公務員連絡会は、10月28日に給与法改正法案、退職手当改正法案が成立し、7日に公布となったことを受けて、人事院、総務省に対して2006年度の賃金・労働条件改善に関わる基本要求を提出し、12月中旬までにそれぞれ誠意ある回答を示すよう求めた。 とくに、本年は経済財政諮問会議で「総人件費改革の基本指針」が今月中旬にも取りまとめられ、政府としてその実行計画を年末までに決定する予定でいるなど、公務員の雇用と生活の基本に関わる政策が、当事者の意見を聞かないまま一方的・強権的に決められようとしている。7日提出した基本要求では、人事院に対しては官民比較見直し等に対して毅然として対応すること、総務省に対しては使用者としての責任を果たし、われわれと交渉することを強く求めた。
<人事院職員団体審議官との交渉経過>
公務員連絡会は、10時30分から、人事院に「2006年度賃金・労働条件に関わる基本要求事項の申入れ」(資料1)を提出し、交渉を行った。公務員連絡会からは幹事クラス交渉委員が臨み、人事院からは鈴木職員団体審議官、森永参事官が対応した。
冒頭、公務員連絡会の岩岬副事務局長から、「人事院勧告以降、公務員をめぐる情勢の厳しさが高まる中で、官民給与の比較方法についていろいろと議論がなされているが、これまで総裁から示されてきた人勧制度の根幹を維持するという基本姿勢を堅持した対応を強く求めておきたい。そこが今回の基本要求の大きな柱となるので、真剣に検討していただいた上での回答をお願いしたい」と発言した上で、基本要求事項のポイントを次の通り説明し、12月中旬には回答するよう求め、現時点での人事院の見解を質した。
(1) 「給与構造の改革」については、今後、新制度移行に関わる規則や運用基準の制定などが行われることになるが、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて進めていただきたい。とくに、「一般の職員の勤務成績の判定に関わる改善措置の活用」の時期、判定基準、尺度は、公務員連絡会との合意に基づいて進めることを求めておく。
また、移行期間中の諸手当のあり方やベアの取扱いは、あらかじめルールを作って対応することにすべきではないか。
(2) 官民比較方法については、2005春季要求書に対する総裁回答、2005人事院勧告に関わる要求書提出の際の総裁見解に示された基本姿勢をきっちり守ってほしい。歴史的、制度的に確立された調査対象企業規模やラスパイレス比較方式など、現行の官民給与比較の基本に関わる基準やルールは変更しないでいただきたい。
また、研究会については、十分な情報提供をするほか、公務員連絡会の意見を聴取し、とりまとめのあり方等についても十分な協議を求めておく。
(3) 労働時間等については、育児・介護を行う職員の短時間勤務制度を最優先し、年内に意見の申出を行っていただきたい。研究会報告に基づく勤務時間管理の弾力化について、公務員連絡会としては問題があるものもあると考えており、重要な勤務条件であるので、十分な交渉・協議を行い、合意に基づいて進めていただきたい。
(4) 休憩・休息時間を含む勤務時間のあり方については、個別課題としてではなく、公務員の勤務時間全体のあり方の問題として、総合的・一体的に検討し、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて進めてほしい。この問題について公務員連絡会としては、あくまで、厳格な勤務時間管理の方法や実効ある超過勤務縮減の具体策とセットで議論すべきと考えている。
(5) 男女平等等については、「女性国家公務員の採用・登用拡大に関する指針」の見直しに当たって、公務員連絡会と十分協議し、より実効性のある施策をとりまとめていただきたい。
これに対し、鈴木職員団体審議官は「今日は要求をいただいたので、その内容を検討し、12月の然るべき時期に回答したい。本日は、現時点での私レベルでの回答を申し上げたい」とし、次のとおり見解を示した。
(1) 「給与構造の改革」の具体化については、十分説明させていただきながら進めたい。
(2) 官民比較の問題については、各方面から議論が提起されてきているので、研究会を設け、比較方法全体を検討していただくことにしている。
(3) 勤務時間の弾力化や超勤縮減については、研究会の報告を踏まえ、できるものから整備して参りたい。
(4) 休憩・休息時間については、先般提起したように、休息時間の実態を踏まえ、提起した内容で検討して参りたい。
