2006年度公務労協情報 28 2006年2月16日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人事院総裁、総務大臣に2006春季要求書を提出−2/16

丸山議長(左)が竹中大臣に要求書手交 公務員連絡会は、16日、委員長クラス交渉委員が竹中総務大臣や佐藤人事院総裁と会い、春季要求書を提出し、2006春季生活闘争を正式にスタートした。総務大臣への要求書では、政府が検討を進める総人件費削減政策に関わって公共サービスと雇用確保を強く求め、人事院に対しては官民比較方法の基本的な枠組みを堅持するよう強く求めている。今後、3月2日の幹事クラス交渉、3.14中央行動時の書記長クラス交渉などを節々で配置し、3月23日には政府、人事院から回答を引き出すこととしている。
 この日の人事院総裁、総務大臣交渉の経過は次の通り。

<人事院総裁交渉の経過>
 16日午前11時から行われた佐藤人事院総裁との交渉には、丸山議長他委員長クラス交渉委員が出席し、春季要求書(資料1)を手交した。
 要求提出に当たって丸山議長は、次の通り述べ、今春闘の最大課題となっている小規模企業調査を実施しないことや官民比較方法の見直しを行わないよう強く求めた。
(1) 政府が進める構造改革路線によって、格差拡大と二極化が進行し、「ライブドア事件」や「耐震偽装事件」などに見られるように国民生活の安全・安心が損なわれ、社会的不安が著しく高まっていると言われている。また、日本経済は、企業業績に回復が見られつつあるものの、依然として家計にはその実感がない状態が続いている。こうした状況を打開するために連合は、2006春季生活闘争において1%以上の成果配分とパートなどの処遇改善をはじめ、格差解消と国民生活に安心と安全を取り戻す政策の実現を求めて懸命な取り組みを進めている。
(2) 公務員を巡っては、政府が「行政改革の重要方針」を閣議決定し、向こう5年間で5%以上の定員の純減を実施する総人件費改革の実行計画の具体化が進められようとしている。また、政府は公務員給与の水準引下げに結びつく官民比較方法の見直しを人事院に要請しているが、これは労働基本権制約の代償機能のあり方に圧力を加えるものであり、極めて遺憾といわざるを得ない。
(3) 貴院は、「官民給与の比較方法のあり方に関する研究会」や「給与懇話会」を設けて官民比較方法のあり方の検討をすすめているが、中立第3者機関としての人事院が、政府の要請を受けて、歴史的・制度的に確立されてきた現行のラスパイレス方式や企業規模など官民比較方法の基本的な枠組みを見直すことは、絶対にあってはならない。その意味において、本年の民間給与実態調査における小規模企業調査の実施についても強く反対する。
 昨年の人事院勧告期の要求提出(6月23日)に当たって総裁は、「現行の比較企業規模は、民間会社の従業員の過半数をカバーしており、このような状況に大きな変化がなければ適当なものと考えている」と、当面、企業規模の見直しは考えていないとの見解をわれわれに示した。政府の進める総人件費削減政策によって公務員の雇用と労働条件が危機的な状況にある今こそ、この基本姿勢を堅持し、労働基本権制約の代償機能を十全に発揮することを強く求める。
(4) その他、賃金改善や育児・介護職員の短時間勤務の実現、超勤問題の抜本的解決など課題は山積している。公務員連絡会は、2月2日に開いた第1回代表者会議の決定に基づき、下記の通り2006年春季の要求を提出する。本日の要求提出を機に、これから事務当局との交渉を積み重ね、3月23日には、総裁から直接、春の段階の誠意ある回答を頂きたい。
 続いて事務局長が要求の重点を説明、諸課題解決に向け十分交渉・協議するよう求めた。

 これに対して総裁は、「要求は承った。それぞれの課題については、十分公務員連絡会の意見を聞きながら進めていきたい。また、官民比較方法のあり方の問題についても、よく話し合いながら検討を進めたい」と、今後、公務員連絡会と十分交渉・協議していくとの見解を述べた。

