公務員連絡会は14日午後、2005人勧期の第3次中央行動を実施した。この行動は、6〜8日に行われたブロック別上京行動に続くもので、地域給与・給与制度見直しを巡る厳しい情勢を打開すべく行われたもの。午後1時30分から日比谷大音楽堂で行われた中央集会には、全国の仲間3,500人が結集した。集会を終えた参加者は、人事院交渉を支援する部隊と霞ヶ関一周のデモ行進部隊に分かれてそれぞれ行動。人事院に対する怒りのシュプレヒコールをあげた。これらの行動と併行して行われた書記長クラスと人事院給与局長との交渉で公務員連絡会側は、6.3申入れや6月23日の人勧期要求の実現を強く迫ったが、人事院の姿勢は極めて固く、この日の交渉で前進は見られなかった。公務員連絡会としては、人事院から誠意ある回答を引き出すべく、さらに7.22第4次中央行動を強化することとしている。
午後1時30分から日比谷大音楽堂で行われた第3次決起集会は、築城副議長(国税労組委員長)を議長に選出して始められた。
主催者挨拶にたった人見副議長(自治労委員長)は、「政府が閣議決定した骨太方針は、公共サービスを切り捨て、公務員の総人件費を一方的に削減しようとしている。人事院の地域給与・給与制度見直し内容がその圧力に屈したものであってはならない。本年の人勧期の闘いは大詰めを迎えている。残された期間精一杯闘い抜こう」と、2005人勧期の山場に向けて全力で闘い抜くことを訴えた。
続いて連合から激励挨拶に駆けつけた須賀総合労働局長は、「労働基本権を制約したまま、政治の思惑で水準引下げを行うのは極めて問題だ。民間賃金の水準は確実に底上げしている。本年の春闘の総仕上げとして人勧期の闘いをがんばってもらいたい」と、民間と公共部門が一体で闘い抜くことを訴えた。
基調提起では山本事務局長が、「6月23日に要求書を提出して本格的に人勧期闘争を進めてきた。しかし、勧告を巡る情勢は極めて厳しく、人事院の姿勢は固い。公務員連絡会は13日、地域給与・給与制度見直し闘争委員会を開いて情勢分析を行い、当面の対応方針を確認した。地域給与見直しについては人事院が俸給表水準を引き下げる勧告を強行する可能性が高く、勤務実績反映の給与見直しについても交渉は膠着状態で、考え方を変えていない状況だ。公務員連絡会としては、あくまで@俸給表水準引下げの地域給与見直しには反対し、合意できる再提案をすることA評価制度の整備なき査定昇給等は本年勧告しないこと、という基本姿勢を堅持し、今後は、厳しい情勢に対応して、措置案の問題点や矛盾点を追及する交渉も進める」と、今後の取り組み方針を提起した。
これらの提起を踏まえて構成組織決意表明では、自治労(君島副委員長)、全水道(二階堂関東地本書記長)、税関労連(唐島中央執行委員)、国交職組(三浦書記次長)の代表が登壇し、最後まで公務員連絡会に結集して闘い抜く決意を表明した。
集会は最後に、人見副議長の音頭で団結がんばろうを三唱して一旦締めくくり、参加者はデモ行進と交渉支援行動に出発、「給与水準を守れ!」「地域給見直しはやめろ!」「一方的勧告はするな!」とシュプレヒコールをあげた。
その後、参加者は再び日比谷大音楽堂に結集して総括集会を行い、人事院給与局長交渉の経過報告を受け、人見副議長の音頭による団結ガンバロウでこの日の行動を締めくくった。
この日行われた人事院給与局長との交渉経過は次の通り。
<人事院給与局長交渉の経過>
人事院山野給与局長との交渉は、午後2時30分から行われ、公務員連絡会側は書記長クラス交渉委員が臨んだ。
冒頭、山本事務局長が、「公務員連絡会として6月3日に申入れを行い、6月23日に人勧期要求を提出し、地方代表の交渉を進めてきた経過にたって、地域給与・給与制度見直しに関わる4点の要求事項に対する局長見解を求めたい」とし、局長の見解を求めた。
これに対して、山野給与局長は、以下の通り回答した。
