2005年度公務労協情報 7 2004年11月11日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人事院・総務省に2005年度基本要求提出−11/11

 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は、11日午後、人事院職員団体審議官と総務省人事・恩給局次長に対して2005年度の賃金・労働条件改善に関わる基本要求を提出し、12月中旬までに回答するよう求めた。この基本要求は、来年度の賃金・労働条件の改善に関わる基本政策の確定を求めて毎年秋に行っているもの。本年については、人事院との間では、すでに地域給与・給与制度見直しを巡って交渉・協議が再開され、公務員給与バッシングや骨太方針2004で総人件費の抑制方針が強められているもとでの厳しいやり取りとなることが想定される。公務員連絡会は、本日の要求提出を期に、来春闘や人勧期の闘いに結びつくような回答引き出しに向けて交渉・協議を強めることとしている。なお、財務省については18日の提出を予定している。

<人事院職員団体審議官との交渉経過>
 公務員連絡会は、午後1時30分から、人事院に「2005年度賃金・労働条件に関わる基本要求事項の申入れ」(別紙1)を提出し、交渉を行った。公務員連絡会からは幹事クラス交渉委員が臨み、人事院からは鈴木職員団体審議官、宮本参事官が対応した。
 冒頭、公務員連絡会の岩岬副事務局長から、基本要求事項のポイントを次の通り説明し、12月中旬には回答するよう求め、現時点での人事院の見解を質した。
(1) 人事院が11月2日に提示した「給与構造の見直し(素案)」に対して、本日午前中、別途、申入れを行ったところであるが、申入れ事項に基づき、十分交渉・協議し、合意の上で検討作業を進めることとし、拙速な勧告を行わないよう要請する。
(2) 民調の比較対象企業規模については、本年春闘時に、現行の官民比較の枠組みを維持することを総裁回答として示しているが、引き続き、来年度についても堅持することを要求する。
(3) 公務における雇用創出型・多様就業型の本格的なワークシェアリングの実現については、2003年度の申入れ事項として申入れを行い、これまで実現をすることを求めてきたところであるが、総論ではなく、各論に踏み込んだ具体的な検討が行われるよう強く要請する。
(4) 職業生活と家庭生活の両立支援策に関わる人事院報告事項について、具体的な要求を取りまとめてきた。内容については@規則改正を行うものA法改正が必要なものB引き続き制度内容についての検討が必要なもの、の3つに区分けできる。人事院としても報告事項をこれらの区分に従って精査し、いつまでに実施するかの明確な回答を示してもらいたい。

 これに対し、鈴木職員団体審議官は「要求の趣旨は承った。然るべき時期に回答したい。本日は、現時点での私レベルでの回答を行いたい」とし、次のとおり考え方を示した。
(1) 地域給与・給与制度の見直しについては、別途、話し合いの場を設けて、意見交換をしていきたい。
(2) 民調の比較対象企業規模についての本年春闘回答は、本年勧告に向けての回答であるが、来年度についても現時点で変更することは考えていない。
(3) 現時点で、本年報告を行った職業生活と家庭生活の両立支援策の内容について、いつ実施するということは明言できない。早期に検討を行い、成案が得られたものから実施していきたい。
(4) その他の要請事項については、12月の回答の際にお答えしたい。

 これに対し公務員連絡会側は、@地域別にラスパイレス比較を行う方法については信頼性がない。不安定な数値でもって地域格差があるというのはいかがなものか。公務員給与がこれまでに果たしてきた社会的役割を考えれば、俸給表水準を引き下げることは認められないA通常、規則改正事項であれば、暦年での実施が常識であり、あまり時間がない。法改正についても来年4月実施となれば意見の申出は急ぐ必要がある。12月中旬の回答前に仕分けを行い、事前の協議ができるよう作業を急いでもらいたいB非常勤職員への育児休業制度、介護休暇制度の適用が困難であるとの見解は、公務の非常勤の実態からして納得できない。是非、前向きな検討を行ってもらいたい、などと人事院の見解を質した。
 これに対し、鈴木職員団体審議官は、@給与比較を行うにあたって、20〜30%の格差があるという議論に対して、職種などの重要な要素があるということで検討を進めてきた。ラスパイレス比較については、ある程度のサンプル数が必要であるが、利用可能な指標ということで考えれば、現時点では、最も信頼性のあるものである。どの程度の安定性があるのかということについても確認していくことになるだろう。地域給与の見直しについては、国家公務員の給与については公務部内における配分ということだけでは、国民の納得と理解が得られなくなってきており、より地域の民間の賃金実態に近づけていくことが望ましいということである。それを実現していく方法としては、全国共通俸給表を維持し、水準を引き下げる方法が、穏当なやり方ではないかと考えるA本日の時点では、いつとは言えないが、内部的には、通達事項、規則事項など段階的な検討を進めているが、いろいろと必要な手続き等もある。回答前に協議を行うことについては承ったので部内で検討したいB人勧期にも回答したとおりであるが、臨時・緊急の必要で任用されるという非常勤職員としての性格等を考慮すれば、民間法が予定している有期労働者とは趣旨が異なっており、現時点において、適用を認めることは困難であり、今回は見送るということである。しかし、改めて、みなさんから強い要望があったことを踏まえ、今後民間の実施状況もみながら引き続き検討していきたい、などと回答した。

