公務員連絡会地公部会は、13日14時50分から、人事院の民間給与実態調査における比較企業規模の扱い(小規模事業所調査)に関する申入れを行った。
公務員連絡会側は、地公部会の山岸副議長(都市交委員長)、金田企画調整委員(自治労書記長)、岩本地公部会事務局長、地公部会幹事が出席し、全人連側は、内田会長(東京都人事委員会委員長)はじめ、都道府県人事委員会のブロック代表および政令市の代表者が対応した。
冒頭、山岸地公部会副議長は、要請書を手交し、以下の通り要請の趣旨を述べた。
人事院は今年の民調から、従来の比較企業規模に基づく調査のほか小規模事業所についても調査する意向を示しているが、公務員連絡会は「比較企業規模を変更しないとした昨年6月23日の総裁見解を堅持すべきで、小規模調査については反対であり一方的に準備作業を進めることは認められない」との態度を表明し、反対の取り組みを進めている。
一方、地方公務員の給与については、総務省に設置された「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」で、人事委員会機能のあり方を含めて検討中であることや、職員団体との十分な交渉・協議もないことから、人事院の一方的な小規模事業所の調査については、公務員連絡会地方公務員部会としても反対である。民間給与実態調査は人事院と人事委員会の共同調査であり、人事委員会として、要請書の趣旨を理解の上、格段の尽力を頂きたい。
続いて、岩本地公部会事務局長が、要請書(別紙)の課題について説明し、全人連としての努力を求めた。
地公部会からの要請に対し、内田全人連会長は、以下の通り回答した。
平成18年2月13日
要請に対する全人連会長回答
ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。
早速、全国の人事委員会にお伝えいたします。
官民給与の比較方法のあり方については、昨年末に閣議決定された「行政改革の重要方針」に比較対象事業所規模の見直し等が盛り込まれるなど、各方面の関心は極めて高いものがあります。
現在、国においては、総務省における「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」、人事院における「官民給与の比較方法の在り方に関する研究会」「給与懇話会」などで、地方公務員給与のあり方、官民比較のあり方等について検討が為されており、比較対象とする企業規模など、民間給与実態調査にかかる事柄についても議論されているところです。
民間給与実態調査は、公務員の給与水準を民間と比較検討するための基礎資料を作成するため、人事院及び各人事委員会が共同で実施しているものでございます。
調査内容の変更は、公務員の給与水準の決定に影響を及ぼすことも考えられることから、全人連といたしましても、引き続き、これらの検討の状況を注視していくとともに、必要な点については人事院、各人事委員会とも十分な意見交換を行ってまいりたいと考えております。
また、各人事委員会におきましても、各々の自治体の実情を踏まえ、調査の納得性をより高めていく観点から必要な検討を行い、準備を進めていくことになるものと考えております。
申し上げるまでもなく、人事委員会の重要な使命は、精確な公民比較を行い、公務員の給与等の勤務条件について、社会情勢に適応した適正な水準を確保することであると認識しております。
公務員の給与を取り巻く環境は引き続き厳しい状況ではありますが、本年も中立かつ公正な第三者機関として、その使命を果たしてまいる所存でございます。
以上でございます。
(別紙)全人連への要請書
2006年2月13日
全国人事委員会連合会
会長 内 田 公 三 様
公務労協公務員連絡会地方公務員部会
全日本自治団体労働組合
中央執行委員長 岡部謙治
日本教職員組合
中央執行委員長 森越康雄
日本都市交通労働組合
中央執行委員長 山岸 晧
全日本水道労働組合
中央執行委員長 佐藤幸雄
全国自治団体労働組合連合
中央執行委員長 玉野一彦
日本高等学校教職員組合
中央執行委員長 早川良夫
民間給与実態調査における比較企業規模の扱いに関する要請書
貴職の地方自治確立、地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
さて人事院は、2006年度の民間給与実態調査を実施するに当たり、調査対象を小規模事業所にまで拡大するなど比較企業規模の変更を予定し、人事委員会との協議を行うとしています。
人事院の比較企業規模等の見直しは、政府の総人件費改革に対応したものと考えられますが、中立第三者機関としての存在意義に疑問さえ抱かせるものであります。
現在、人事院は、「給与懇話会」「官民比較方法の在り方に関する研究会」を設置し検討中であり、地方公務員の給与については、総務省の「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」において検討されており、比較企業規模等調査の変更等に当たっては、これらの研究会の結論を踏まえるべきであります。職員団体との合意に基づいた対応が必要であり、一方的実施は許されません。また、調査体制や勧告日にも大きく影響を与えかねず、十分な検討が必要です。
民間給与実態調査に関し下記のとおり要請しますので、貴職におかれましては、その実現にご努力頂きますようお願いします。
記
1.2006年民間給与実態調査において、比較企業規模の見直し、小規模事業所調査を行わないこと。人事院に対して、小規模事業所調査は困難である旨の対応を行うこと。
2.官民比較方法のあり方の検討に当たっては、職員団体との十分な交渉・協議に基づくこと。
以上