公務労協山本事務局長ほか構成組織書記長は、19日午後5時から、行革推進事務局の上田公務員制度等改革推進室長と交渉・協議をもち、総人件費改革の実行計画の策定に向けた室長の見解を質した。この交渉は、16日の松田行革推進事務局長交渉で、「総人件費改革に関わることについては行革事務局のなかの公務員制度等改革推進室長が交渉・協議の当事者」として、交渉窓口が確認されたことを受けて実施したもの。
冒頭、山本事務局長が、現時点における実行計画の検討状況を質すとともに、中馬担当大臣との交渉を早期に実現するよう要請したのに対し、上田室長は、「総人件費改革の実行計画については、各府省との調整は詰めの段階となっており、今日明日中に与党の理解を得られるよう対応している状況にある。内容については、『行政改革の重要方針』の中に『総人件費改革の実行計画等』という章を設けて、その中に『総人件費改革の実行計画』と『公務員制度改革』という節を設けて書き込むことにしており、前者の内、純減目標の達成に関わって、新規採用の抑制やスリム化に伴う配置転換の仕組み等を構築すべく、内閣官房で検討を行うことを盛り込むことにしている」と答えた。
これに対し公務労協側は、@行政改革推進法(スケジュール法)とはどういう関係になるのかA純減等の具体化はスケジュール法の提案時点である3月か、それとも骨太方針を決めることとなる6月かB新たな有識者会議のメンバーは独法の有識者会議が横滑りということも言われているが、労働組合の代表も入るべきC「大胆な整理」を行うとされる3分野については、現在すでに厳しい削減計画を実行中であり、これ以上となると雇用問題が発生する。市場化テストでも同様なことが想定されることを踏まえ、使用者としての政府として雇用・労働条件問題について明確で統一的な方針を示すべきではないかD地方公社等の独法化や公立大学等の民営化も書き込もうとしているが決定権は各自治体にあり、問題ではないかE今回の実行計画に盛り込まれる事項は多岐にわたっていてわかりにくいので、どこに決定権がありどこと交渉したらいいのか明確にしてもらいたい、などと室長の見解を質した。
これらの質問等に上田室長は次の通り答えた。
(1) スケジュール法のコンセプトは諸々の改革テーマをピン留めするということであり、今回の重要方針に盛り込まれる事項については何らかの形で書き込むことになるが、重要方針閣議決定即法案書き込みではなく、精査の上ということである。
(2) 具体化は6月までに行うことにしており、所管府省からよく事情を聞いて行革推進事務局として検討することになるが、新たな有識者会議でチェックしてもらうプロセスを取り、最終的には行政改革推進本部決定ということになる。
(3) 有識者会議のメンバーについては年明けの早い段階で行革推進本部長決定という形で決めることになるが、新しい分野もあるので、これまでと全く同じメンバーということにはならないのではないか。
(4) 配置転換なしに純減は難しいと考えており、雇用の確保について専門的に検討する組織を作って対応したいと思っている。たまたま行政改革でなくなる組織にいたからといって、公務員を辞めるということにならないよう、対応していきたい。なお、雇用対策や配置転換が必要な場合についてはその理由に関わりなく対応するということであり、市場化テストの結果、必要になった場合も考えていきたい。
(5) 地方自治体の問題については、違憲・違法でない限り自治体の判断であり、政府としては要請するということである。
(6) 細かい点についても十分に説明できるよう努めたい。
以上の議論を踏まえ、最後に山本事務局長が「中馬大臣との交渉をできるだけ早く実現していただきたい。計画の実行に当たっては、労働条件の重大な変更につながることであり、政府として統一的に対応していただきたいので、関係閣僚会議を設置することも含め、われわれと政府の間でいろいろなレベルでの交渉・協議をお願いしたい」と求め、本日の交渉を終えた。
以上