<総務大臣交渉の経過>
 竹中総務大臣への要求提出は、同日午後1時50分から国会内で行われ、委員長クラス交渉委員が出席した(資料2)。
 要求提出に当たって丸山議長は、2006春季生活闘争全体の情勢に触れた後、次の通り考え方を述べた。
(1) 公務員を巡っては、昨年末、政府が「行政改革の重要方針」を閣議決定し、総人件費改革の実行計画を含む行政改革推進法案の作業が進められており、いわゆる市場化テスト法案はすでに国会に提出された。これらの法案は、国民生活の安全・安心、安定に関わる公共サービスと公務員の雇用に重大な影響を与えるものである。にもかかわらず、当該労働組合との十分な交渉・協議もなく一方的にとりまとめられたものであり、極めて遺憾といわざるを得ない。
(2) また、政府は公務員給与の水準引下げに結びつく官民比較方法の見直しを人事院に要請している。しかしこれは、大臣も出席した1月16日の政労協議において、労働基本権のあり方を含む幅広い検討をすすめることをわれわれに約束しながら、一方で労働基本権制約の代償機能のあり方に圧力を加えるものであり、決して認めることができない。
(3) 公務における2006春季生活闘争においては、まずなにより、向こう5年間で5%の定員純減を実施することに伴う公務員の雇用をどうやって確保するのか、それが最重要課題だ。また、公務員の適切な賃金・労働条件を確保し、良質な公共サービスを確立することも当面の重要課題だ。大臣には、公務員の使用者としての責務がある。全力で雇用問題などの解決に当たってもらいたい。
(4) 公務員連絡会は、2月2日に開いた第1回代表者会議の決定に基づき、本日、2006年春季の要求を提出する。本日の要求提出を機に、これから事務当局との交渉を積み重ね、3月23日には、大臣から直接、春の段階の誠意ある回答を頂きたい。

 続いて地公部会を代表して佐藤議長が「住民サービスの第一線で働く職員が誇りを持って仕事に邁進できるよう大臣の格段の努力を要請したい」として次の通り述べた。
(1) 自治体は、公共サービスの水準を確保し、公正で安定的・継続的に住民に提供する責任を負っている。新地方行革指針等に基づき自治体では行財政改革が進められており、実際に地方公務員総数はこの1年間で1.3%減少している。こうした自治体の取り組みを尊重し、国が自治体に押しつけることのないように対応して頂きたい。
また、三位一体の改革が進められてきたが、引き続き地方分権に資する税源委譲をともなう税財政改革が必要である。また、住民にナショナルミニマムを保障するため、地方交付税制度およびその財源保障機能について堅持して頂きたい。
(2) 地方公務員の給与について、過半数の自治体が何らかの給与カットを行っており、人事委員会勧告制度が空洞化している。加えて総務省が地方の人事委員会に対して給与構造の勧告を行わなかった理由等を質していると聞いているが、そうしたことは直ちにやめるべきだ。このことを真剣に受け止め、労働基本権についての議論をお願いするとともに、地方公務員の給与財源の確保について努力頂きたい。
(3) 被用者年金の一元化の議論が政府・与党で進められているが、職員代表など関係者の意見を十分聞いて対応して頂きたい。

