公務労協は6月10日、経済財政諮問会議に対し、「基本方針」取りまとめに係る要請書(別紙)を提出した。「社会保障の給付抑制」や「総人件費削減」を盛り込まないなど、2日の決起集会で採択した6項目の要請事項の実現を求めたもの。今月20日にも、経済財政諮問会議が「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」(「骨太方針2005」)を取りまとめるという状況にあることから、同諮問会議の事務局に対し竹中担当大臣宛の要請書を提出、後日、大臣と交渉することにした。
なお、要請には、組合側から宮入副事務局長らが参加、井内参事官が対応した。
(別紙)
2005年6月10日
経済財政諮問会議
議 長 小泉純一郎 殿
担当大臣 竹中 平蔵 殿
公務公共サービス労働組合協議会
議 長 人見 一夫
「基本方針2005」取りまとめに係る要請
貴職には日頃より公務関連労働組合に対しご理解を賜り敬意を表します。
さて、経済財政諮問会議では、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」の取りまとめに向けて精力的な審議が行われ、「小さくて効率的な政府、グローバル化と少子高齢化への対応、民需主導の経済成長」を主内容とした検討が大詰めを迎えていると報道されています。
私たちは、市場原理主義による弱肉強食の格差社会を容認できません。個人では引き受けきれないリスクを自己責任に転嫁することは、「政=まつりごと」に対する中央・地方の政府・行政の責任を放棄するものであり、公共を解体するものです。
求められていることは社会・経済構造の変化に対応した「公共」を再構築することです。ナショナルミニマムとして保障される公共サービスの水準、量、質、供給主体と形態、行政の役割などについての国民的論議と合意形成が急がれるべきであって、政治主導の美名に隠れ一部財界人と学者の意見で国民生活の基盤である年金、医療、介護など社会保障を財政再建の犠牲とすることは認められません。
また、賃金等は労使間で取り決められる労働契約であり、公務員にあっても労使対等の立場で決定することは国際的にも確立された原則です。ILOは累次の勧告において、日本の公務労使関係制度は国際基準を満たしていないことを指摘しその改善を求めています。国際世論は、常任理事国入りを目指す政府が、批准されている国際条約を遵守するのか否かにも注目しています。
つきましては以下の点を申し入れますので実現されますよう要請いたします。
記
一、国民生活と社会、経済成長の基盤である社会保障制度について、マクロ経済指標による給付抑制など財政再建・歳出削減の手段としないこと。
一、公共サービスを企業利益追求の手段とし、利用者の参画とコントロールが効かない民営化への横断的手法である市場化テストの導入や法制化を行わないこと。
一、行政活動の人的基盤である公務員の定員・人件費削減を自己目的化した「総人件費改革の基本方針」を基本方針2005に盛り込まないこと。
一、公務員の労働基本権が制約されている下では、人事院勧告制度を尊重し、その意義と役割を踏まえ、公正に取り扱うことを明確にすること。
一、基本方針2005に公務員賃金問題を盛り込むのであれば、当該関係者の意見表明の会を保障し、労使関係制度の改革と合わせ公務員賃金のあり方、決定制度など基本的方向を確定するための「政労協議の場」を設置すること。
一、ILO国際労働基準に基づき労働基本権を付与し、国民・市民への説明責任を果たす公務労使関係制度確立を含む透明で民主的な公務員制度への改革を進めること。
以上