で今後の対応方針を協議することとしている。
以上