 これに対して大臣は、「要求は承った。3月下旬の回答に向けてよく検討したい」と述べ、交渉・協議を積み上げていくことに同意した。


資料1−人事院への要求書

2006年2月16日


人事院総裁
 佐 藤 壮 郎 殿


公務員労働組合連絡会
議長 丸 山 建 藏


要 求 書


 日本経済は、企業業績に回復が見られつつあるものの、依然として家計にはそれが反映されていない状態が続いています。また、政府が進める構造改革路線によって、格差拡大と二極化が進行し、「ライブドア事件」や「耐震偽装事件」などに見られるように国民生活の安全・安心が損なわれ、社会的不安が著しく高まっています。
 こうした状況を打開するためには、2006春季生活闘争において1%以上の成果配分と、パートなどの処遇を改善し、格差を解消して国民生活に安心と安全を取り戻す政策を実現していくことがなにより求められています。
 公務員を巡っては、政府が「行政改革の重要方針」を閣議決定し、向こう5年間で5%以上の定員純減を実施する総人件費改革の実行計画の具体化が進められようとしています。また、政府は公務員給与の水準引下げに結びつく官民比較方法の見直しを貴院に要請していますが、これは労働基本権制約の代償機能のあり方に圧力を加えるものであり、極めて遺憾といわざるを得ません。
 貴院は、「官民給与の比較方法のあり方に関する研究会」や「給与懇話会」を設けて官民比較方法のあり方の検討をすすめていますが、政府の要請を受けて、歴史的・制度的に確立されてきた現行のラスパイレス方式や企業規模など官民比較方法の基本的な枠組みを見直すことは、絶対にあってはならないと考えます。その意味において、本年の民間給与実態調査における小規模企業調査の実施についても強く反対します。
 昨年の人事院勧告期の要求提出(6月23日)に当たって総裁は、「現行の比較企業規模は、民間会社の従業員の過半数をカバーしており、このような状況に大きな変化がなければ適当なものと考えている」と、当面、企業規模の見直しは考えていないとの見解をわれわれに示しています。政府の進める総人件費削減政策によって公務員の雇用と労働条件が危機的な状況にある今こそ、この基本姿勢を堅持し、労働基本権制約の代償機能を十全に発揮することを強く求めます。
 公務員連絡会は、2月2日に開いた第1回代表者会議の決定に基づき、下記の通り2006年春季の要求を提出いたします。貴院におかれては、山積する課題の実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。




1.2006年度賃金要求について
(1) 官民比較方法のあり方について
@ 官民給与の比較方法のあり方の検討に当たっては、労働基本権制約の代償機関としての役割と使命に基づき、2005年春季要求に対する総裁回答並びに2005年人事院勧告に関わる要求書提出の際の総裁見解の姿勢を堅持すること。
A 歴史的・制度的に確立された調査対象企業規模やラスパイレス比較方式など、現行の官民給与比較の基本に関わる基準やルールの変更は行わないこと。
B 本年の民間給与実態調査において、小規模企業調査を実施しないこと。
C 「官民給与の比較方法のあり方に関する研究会」並びに「給与懇話会」の審議に当たっては、公務員連絡会の意見を十分聴取し、とりまとめに当たってその意見を反映すること。

(2) 2006年度の賃金改善について
@ 2006年度の給与改定に当たっては、公務員労働者の給与水準を維持・改善すること。また、水準・配分・体系等について公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意すること。
A 勤務成績の判定についての運用に関わる一般の職員の規則・運用、人事院に対する審査申立手続きの改善など給与構造見直しの残された課題、地域手当・広域異動手当等の制度移行期間中の勧告内容などについては、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意すること。
B 国に雇用される労働者の最低賃金を行政職(一)表高卒初任給並みに引き上げること。また、非常勤職員及びパート職員等の処遇については、「均等待遇」の原則に基づき抜本的に改善すること。

2.労働時間並びに休暇、休業等について
(1) 育児・介護を行う職員の短時間勤務制度等の早期実現について
@ 育児・介護を行う職員の短時間勤務制度の早期実現に向け、定員カウントの弾力化等の調整を急ぎ、年度内を目途に意見の申出を行うこと。
A その他、育児・介護を行う職員の支援について必要な措置を早急に実施すること。

(2) 労働時間並びに休暇、休業制度について
@ 公務に雇用創出型・多様就業型の本格的なワークシェアリングを実現すること。そのため、年間総労働時間1800時間体制を確立すること。
A 自己啓発・自己実現や社会貢献を促進するための総合的な休業制度、などを実現すること。
B 2005年の報告に基づく勤務時間の弾力的な運用に関わる条件整備については、任命権者の一方的な裁量権限の拡大とならないよう慎重な検討を行い、重要な勤務条件事項として公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意すること。
C 厳正な勤務時間管理や抜本的な超過勤務縮減策などについては、2005年の基本要求事項に基づき公務員連絡会と十分交渉・協議、合意し、早急に具体策を取りまとめること。また、所定内勤務時間の短縮について、民間実態を踏まえつつ、検討を促進すること。