 最後に、公務員連絡会側は「なぜ地域給与の見直しが必要なのかということについては、人事院とわれわれの間に共通認識がない。したがって、なぜ地域給与見直しなのかなどの基本的な点について議論を尽くす必要がある。それなしに人事院が具体化作業に走ることになれば大変なことになる。本日の申入れ事項については、来年春闘期により具体的な話し合いができるよう、12月中旬には回答を示してもらいたい」と要請し、本日の交渉を終えた。


<総務省交渉の経過>
 総務省人事・恩給局に対する申入れ(別紙2)は、午後3時から行った。総務省は、森人事・恩給局次長ほか担当参事官らが対応した。
 冒頭、公務員連絡会が基本要求の重点事項を以下の通り説明し、12月には回答するよう求めた。

(1) 総人件費抑制がいろんな形で押し寄せてきている。年末に策定する新行革大綱には、定員削減、地域給与の見直し、総人件費抑制も盛り込まれると聞いている。本年、新たに「総人件費抑制策をやめ」という表現を付け加えたのは、地域給与にとどまらない広がりが出てきたからだ。公務員の使用者という立場でどう対応していくかについて基本的な考えを示していただきたい。
(2) 退職手当の問題については、内部で検討を始めるということであれば、われわれと十分交渉・協議を行っていただきたい。
(3) ワークシェアリングについて、2002年から議論をさせていただいているが、2005年度を目標としているので、ぜひ実現していただきたい。
(4) 福利厚生経費については、厳しい財政事情にもかかわらず少しずつ増額されてきたが本年は止まってしまった。来年は再度増額となるよう努力していただきたい。
(5) 現在の高齢再任用制度は行き詰まってきているが、民間で高齢継続雇用制度が導入されることもあるので、改善していくための交渉・協議を始める必要がある。そのため、まず、実態調査を行うべきである。
(6) 男女平等参画については、いろいろな政策が打ち出されているが、総務省としても積極的な対応をお願いしたい。次世代育成対策についても、これまでの経緯を踏まえ、中身の議論をしながら進めていただきたい。
(7) 公務員制度改革については、今国会への法案提出はないと受け止めているが、総務省としてどう考ええているのか見解を聞かせていただきたい。

 これに対して森次長は、「内容は多岐にわたっており、それぞれ重要な項目なので、時間をいただいて誠心誠意検討させていただきたい。本年度の給与取扱については、10月27日に改正法案が成立し、28日公布・施行となり、29日の旧寒冷地手当支給日に間に合った。この間の皆さんのご理解とご協力に感謝したい。来年度以降も、労働基本権制約の代償措置たる人事院勧告を尊重するという基本姿勢で、意見交換をしながら対応して参りたい。申入れ内容について、誠意を持って検討し、しかるべき時期に回答を申し上げたい」と答えた。
 公務員連絡会から、さらに@高齢再任用制度について公務が率先して改善する必要があること、A総務省として公務における不払い残業をなくすための指導を行うこと、B女性の採用・登用の拡大について各省を指導して数字的にも男女平等参画の進展が見えるようにすること、C定員はこれ以上切りようがないという立場で対応すること、などを要望し、今後、折衝を積み重ね、12月には明確な回答を行うよう求めて交渉を終えた。



