2005年度公務労協情報 25 2005年4月12日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員連絡会

本年民調における非正規労働者調査について人事院と交渉−4/12

 公務員連絡会賃金・労働条件専門委員会は、12日13時30分から、本年の民間給与実態調査の内容について、人事院の森永参事官と交渉した。これは、3月8日に行われた職員団体審議官との交渉で、本年民調実施に向けて「スタッフ職や非正規労働者の実態を調査するかどうかについて検討している」との考え方が示されたことから、民調全体の交渉に先立って「非正規労働者調査」の検討状況を質したもの。
 冒頭、石原賃金・労働条件専門委員長から「本年の民調全体の内容については、別途交渉して考え方を質すが、本年新しく検討されている非正規労働者に関わる調査の内容を明らかにしていただきたい」として、人事院の考えを質した。
 これに対し森永参事官は、以下の通り答えた。

(1) 民調全体については別途説明するが、今日は、本年の民調で行いたいと考えている非正規労働者の調査について説明したい。
 民間企業では非正規労働者が増えており雇用者の3割に達している実態があり、国会でもこうした状況を踏まえて公務員給与の決定に当たってどう考えているのかという指摘があった。このため、人事院としても、まず実態把握をする必要があるということで調査することにしたものである。
(2) 去年の民調では派遣社員の調査を行ったが、本年は調査対象企業が契約・雇用している契約社員、日雇い、パートがそれぞれ何人いるかを調査したいと考えている。

 説明に対し公務員連絡会側は、次の通り、質問、要望した。
(1) 賃金水準や労働時間は調査しないのか。
(2) 非正規労働者の割合が多いということになると、さらに賃金も調べて比較するという話にならないか。
(3) 非正規が多く常勤職員割合が少ない結果だと「企業規模100人以上、事業所規模50人以上」という比較対象を見直すことにつながる恐れがあるのではないか。
(4) 民間では非正規労働者が多いのに対して、公務の方は雇用のポートフォリオが硬直化していてそうでないということになると非正規をもっと活用しろという話にもなってくるのではないか。
(5) 春の局長との交渉では非正規労働者と比較することは元々なじまないとの話であったがその点に変わりはないか。
 これらに対し参事官は次の通り答えた。
(1) 今回は人数の調査であり、労働時間の実態や、賃金水準は調べない。
(2) 現在の民調ではカバー率5割以上を基本にしており、非正規労働者が多くなるとそれが下がってしまうことがあるかもしれない。いずれにしても、現在の官民比較では公務の常勤職員と非正規労働者をつきあわせるのは不適当との考え方であるが、非正規労働者の数が相当出てきた場合、将来、比較すべきかどうか、どういう者が比較の対象となりうるのかを含めて検討することはある。その際、公務員連絡会と協議することは当然だ。
(3) 国会では、比較企業規模との関係で論議されたのではなく、賃金水準の低い人が増えているので、比較対象にすべきではないかとの議論と認識しているし、直接企業規模の問題には関わってこないのではないか。
(4) 公務でも派遣やパートが相当増えている実態にあると認識しているが、それなのになぜ人件費は減らないのかという議論をする人もいると聞いている。
(5) 今回はあくまで実態を把握するための調査であり、非正規労働者も比較に加えることを前提にした調査ではない。

 以上の論議を踏まえ、公務員連絡会から「本年の調査は、@非正規労働者の人数を把握するための実態調査であり、水準調査は行わないことA従って官民比較のあり方に直接結びつくものではないこと、を確認する。それを前提として、本年の実態調査についてはやむを得ないと考えるが、今後、調査結果の取扱いについては公務員連絡会と十分に協議していただきたい」と確認、要望するとともに、「民調の基本に関わる事項であるにもかかわらず、秋の基本要求に対する回答では一切言及せず、本年3月になって突然提起されたのは遺憾である。今後は、このようなことのないよう早めに示し十分な議論をさせていただきたい」と提起が遅れたことに対して遺憾の意を表明した。これに対し参事官が、「早く示すべきとの要望は承った。本年の調査結果の取扱いについても承った」との見解を示したことから、これを確認し、後日民調全体の交渉を行うこととし、本日の交渉を終えた。

以上