3.男女平等の公務職場の実現について
(1) 公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題として位置づけ、必要な施策の確立を図ること。
(2) 取得率の数値目標を明確にした育児休業の男性取得の促進、次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画」の着実な実施に向け、必要な指導を行うこと。
(3) 改定された女性職員の採用・登用拡大の指針の実現に向け、必要な取り組みを行うこと。

4.その他の事項について
(1) 新たな人事評価制度の整備に当たっては、中立・公正な人事行政や勤務条件を所管する立場から、必要な役割を果たすこと。
(2) 公務職場に外国人の採用、障害者雇用を促進すること。そのために必要な職場環境の整備を行うこと。
(3) 刑事事件での起訴にともなう休職や禁錮以上の刑に処せられた場合の失職のうち、公務に関わる事項をはじめ事案の性格によっては任命権者の判断で失職等をさせない措置を行なえるよう、人事院規則を制定すること。


資料2−総務省への要求書

2006年2月16日



総務大臣
 竹 中 平 蔵 殿


公務員労働組合連絡会
議長 丸 山 建 藏


要 求 書


 日本経済は、企業業績に回復が見られつつあるものの、依然として家計にはそれが反映されていない状態が続いています。また、政府が進める構造改革路線によって、格差拡大と二極化が進行し、「ライブドア事件」や「耐震偽装事件」などに見られるように国民生活の安全・安心が損なわれ、社会的不安が著しく高まっています。
 こうした状況を打開するためには、2006春季生活闘争において1%以上の成果配分と、パートなどの処遇を改善し、格差を解消して国民生活に安心と安全を取り戻す政策を実現していくことがなにより求められています。
 公務員を巡っては、政府が「行政改革の重要方針」を閣議決定し、総人件費改革の実行計画を含む行政改革推進法案の作業が進められ、いわゆる市場化テスト法案が国会に提出されました。これらの法案は、国民生活の安全・安心、安定に関わる公共サービスを切り捨て、雇用不安を惹起するものであるにもかかわらず、当該労働組合との十分な交渉・協議もなく一方的にとりまとめられたものであり、極めて遺憾といわざるを得ません。また、政府は公務員給与の水準引下げに結びつく官民比較方法の見直しを人事院に要請していますが、一方で労働基本権のあり方を含む幅広い検討を約束しながら、労働基本権制約の代償機能のあり方に圧力を加えるものであり、決して認めることができません。
 以上のことから、2006春季生活闘争においては、公務員の雇用と適切な賃金・労働条件を確保し、良質な公共サービスを確立することが当面の最重要課題となっており、その実現に向けて、公務員の使用者として果たすべき貴職の責任は、従来にも増して重いと言わざるを得ません。
 公務員連絡会は、2月2日に開いた第1回代表者会議の決定に基づき、下記の通り2006年春季の要求を提出いたします。貴職におかれては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。



1.総人件費改革の実行計画等について
 行政改革推進法案(仮称)や市場化テスト法案(仮称)の検討並びに公務員の総人件費改革の実行計画の具体化に当たっては、良質な公共サービスを確保するとともに、使用者の責任において雇用・労働条件を確保すること。これらについて公務員連絡会と十分交渉・協議、合意すること。

2.2006年度の賃金改善について
(1) 2006年度の給与改定に当たっては、公務員労働者の賃金水準を維持・改善すること。
(2) 国に雇用される労働者の最低賃金を行政職(一)表高卒初任給並みに引き上げること。また、非常勤職員及びパート職員等の処遇については、「均等待遇」の原則に基づき抜本的に改善すること。