別紙1.人事院への基本要求書

2004年11月11日



人事院総裁
 佐 藤 壮 郎 殿


公務員労働組合連絡会
議 長 丸 山 建 藏


2005年度賃金・労働条件に関わる基本要求事項の申入れ


 日本経済は、景気の回復局面にあるといわれているものの、デフレ基調に変化はなく、勤労者の雇用と所得は一向に改善されていません。また、本年の給与勧告については、月例給・一時金とも改定見送りとなり、6年ぶりに年収が確保されることとなったものの、一方で「骨太方針2004」に見られるように、政府は公務員の総人件費抑制政策を一段と強めており、公務員給与を巡る情勢は引き続き厳しいものがあります。
 こうした中で、貴職が労働基本権制約の代償措置としての立場を堅持し、公務員の処遇改善に向けた役割を果たすことが、いまほど求められているときはありません。
 貴職は、本年の報告で「給与構造の基本的な見直し」の「たたき台」を、11月2日には「素案」を提示しました。われわれは、地域別官民較差を考慮した全国共通俸給表水準の引下げについては、公務員の生活や地域経済に与える影響からして到底受け入れられません。いずれにしろ、給与構造の見直しは重大な勤務条件の変更であり、十分な交渉・協議と合意を前提とすべきであり、拙速な勧告は行うべきではないと考えます。
 以上のことから、2005年度の賃金・労働条件改善に関わる基本的な要求事項を下記の通り申し入れますので、誠意を持って協議に応じ、諸課題の解決に全力であたられるよう要請します。



一、給与に関わる事項

1.給与構造の見直し等について
 貴職が11月2日に提示した「給与構造の基本的見直し(素案)」に対する公務員連絡会の申入れに基づき、十分交渉・協議し、合意の上で検討作業を進めることとし、拙速な勧告は行わないこと。

2.給与水準及び体系等について
(1) 給与水準の確保
@ ゆとり・豊かな生活が確保でき、その職務の責任や仕事の内容にふさわしい社会的に公正な給与水準を確保すること。
A 当面、2005年度の給与勧告においては、公務員の生活を維持・改善する給与水準を確保すること。
B これらを実現するため、勧告作業並びに官民比較方法を抜本的に改めること。比較対象企業規模については、2004年春季要求書に対する総裁回答の姿勢を堅持すること。
C 男女共同参画促進のための処遇上の改善措置について総合的に検討すること。
(2) 公正・公平な配分
 配分については、別途人事院勧告期に提出する要求に基づき、公務員連絡会と十分交渉し、合意すること。
(3) 一時金について
 期末・勤勉手当の調査・比較方法を抜本的に改善し、月数増を実現すること。


二、ワークシェアリングの実現、労働時間並びに休暇、休業に関わる事項

1.公務のワークシェアリング及び短時間勤務制度の早期実現について
(1) 2002年11月8日に提出した申入書に基づき、2005年度中に公務に雇用創出型・多様就業型の本格的なワークシェアリングを実現すること。そのための制度的な検討 ・研究に着手すること。
(2) 「多様な勤務形態に関する研究会」の審議にあたっては、次の事項を実現すること。
@ 研究会の審議にあたっては、勤務形態が重要な労働条件事項であることを踏まえ、公務員連絡会の意見を十分聞く機会を設け、その意見を反映すること。また、報告等のとりまとめにあたっては、公務員連絡会と十分協議すること。
A 今後の審議課題については、現行の勤務時間制度の基本問題、公務におけるワークシェアリングや非常勤制度の改善も視野に入れたものとすること。また、本格的な「短時間勤務制度」を最優先課題とし、その早期実現に向けた検討を行うこと。

2.労働時間短縮、休暇制度改善、総合的休業制度の確立等について
公務におけるワークシェアリングの実現に向け、@年間総労働時間1,800時間体制Aゆとり・豊かな時代にふさわしい個人の価値を尊重する休暇制度の拡充B少子・高齢社会に対応し自己啓発・自己実現や社会貢献を促進するための総合的な休業制度、などを実現すること。

3.勤務時間制度について
 勤務時間制度に関わっては、当面、次の事項を改善すること。
(1) 休暇の取得手続きについては、公務員の休暇権をより明確にする形で抜本的に改善すること。
(2) 官庁執務時間と勤務時間の関係については、「閣令6号」に基づく一律・画一的な官庁執務時間体制を改め、官庁執務時間と勤務時間を切り離して、実態に則した官庁執務時間に改めること。
(3) 勤務時間の「割振り」の変更にあたっては、重要な勤務条件事項として必ず事前に労働組合と交渉・協議すること。