これに対し公務員連絡会側は、@次世代育成支援推進行動計画が整備され、来年には1年が経過することになるので、その検証について人事院として積極的に対応すべきであるA官民比較の研究会の今後の運用はどのようになるのかB官民比較対象企業規模は代償措置の一つの象徴であり、そこが崩れると何も残らない。維持することを明確にしていただきたいC休憩・休息時間について民間の実態を踏まえて対応するというのであれば、勤務時間も民間を踏まえていただかないと納得できない。超勤縮減の具体策も12月の回答の時に示していただきたい、などと人事院の見解を質した。
これに対し、鈴木職員団体審議官は、「研究会は、来週、設置することにしており、いつ報告するという段階ではない。官民比較の問題について、総裁は国会で率直な答弁をしており、そういう認識の下で検討していくことになるのではないか。超勤縮減策等については、関係局にも伝え、12月の回答に向けいろいろ検討していきたい」などと回答した。
最後に、公務員連絡会側は「今後、真剣に検討してもらって、12月には明確な回答をいただきたい」と要請し、本日の交渉を終えた。
<総務省交渉の経過>
総務省人事・恩給局に対する申入れ(資料2)は、11時30分から行った。総務省は、村木人事・恩給局次長ほか担当参事官らが対応した。
冒頭、公務員連絡会の岩岬副事務局長から、「大臣が代わられていろいろレクチャーをされていると思うので、この要求事項もレクをしていただいて、大変厳しい情勢となっているが使用者責任を果たされるようお願いしたい。経済財政諮問会議で「公務員の総人件費改革の基本指針」が今月下旬にも取りまとめられ、政府が実行計画を定めるものと聞いているが、雇用や生活に直接影響する問題であるにもかかわらず当事者である公務員連絡会からこれまでに一度も意見聴取を行わないまま決められようとしており、強権的な対応と言わざるを得ない。賃金・労働条件に関わる事項については、公務員連絡会と十分話し合って、進められるよう強くお願いしておきたい」として、基本要求の重点事項を以下の通り説明し、12月には回答するよう求めた。
(1) 定員削減自体を自己目的化し、国民の安心・安全に関わる公共サービスの切り捨てにつながる「公務員の総人件費改革の基本指針」の策定は行わないでいただきたい。官民比較の問題については、人事院に申し入れたところであるが、経済財政諮問会議で「5年5%の定員の純減」が決まって、政府がそれを実行することになると雇用に関わる重大な問題が発生する。総務省は使用者としての政府を代表しているので、少なくとも、公務員の雇用を守るという立場で対応していただきたい。また、この問題について、政府の責任ある代表とのトップ交渉の場を設けていただきたい。
(2) 「給与構造の改革」については、人事院との話し合いをしていくことにしているが、査定昇給の導入などで現場で混乱を生ずることがあるかもしれないので、その場合には総務省として、そうした事態は好ましいものではないという立場で使用者を指導していただきたい。
(3) 超勤縮減について、この間、総務省としては粛々と進めているとの姿勢であるが、縮減は全く進んでいない。この際、ITを活用した厳格な勤務時間管理を直ちに実施していただきたい。
(4) 福利厚生については、予算が厳しい折ではあるが、財務省ときちっと交渉していただいて改善に努めてほしい。
(5) 高齢者再任用については、定員削減が厳しくなる中で、機能するのかどうかが問われるようになってきている。明確な回答をいただきたい。
(6) 新たな評価制度の試行が始まろうとしており、その内容について不満であり、本格実施に向けては改善を求めておきたい。また、試行のための各府省における労使の話し合いが今後行われるが、総務省として、評価は労使の共同作業という立場で各府省を指導していただきたい。なお、第1次以降の試行についても、十分交渉・協議を行い、合意に基づいて進めていただきたい。
これに対して村木次長は、「内容については検討させていただいて、12月の然るべき時期に回答したい。総人件費の問題については、政府部内でどうセットしていくかは経済財政諮問会議が進めていることなので、注文を付ける立場ではないが、水準は所管事項に密接に関連するので、人勧制度の維持、労働基本権との関わりを十分説明しながら対応していきたい。新大臣の意向はまだ十分把握していないが、意向を踏まえながら対応していく。給与は、公務員制度の根幹であり、言うべきことは言っていく立場で対応する。給与構造改革や退職手当は来年4月からであり、これから詰めるべきところは話し合いながら進めていきたい。評価の試行については、皆さんには不満があるし、各府省は不安を持っている。各府省に対しては、現場で混乱が起きないよう現場で十分話し合って進めるようお願いしている」と答えた。
