公務労協書記長クラスは、2月9日午後5時から市場化テスト法案の閣議決定に対し、市場化テスト推進室の河室長と交渉を行った。
冒頭、山本事務局長が「忙しくて交渉の時間がないとのことで本日この時間になってしまった。交渉の実現は多とするが、閣議決定ぎりぎりでは意見反映ができない。はなはだ遺憾だ」とした上で、今後の法案のスケジュール、内容等について政府側の説明を求めた。
これに対して河室長は、「この2週間作業に忙殺されて交渉の機会を持てなかった、誠に申し訳ない」と釈明した上で、「法案は『競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案(公共サービス改革法案)』として、明日(10日)閣議決定し、速やかに国会に上程する予定である。国会審議の扱いは、行政改革推進法案等との合同審査を行うべきとの意見もあるようで、現段階では不明である。予算関連法案ではあるが、いわゆる日切れ法案ではないので3月一杯に成立しなければならないものではない。また、制度が適切に動くように皆さんの協力をお願いしたいし、お気づきのことがあれば知恵をお借りしたい」と述べた。
ついで、閣議決定予定の法案等資料(別紙)を示し、その概要について説明した。
これに対し公務労協側は、この間の議論を踏まえ、市場化テスト法案およびその運用については、前提として@良質なサービスが安定的、継続的に提供されること、Aサービスの受け手(ユーザー)が、サービスの質、提供形態への関与を担保されること、Bサービス従事者が官であれ民であれ、ディーセントワークが担保されること、この3つが充足されていなければ賛成できないとの立場を表明した。
やりとりの中で、公務労協の質問に対して室長は以下の見解を示した。
(1)実施のプロセスが基本であり、サービスの質の維持を重視する。落札による契約は複数年度の契約である。
(2)第3者機関としての監視委員会は、国家行政組織法8条の委員会であり、委員は、識見を有するものの中から非常勤として総理大臣が任命する。
(3)民間落札事業者の職員は「見なし公務員」となるが、これは刑法上の公務員扱いである。
(4)公務員の雇用問題については、一般的には配置転換と採用抑制で対応することになる。政府における担当は従前通り(人事・恩給局等)である。
(5)契約条件に加えて追加の支出は、契約変更を伴うものであり想定していない。やむを得ない事情で変更する場合は、契約した各省の判断となる。
(6)いわゆる「1円入札」が起こることは想定していない。現在の価格が公表されるし、複数年度の契約なのでそういう入札は起こりえないと思う。
最後に、公務労協は「本日の説明だけでは了解できない」と表明した上で、閣議決定後も必要に応じて意見交換を行うことを確認し交渉を終えた。
以上