公務員連絡会は、5月18日に「措置案」が提示されて以降、人勧期方針の議論と平行して対応を検討してきたが、2日に開いた「地域給与・給与制度見直し対策委員会」で、「措置案」の内容が「素案」の内容と変わらない以上、人事院との今後の交渉に臨む姿勢はこれまでの基本的スタンスを堅持する必要があるとして、@俸給表を引き下げる地域給与見直し案ではなく、合意できる見直し案を提案することA新たな評価制度の整備なき査定昇給は行わないことB十分交渉・協議、合意し、一方的勧告は行わないこと、などを申し入れることを確認した。
この確認に基づいて公務員連絡会は、3日午後、対策委員会の下の実務作業委員会が人事院鈴木職員団体審議官に対して、「地域給与・給与制度見直しの『措置案』に対する申入れ」(別記参照)を行った。
冒頭、岩岬対策委員会事務局長が申入書を手交し、その内容を説明するとともに、「しかるべき時期に回答をいただきたい」として、審議官の見解を求めた。
これに対し鈴木審議官から、「昨年来、人事院としての考え方を説明してきたが、今日改めて申入れをいただいたので、引き続き皆さんと議論して参りたい」との考えが示された。
最後に、岩岬事務局長から「措置案が示されたことで、組合員からいよいよ大変だという反応が返ってきており、公務員連絡会としては不退転の決意で今後の交渉・協議に臨むつもりだ。われわれの気持ちをしっかりくみ取っていただいて、対応していただきたい。15〜16日にはブロック代表が上京して人事院交渉を行うことにしているので誠意を持って対応していただきたい」と要請し、申入れ交渉を締めくくった。
公務員連絡会では、本日の申入れを踏まえ、今後、人事院との交渉・協議を一段と強めることとしている。まず、6.15〜16にはブロック別代表の交渉が行われ、7月6〜8日にはブロック別上京行動が配置されている。これらと平行して対策委員会の交渉も強化し、申入れの実現をめざすこととしている。
別紙.人事院への申入書
2005年6月3日
人事院総裁
佐 藤 壮 郎 殿
公務員労働組合連絡会
議 長 丸 山 建 藏
地域給与・給与制度見直しの「措置案」に対する申入れ
貴職は、5月18日、本年の勧告に向けて、地域給与・給与制度見直しの「措置案」を提示しました。
われわれは、この間、俸給表水準を引き下げる地域給与の見直しを行わないことや、新たな評価制度が整備されるまでは査定昇給制度等は拙速に勧告しないよう求め、交渉・協議を積み重ねてきました。しかし今回の「措置案」では、こうしたわれわれの意見が全く受け入れられず、昨年11月に示された素案と基本的に同様の内容の勧告に向けた考え方が、一方的に示されたことは極めて遺憾といわざるを得ません。
公務員給与をめぐってさまざまなバッシングがなお吹き荒れており、本年の勧告は極めて厳しい環境におかれています。政府・与党は、このバッシングに乗じて、より一層、公務員の総人件費を削減する動きを強めており、公務員給与は国民負担増で財政再建を進めるためのスケープゴートと位置づけられ、いまや完全に「政治の道具」として取り扱われています。
このように、政府が公務員給与を政治的に取り扱うことは、自らが労働基本権制約の代償措置を否定するものであり、到底許されることではありません。われわれは、政府・与党のこうした動向に対して、人事院が毅然とした姿勢を貫き、本来の使命を発揮することを強く求めます。
以上のことから、地域給与・給与制度見直しに関わる今後の作業に当っては、下記事項を実現するよう強く申し入れます。
記
1.地域給与見直しに当たっては、地域別官民較差に基づく俸給表水準の引下げを行わず、合意できる見直し案を提示すること。
2.職務・職責重視の給与制度見直しに当たっては、納得性のある職務評価や格付け手法と手続きを検討すること。昇給カーブのフラット化については、その根拠を明確にするとともに、段階的に進めること。
3.「勤務実績の給与への反映」等の給与制度見直しについては、4原則2要件を具備した評価制度を確立することとし、本年については拙速な勧告は行わないこと。
4.地域給与・給与制度見直しに当たっては、公務員連絡会と十分交渉・協議、合意し、一方的な勧告は行わないこと。
以上