4.2004年の報告事項の早期実現について
2004年の報告で提言した「職業生活と家庭生活の両立支援策」について、下記の通り実現すること。
(1) 育児を行う職員の部分休業の拡充策
@ 部分休業の子の対象範囲を小学校就学前までに拡大するとともに、一日の時間数を引き上げ、週単位の弾力的な取得が可能な制度とすること。
A 2005年度4月1日から拡充策が実施できるよう早期に意見の申出を行うこと。
(2) 育児を行う職員の短時間勤務制度の早期実現
育児を行う職員の短時間勤務制度を2005年度中に実施できるよう検討を急ぐこと。
(3) 育児を行う職員の早出・遅出勤務等
@ 育児を行う職員の早出・遅出勤務、在宅勤務については、公務員連絡会及び当該組合と十分交渉・協議し、制度設計を行うこと。また、あくまで本人の希望に基づくものとすること。
A 使用者側の裁量権の拡大につながる、管理者の判断による勤務時間の弾力的な割り振りについては行わないこと。
(4) 妻の産前産後の期間における育児のための特別休暇等
 妻の産前産後の期間における育児のための特別休暇については10日間とし、2005年1月1日から実施すること。
(5) 子の看護休暇の取得方法の改善
子の看護休暇について時間単位の取得が可能となるよう、早急に規則を改正すること。
(6) 介護を行う職員の両立支援策
介護を行う職員についても、育児を行う職員に準じて、短時間勤務制をはじめ、必要な両立支援策を早急に実施すること。
(7) 非常勤職員の育児・介護休業制度
@ 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の改正に合わせ、非常勤職員に育児・介護休業制度を適用すること。
A 非常勤職員の子の看護休暇を早急に実現すること。


三、福利厚生施策等に関わる事項

 公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の正確な実態把握を行い、その抜本的な改善・充実に向けた提言を行うこと。


四、男女平等の公務職場実現に関わる事項

1.公務の男女平等の実現を人事行政の重要事項と位置づけ、職業生活と家庭生活の両立支援、女性公務員の採用、登用の拡大、女性の労働権確立や環境整備などを積極的に推進すること。
2.「女性国家公務員の採用・登用拡大に関する指針」に基づいて各府省ごとに策定された「女性職員の採用、登用拡大計画」が着実に実現するよう各府省を指導すること。
3.女性の労働権確立にむけ、次の事項を実現すること。
(1) セクシャル・ハラスメント防止など、職場環境の整備を進めること。また、女性の職務範囲を拡大すること。
(2) 産前休暇を8週間、多胎妊娠の場合の産後休暇を10週間に延長すること。また、妊娠障害休暇を新設すること。
4.政府の「少子化対策プラスワン」を踏まえ、職業生活と家庭生活の両立に向けた支援策として取得率の数値目標等を明確にした育児休業の男性取得促進策を報告す ること。
5.次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画」の策定に当たって、勤務条件を所管する立場から、関係省庁と連携し、積極的な役割を果たすこと。


五、公務員制度改革に関わる事項について

 「新たな公務員人事管理の実現に向けて」の具体化にあたっては、公務員連絡会と十分協議を行うこと。


六、その他

1.民間における高齢者雇用継続制度の導入を踏まえ、高齢再任用制度の定着と拡大のための施策を引き続き推進し、雇用と年金の接続をはかること。
2.改正された障害者雇用促進法に基づき、2005年度における障害者雇用を着実に実施すること。
3.公務における外国人の採用を拡大すること。
4.非常勤職員及びパート職員等の処遇については、「均等待遇」の原則に基づき改善すること。


別紙2.総務省への基本要求書

2004年11月11日



総務大臣
 麻 生 太 郎 殿

公務員労働組合連絡会
議 長 丸 山 建 藏



2005年度賃金・労働条件に関わる基本要求事項の申入れ


 日本経済は、景気の回復局面にあるといわれているものの、デフレ基調に変化はなく、勤労者の雇用と所得は一向に改善されていません。また、本年の給与改定については、月例給・一時金とも据え置きとなり、6年ぶりに年収が確保されることとなったものの、一方で「骨太方針2004」に見られるように、公務員の総人件費抑制政策が一段と強められており、公務員給与を巡る情勢は引き続き厳しいものがあります。
 こうした中で、公務員の処遇を確保・改善するための使用者としての貴職の役割がますます重要となっています。
 そうした観点から、2005年度の賃金・労働条件改善に関わる基本的な要求事項を下記の通り申し入れますので、誠意を持って協議に応じ、諸課題の解決に全力であたられるよう要請します。