最後に、公務員連絡会から、「今後、折衝を積み重ね、12月には明確な回答を行う」よう求めて交渉を終えた。
資料1.人事院への基本要求書
2005年11月7日
人事院総裁
佐 藤 壮 郎 殿
公務員労働組合連絡会
議 長 丸 山 建 藏
2006年度賃金・労働条件に関わる基本要求事項の申入れ
日本経済は、企業業績が順調に回復傾向にあるのと対照的に、勤労者の雇用と所得は一向に改善されず、企業規模や雇用形態による格差が拡大し、二極化が進行しています。そうした状況の中で、2006年度から俸給表の水準を4.8%引き下げる地域給与や、評価制度の整備なき勤務実績反映の給与制度への移行が始まりますが、われわれは、この「給与構造」の見直しの公務員労働者の働き方や生活、地域経済に与える影響を強く懸念します。
政府は、すでに貴職に対して官民比較方法の見直しを要請したのに続いて、経済財政諮問会議で近々にも「公務員の総人件費改革の基本指針」を取りまとめ、定員削減だけでなく給与水準の引下げにも焦点をあてた施策を強権的に実行に移そうとしています。
こうした中で、いまほど、貴職が労働基本権制約の代償措置としての姿勢を堅持し、毅然として対応することを求められているときはありません。貴職は、官民比較方法について研究会を設けて検討するとしていますが、それは自ら「適切」であると認識している公務員給与水準を引き下げるものであってはなりません。また、本年の6月23日に総裁がわれわれに約束した、企業規模を含む官民比較方法の基本的枠組みを堅持するものでなければなりません。
そのほか、本年の基本要求事項には、育児・介護を行う職員の短時間勤務制度の早期実現や、勤務時間のあり方に関わる要求も重点課題として盛り込んでいます。
以上のことから、貴職におかれては、本年の基本要求事項の実現に向けて最大限努力されることを強く申し入れます。
記
一、給与に関わる事項
1.給与水準及び体系等について
(1) 給与水準の確保
@ ゆとり・豊かな生活が確保でき、その職務の責任や仕事の内容にふさわしい社会的に公正な給与水準を確保すること。
A 当面、2006年度の給与勧告においては、公務員の生活を維持・改善する給与水準を確保すること。
B 男女共同参画促進のための処遇上の改善措置について総合的に検討すること。
(2) 公正・公平な配分
配分については、別途人事院勧告期に提出する要求に基づき、公務員連絡会と十分交渉し、合意すること。
(3) 一時金について
期末・勤勉手当の調査・比較方法を抜本的に改善し、月数増を実現すること。
2.「給与構造の改革」に関わる具体的措置について
(1) 2006年4月からの俸給表の切り替え、新給与制度移行に関わる規則や運用基準の制定に当たっては、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意すること。
とくに、新たな昇給制度における「一般の職員の勤務成績の判定に関わる改善措置の活用」の時期や判定基準、尺度などについて、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意すること。
(2) 新給与制度への移行期間中の諸手当のあり方やベアの取扱いなど、給与勧告・報告のあり方については、その都度公務員連絡会と十分交渉・協議、合意すること。なお、本府省手当の新設は行わないこと。
3.官民比較方法について
(1) 官民比較方法の検討に当たっては、労働基本権制約の代償機能としての役割を発揮し、2005春季要求書に対する総裁回答、2005人事院勧告に関わる要求書提出の際の総裁見解の姿勢を堅持すること。
また、歴史的・制度的に確立された調査対象企業規模やラスパイレス比較方式など、現行の官民給与比較の基本に関わる基準やルールの変更は行わないこと。
(2) 官民比較方法のあり方を検討する研究会の審議に当たっては、公務員連絡会の意見を十分聴取するとともに、そのとりまとめのあり方等についても十分協議すること。
二、ワークシェアリングの実現、労働時間並びに休暇、休業に関わる事項
1.公務のワークシェアリング及び短時間勤務制度の早期実現について
公務に雇用創出型・多様就業型の本格的なワークシェアリングを実現すること。そのための本格的な常勤職員の短時間勤務制の早期実現を含め、制度的な検討・研究に着手すること。
2.多様な勤務形態に関する研究会・最終報告の具体化について
