2006年度公務労協情報 19 2005年12月24日
公務公共サービス労働組合協議会

政府が「行政改革の重要方針」閣議決定−24日
−公務労協は「声明」発出し26日に抗議打電行動実施−

 政府は、24日、臨時閣議を開いて、2006年度予算案とあわせ「行政改革の重要方針」を閣議決定した。
 この重要方針では、公務員の「総人件費改革の実行計画」として@国家公務員の5年間で5%以上の定員純減A地方公務員の4.6%以上の純減B官民比較方法見直しなどの給与制度改革C独法・特殊法人等の人件費削減D公務員制度改革E市場化テストを含む規制改革・民間開放の推進、などが方針化されている。
 この閣議決定に向け公務労協は、中馬行革担当大臣や行政改革事務局、市場化テスト推進室などとの交渉・協議を重ね、公共サービスの切り捨てを行わないことや公務員の雇用と労働条件の確保を明確にするよう求めてきたが、政府はわれわれの意見を全く反映することなく一方的に閣議決定した。
 公務労協は、閣議決定を前にして、22日に「公共サービスと雇用・労働条件を確保するための闘争委員会」を開き、@24日に政府が閣議決定を強行した場合「抗議声明」を発することA26日(月)に構成組織の各級機関で政府宛の抗議打電行動に取り組むことB総人件費削減施策の具体化に向け闘争態勢を確立し年明けから本格的な取り組みを開始することC2月7日に5千人規模の中央行動を実施すること、などの当面の対応方針を決定した。この闘争委員会決定に基づき、公務労協は24日、別紙資料の通り「声明」を発出した。
 政府は2月上中旬にも市場化テスト法案を、3月中旬には「行政改革推進法(仮称)」(スケジュール法)を国会提出し、閣議決定の具体化を図ろうとしている。公務労協としては、これらの法案に対する闘いを含め、公共サービスを切り捨て公務員に雇用不安をもたらす「小泉構造改革」に対決する取り組みを全力で進めることとしている。


資料

「行政改革の重要方針」閣議決定に対する抗議声明


(1)政府は、本日、2006年度政府予算案とともに「小さくて効率的な政府への道筋を確かなものとするため」として、政策金融、特別会計改革、総人件費改革実行計画等9つの柱からなる「行政改革の重要方針」を閣議決定した。「重要方針」は、同方針で示している基本的事項の実行を法律的に担保するべく、2月上旬に「公共サービス効率化法(市場化テスト法)(仮称)」、3月中旬を目途に「行政改革推進法(仮称)」を国会提出するとしている。
 「人件費改革実行計画」は「5年間で5%定員純減」をはじめ、公務員賃金水準の見直しなど、先に経済財政諮問会議が決定した「総人件費改革の基本指針」をなぞったものであり、「行革推進法案」、6月の「06骨太方針」を焦点と定めて具体化作業を進めるとしている。

(2)日本社会は今、耐震構造偽装事件、鳥インフルエンザ問題、BSE牛肉問題、アスベスト問題、相次ぐ児童殺傷事件等によって、「安心と安全」という暮らしの土台がもろくも崩壊し、社会の持続可能性が危ぶまれる深刻な現実を突きつけられている。
 こうした事態は、主権者・国民に対し政府が負うべき第一の責務、即ち家庭の経済力格差や都市部・山間部など居住地に関わらず「健康で文化的な生活をおくる」ために公共サービスを権利としてあまねく享受できるよう人的・制度的基盤を確立すること、を放棄する「小さな政府と市場原理主義」政策によってもたらされたものである。

(3)閣議決定された「重要方針」はナショナルミニマムとして保障されるべき公共サービスの水準、量、質、供給主体と形態、行政の役割などについての検討もなく、定員削減と賃金引き下げを自己目的化した「公共サービス解体宣言」と断ぜざるを得ない。これは最も基本的な政府の責任を放棄し、安心と安全の確保を「自己責任」に転嫁するものであり到底容認できない。
 更に看過し得ないことは、再三の申し入れにも拘わらず5400万人の雇用労働者とその家族の意見が全く聞かれることなく決定されたという、民主的手続きの否定である。
 とりわけ雇用・労働条件については、公務員にあっても労使対等の立場で決定すべきとの原則が国際的にも確立されており、日本政府はILOからも累次の勧告において公務労使関係制度の改善を強く求められているにもかかわらず、かかる事態を黙殺し、「行政改革の重要方針」を一方的に閣議決定した。公務労協は、政府に対し、強い憤りと抗議の意を表明し、その撤回を求めるものである。

(4)公務労協は、公務員の使用者としての責任を明確にしない政府に対し、深い怒りを持って責任を追及し、雇用と労働条件確保のために総力を挙げて闘うものである。 公務労協は、行政システムと公務員制度の抜本的改革が緊急不可欠であると考える。
 公務労協は、連合とともに、良質な公共サービスの確保、労働基本権・民主的公務員制度の確立のために、たとえ痛みを伴うものであっても国民の目線に立った改革の先頭に立って取り組むことを宣言する。

 2005年12月24日

公務公共サービス労働組合協議会

以上