一、給与に関わる事項
(1) 総人件費抑制政策をやめ、ゆとり・豊かな生活が確保でき、その職務の責任や仕事の内容にふさわしい社会的に公正な給与水準を確保すること。当面、2005年度においては、公務員の生活を維持・改善する給与水準を確保するよう、使用者の責任において努力すること。
(2) 退職手当制度の見直しに当たっては、公務公共サービス労働組合協議会(略称=公務労協)と十分交渉・協議を行い、その合意に基づいて作業を進めること。
(3) 超過勤務等に対する予算を増額し、実態に見合った支給を行うこと。
(4) 2005年度予算編成に当たっては、独立行政法人を含め公務員給与改定財源を確保すること。

二、ワークシェアリングの実現、労働時間並びに休暇に関わる事項
1.公務のワークシェアリング並びに短時間勤務制度の早期実現について
 2002年11月8日に提出した申入書に基づき、2005年度中に公務に雇用創出型・多様就業型の本格的なワークシェアリングを実現すること。また、短時間勤務制度を実現するため、公務員連絡会との協議を行うこと。

2.労働時間短縮、休暇制度改善、総合的休業制度の確立等について
 公務におけるワークシェアリングの実現に向け、@年間総労働時間1,800時間体制Aゆとり・豊かな時代にふさわしい個人の価値を尊重する休暇制度の拡充B少子・高齢社会に対応し自己啓発・自己実現や社会貢献を促進するための総合的な休業制度、などを実現すること。また、改正された「国家公務員の労働時間短縮対策について」の着実な実施を図ること。

三、福利厚生施策等に関わる事項
(1) 公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の正確な実態把握を行い、その抜本的な改善・充実を図ること。
(2) 改定された「国家公務員福利厚生基本計画」の着実な実施を図るため、政府全体としての実施体制を確立し、使用者としての責任を明確にして積極的に対応すること。
(3) 2005年度の予算編成に当たっては、職員厚生経費をはじめ、職員の福利厚生施策の改善に必要な予算を増額すること。

四、在職期間の長期化並びに高齢者再任用制度に関して
(1) 天下りをなくすため、在職期間の長期化に積極的に取り組むこと。
(2) 民間における高齢者雇用継続制度の導入を踏まえ、定員の弾力的扱いなどを含め高齢再任用制度の定着と拡大に取り組み、雇用と年金の接続をはかること。また、再任用者の実態調査や再任用希望調査を行い、実態把握に努めること。

五、男女平等の公務職場の実現に関わる事項
(1) 公務の男女平等参画の促進を人事行政の重要事項と位置づけ、女性公務員の採用、登用の実態を正確に把握・公表し、採用や幹部職員への登用、女性の労働権確立や環境整備などを積極的に推進すること。
(2) 「女性国家公務員の採用・登用拡大に関する指針」に基づいて各府省ごとに策定された「女性職員の採用、登用拡大計画」が着実に実現するよう各府省を指導すること。
(3) 政府の「少子化対策プラスワン」を踏まえ、職業生活と家庭生活の両立に向けた支援策として取得率の数値目標等を明確にし、育児休業の男性取得を促進すること。
(4) 次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画」の策定に当たって、使用者の立場から、関係省庁と連携し、労使協議の促進などについて積極的な役割を果たすこと。

六、公務員制度改革に関わる事項
(1) 公務員制度改革については、「公務員制度改革大綱」を撤回し、「政労協議」の確認に基づいて十分な交渉・協議を行い、その合意により民主的で透明な公務員制度改革案をとりまとめること。
(2) ILO勧告に基づき、労働基本権制約の立法政策を根本から見直し、公務員の労働基本権、団体交渉に基づく賃金・労働条件決定制度を確立すること。また、国際労働基準違反と指摘された現行法制の見直しについて直ちに協議を行うこと。

七、その他の事項
(1) 改正された障害者雇用促進法の改正に基づき、2005年度における障害者雇用を着実に実施すること。
(2) 公務における外国人の採用を拡大すること。

以上