3.退職手当について
 退職手当に関わる民間実態調査に当たっては、公務公共サービス労働組合協議会(略称=公務労協)と十分交渉・協議を行い、その合意に基づくこと。

4.国際労働基準・労働基本権等の確立について
(1) 結社の自由委員会第329・331次報告を直ちに、全面的に受け入れる態度決定を行い、公務員労働者に労働基本権を完全に保障するとともに、団体交渉に基づく賃金・労働条件決定制度を確立すること。
(2) 国際労働基準確立の観点からILO第151号条約を批准すること。
(3) 刑事事件での起訴にともなう休職や禁錮以上の刑に処せられた場合の失職のうち、公務に関わる事項をはじめ事案の性格によっては任命権者の判断で失職等をさせない措置を行なうこと。

5.ワークシェアリングの実現、労働時間並びに休暇、休業等について
(1) 公務のワークシェアリングについて
 公務に雇用創出型・多様就業型の本格的なワークシェアリングを実現すること。そのための制度的な検討・研究に着手すること。
(2) 短時間公務員制度の発足と臨時・非常勤職員制度の抜本的な改善について
 @ 常勤職員の本格的な「短時間勤務制度」の早期実現に向けた検討を行うこと。 2006年度については、育児・介護を行う職員の短時間勤務制度を実現することとし、必要な対応を図ること。
 A 臨時・非常勤職員制度の抜本的な整備に向け、直ちに検討に着手すること。
(3) 労働時間短縮、休暇制度改善、総合的休業制度の確立等について
 公務におけるワークシェアリングの実現に向け、@年間総労働時間1800時間体制Aゆとり・豊かな時代にふさわしい個人の価値を尊重する休暇制度の拡充B少子・高齢社会に対応し自己啓発・自己実現や社会貢献を促進するための総合的な休業制度、などを実現すること。また、早急に厳格な勤務時間管理、実効ある超過勤務縮減策を取りまとめること。

6.在職期間の長期化、公務の高齢対策の推進について
(1) 天下りをなくすため、在職期間の長期化に積極的に取り組むこと。
(2) 民間における高齢者雇用継続制度の導入を踏まえ、定員の弾力的扱いなどを含め高齢再任用制度の定着と拡大に取り組み、雇用と年金の接続をはかること。また、再任用者の実態調査や再任用希望調査を行い、実態把握に努めること。

7.男女共同参画社会の実現、女性労働者の労働権確立について
(1) 公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題として位置づけ、必要な施策の確立を図りつつ、政府全体として取り組むこと。
(2) 取得率の数値目標を明確にした育児休業の男性取得の促進、次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画」の着実な実施に向け、必要な指導を行うこと。
(3) 改定された女性職員の採用・登用拡大の指針の実現に向け、使用者として必要な取り組みを行うこと。

8.新たな評価の試行について
(1) 新たな評価の第1次試行については、実施状況の点検と必要な指導を行うこと。 第1次試行結果の正確な集約を行い、そのデータを共有化し、問題点の把握に努めること。
(2) 第2次試行に向け、開示や苦情処理システムのあり方等を含め、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意すること。

9.その他の事項について
 公務における外国人の採用、障害者雇用を拡大すること。そのための職場環境の整備を進めること。


資料3−総務省への地公部会の要求書

2006年2月16日


総務大臣
 竹 中 平 蔵 様


公務労協公務員連絡会地方公務員部会
全日本自治団体労働組合
中央執行委員長 岡部謙治
日本教職員組合     
中央執行委員長 森越康雄
日本都市交通労働組合  
中央執行委員長 山岸 晧
全日本水道労働組合   
中央執行委員長 佐藤幸雄
全国自治団体労働組合連合
中央執行委員長 玉野一彦
日本高等学校教職員組合 
中央執行委員長 早川良夫



要 求 書


 貴職の地方分権推進、地方公務員の処遇改善に向けたご努力に敬意を表します。
 地方公務員の給与について、「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」で検討がなされており、分権時代にふさわしい方向性の提示が期待されます。
 一方で、財政危機を理由に過半数の自治体が給与削減を行っているなど、人事委員会勧告制度の空洞化を招いています。こうした中で、地方公務員の生活は厳しい状況にあります。
 自治体にとって、社会の格差拡大の克服、住民生活の安定、安全・安心を支える公共サービスの確立が重要な課題となっています。そのため、地方分権の推進と地方の自由度を拡大する税財政制度の確立、必要な地方交付税総額の確保が求められています。
 貴職におかれましては、地方公務員の生活の維持・改善をはじめ、下記事項の実現に尽力されますよう要求します。