(1) 今回の地域給与見直しは、全国ベースの官民比較による較差に基づいて勧告するという従来の基本スタンスを変更するものではなく、地域別の配分を民間給与の傾向により合わせようとするものである。民間の地域格差については、賃金センサス等で20%から40%程度まで、様々な意見がある。しかし、人事院としては、@ブロック別のラスパイレス比較に基づく較差を参考指標のひとつとし、A賃金センサスにおいても、同質性が高い職種では上下20%程度の地域格差となっていることから、地域給与の格差を上下20%程度に拡大することが適当であると考えている。その方法としては、複数の案を提示して職員団体など各方面からの意見を求めてきたが、全体水準を一旦引き下げて、高いところには手当で回復する方法しかなく、現行の調整手当方式の延長上の方式(地域手当)が最も適当であると判断したところである。
(2) 給与カーブのフラット化については、早期立ち上がり型を実現するため、これまでベアで対応してきたところである。しかし、現在はベアがないことや、民間企業において職務職責を重視した給与体系に移行してきたこともあり、今回の給与構造の見直しの提案の内容で進めたいと考えている。
(3) 勤務実績反映の給与への見直しについては、本格的な評価制度の整備は人事院としても引き続き検討するが、総務省を中心に関係者間で話し合いが行われており、それも進めてもらいたいと考えている。人事院としては、当面、それが整備されるまでは暫定的措置として、昇給、勤勉手当における勤務成績の判定をより実効あるものとするため、現行の運用の改善をめざしていきたいと考えている。
(4) 十分な話し合いの要望については、これまでもそうであるが、今後とも誠意を持って対応していきたいと考えている。
これらの回答に対して、公務員連絡会側は、さらに、次の通り局長の考え方を質した。
(1) 今回の俸給表水準の引き下げ提案については、「処分でもないのになぜ減給されるのか」「通常業務が減少している訳でもないのに、一律に減給されるのはなぜなのか」という率直な疑問から、俸給表水準を一律に引き下げる今回の措置については、受け入れられないというのが現場の声であり、これをきちっと受け止めた提案をしてもらいたい
(2) 能力・実績を本格的に処遇に反映させるには、評価制度の整備が必要であるというのは、われわれと共通認識であると考える。にもかかわらず、今回の勤務実績の給与への反映の提案内容は、それなしに、当局の裁量で一方的に格差を拡大するものになりかねない。われわれは、今回の提案は労使関係や処遇のあり方の基本に関わるものと受け止めており、措置案は受け入れられない。
(3)「本府省手当は、キャリア官僚を優遇するだけにしかならない」と現場からの多くの指摘があり、これについても撤回してもらいたい。
しかし局長の答弁は従来の範囲内に終始し、納得のいく回答は得られず、議論は平行線に終わった。
また、公務員連絡会側から、行(二)俸給表の見直しに当たっては、昇格の実態や水準に十分配慮してもらいたい、としたのに対しては、局長は「事務レベルで作業しており、十分検討したい」との見解を示した。
公務員連絡会側は最後に、「俸給表水準を引き下げる地域給与見直しや評価制度の整備なき勤務実績の給与への反映などについては、現状では到底認めることはできない。人事院としても、われわれの強い姿勢を踏まえ、残された期間はあまりないが、ぎりぎりまでわれわれの要求実現に向け最大限努力するよう求める」と述べるとともに、以下の措置案の問題点や追及点について、人事院として検討の上、7月22日の局長交渉の際に回答するよう求めた。
(1) 地域や公務員の生活に与える影響を考慮して俸給表の引き下げ率を極力抑制すること。
(2) 枠外昇給制度の廃止にともなう影響を最小限に止めるための措置を実施すること。
(3) 制度的に矛盾する「55歳定昇ストップ」措置を廃止すること。
(4) 地域手当の指定地域を可能な限り拡大するための基準設定を検討すること。現行の調整手当の支給地域であって地域手当の指定地域とならない地域については、当分の間、指定地域とすること、ならびに経過措置を検討すること。
(5) 勤務実績への給与の反映については、本年、勧告や規則化等の措置を絶対行わないこと。
(6) 制度的に整合性のない本府省手当については撤回すること。
(7) 激変緩和措置としての「現給保障」を実施すること。
また、これらに加え、22日には、本年の官民較差や勧告内容、勧告日等についての見解を示すことも合わせて求めた。
これに対して、局長は「時間的には厳しいが、誠意を持って検討したい」と答えたことから、この日の交渉を終えた。
以上