1.地方公務員の生活の維持・改善のために尽力し、所要の財源を確保すること。

2.自治体における賃金・労働条件の決定にあたっては、地方自治の本旨に基づき、労使の自主的交渉を尊重すること。また、自治体間、規模間の賃金格差解消に向けて必要な助言を行うこと。

3.地方財政危機を公務員賃金や行政サービスにしわ寄せしないこと。また、分権の推進と地方財政確立のために税財源の地方への移転を図るとともに、必要な交付税総額を確保すること。

4.労働基本権を保障した民主的地方公務員制度を確立すること。ILO151号条約を批准し、公務員の賃金・労働条件を団体交渉によって決定する制度を確立すること。
 また、自治体における人事・給与制度に係わる新たな評価制度の導入に当たっては、十分な労使協議を行うこと。

5.地方公務員の給与のあり方の検討を行うに当たっては、公務員連絡会地方公務員部会との十分な交渉・協議を行うこと。

6.自治体の臨時・非常勤職員について、雇用の安定と賃金・労働条件の改善、法律にもとづく災害補償制度の整備をはかること。また、非常勤職員の法的地位の明確化や短時間公務員制度実現に向け取り組むこと。

7.年間総実労働時間1,800時間のために、所定内労働時間の計画的な短縮および時間外労働の縮減と年休取得の促進を図ること。とくに、恒常的な時間外労働が生じている職場をなくすために必要な措置を講ずるとともに、「不払い残業の実態把握を行い、その解消に向けて助言を行うこと。
 時間外労働の縮減について、36協定締結義務職場での締結促進のための施策を講ずるとともに、労働基準法33条3項の「公務のために臨時の必要がある場合」について、厳格な運用を推進すること。

8.各種休暇制度を新設・拡充し、総合的な休業制度を確立すること。とくに、家族看護休暇およびリフレッシュ休暇・有給教育休暇の新設、夏季休暇日数の拡大をはかること。また、育児等を行う職員の両立支援に関わる国の措置を踏まえた施策を自治体においても実施するとともに、育児休業、介護休暇の男性取得促進のための措置を講ずること。

9.高齢者再任用制度については、民間における高齢者雇用安定法の改正を踏まえ、雇用と年金の接続の考え方から希望者全員を雇用するとともに、賃金・労働条件、職種・職務のあり方、定数管理等については労使合意を基本に円滑な運用と定着に必要な情報提供等を行うこと。

10.自治体職場での男女平等・共同参画のための諸施策を推進すること。とくに、女性の雇用安定・権利確立のための施策を進めるとともに、各自治体で労働組合との協議に基づき、「女性職員の採用・登用拡大のための基本計画」を策定し、実効が上がるよう必要な情報提供を行うこと。また、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定に向けて、自治体に情報提供を行うなど積極的に対応すること。

11.刑事事件での起訴にともなう休職や禁錮以上の刑に処せられた場合の失職のうち、公務にかかわる事項をはじめ事案の性格によっては任命権者の判断で失職させない措置を行えるよう分限条例の改正を促進すること。

12.公的年金制度の抜本改革に向けて努力するとともに、被用者年金の一元化に当たっては関係者の合意を図り対応すること。

13.地方行革指針等に基づく自治体での行政改革については自治体の自主性を尊重するとともに、行政サービスの水準や住民生活への社会的規制を確保するため、業務の安易な民営化や民間委託を行わないこと。

14.公共サービスを企業利益追求の道具とする市場化テストは行わないこと。

15.自治体における雇用創出・多様就業型のワークシェアリングの実現に向け、検討を行うこと。

16.自治体職場の安全衛生体制を確立するとともに、メンタルヘルス対策を充実するよう取り組むこと。

以上