(1) 育児・介護を行う職員の短時間勤務制度の早期実現を最優先課題として位置づけ、定員カウントの弾力化等についての調整を急ぎ、年内を目途に意見の申出を行うこと。
(2) 勤務時間の弾力的な運用に関わる条件整備については、任命権者の一方的な裁量権限の拡大とならないよう慎重に検討し、制度の導入や運用に当たっては、重要な勤務条件事項として公務員連絡会と十分交渉・協議、合意すること。
とくに、当局の管理運営権の強化となる「割振り」制度の整備による勤務時間の弾力化は行わないこと。個々人の勤務時間の多様化・弾力化に当たっては、「割振り」制度の廃止を含め、勤務時間制度の抜本的な見直しを行うこと。
(3) 自己実現や能力開発等のための修学や社会貢献のための休業制度の早期実現に向けた検討を行うこと。
(4) 労働基準法に準じた実効ある超過勤務縮減策を早急に取りまとめ、行った超過勤務については手当を全額支給すること。また、IT等を活用した厳正な勤務時間管理の具体的な方策を早急に取りまとめ、実施すること。
3.労働時間短縮、休暇制度改善、総合的休業制度の確立等について
公務における@年間総労働時間1800時間体制Aゆとり・豊かな時代にふさわしい個人の価値を尊重する休暇制度の拡充、などを実現すること。
4.勤務時間制度について
勤務時間制度に関わっては、当面、次の事項を改善すること。
(1) 休暇の取得手続きについては、公務員の休暇権をより明確にする形で抜本的に改善すること。
(2) 官庁執務時間と勤務時間の関係については、「閣令6号」に基づく一律・画一的な官庁執務時間体制を改め、官庁執務時間と勤務時間を切り離して、実態に則した官庁執務時間に改めること。
5.勤務時間と休憩・休息時間のあり方について
休憩・休息時間を含む勤務時間のあり方については、超過勤務の抜本的解決など次の事項を総合的・一体的に検討し、公務員連絡会と十分交渉・協議、合意すること。
(1) 所定内勤務時間を7時間45分に短縮し、拘束時間並びに始業・終業時間の延長は行わないこと。
(2) 休憩時間は労働基準法に準じて45分とすること。
(3) 休息時間の規定は現行通りとし、運用を改善すること。
(4) 厳格な勤務時間管理を行い、実効ある超勤縮減策を実施すること。合わせて、超過勤務手当の全額支給を行うこと。
三、福利厚生施策等に関わる事項
公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の正確な実態把握を行い、その抜本的な改善・充実に向けた提言を行うこと。
四、男女平等の公務職場実現に関わる事項
1.公務の男女平等の実現を人事行政の重要事項と位置づけ、職業生活と家庭生活の両立支援、女性公務員の採用、登用の拡大、女性の労働権確立や環境整備などを積極的に推進すること。
2.「女性国家公務員の採用・登用拡大に関する指針」の見直しに当たっては、公務員連絡会と十分協議し、より実効性のある施策を取りまとめること。
3.女性の労働権確立にむけ、次の事項を実現すること。
(1) セクシャル・ハラスメント防止など、職場環境の整備を進めること。また、女性の職務範囲を拡大すること。
(2) 産前休暇を8週間、多胎妊娠の場合の産後休暇を10週間に延長すること。また、妊娠障害休暇を新設すること。
4.「子ども・子育て応援プラン」を踏まえ、取得率の数値目標等を明確にした育児休業の男性取得促進策を取りまとめること。
5.次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の着実な実行に向け、積極的な役割を果たすこと。
五、その他
1.新たな人事評価制度の整備に当たっては、中立・公正な人事行政や勤務条件を所管する立場から、必要な役割を果たすこと。
2.「分限制度の適切な運用」の検討に当たっては、公務員連絡会と十分協議すること。
3.民間における高齢者継続雇用制度の導入など高齢者雇用の進展を踏まえ、高齢再任用制度の定着と拡大のための施策を引き続き推進し、雇用と年金の接続をはかること。
4.本年の障害者雇用促進法の改正を踏まえ、障害の種別をこえて雇用促進を図ること。とくに、知的障害者及び精神障害者の雇用促進に関する具体的方策を明らかにすること。
5.公務における外国人の採用を拡大すること。
6.非常勤職員及びパート職員等の処遇については、「均等待遇」の原則に基づき改善すること。
資料2.総務省への基本要求書
2005年11月7日
総務大臣
竹 中 平 蔵 殿
公務員労働組合連絡会
議 長 丸 山 建 藏
2006年度賃金・労働条件に関わる基本要求事項の申入れ
日本経済は、企業業績が順調に回復傾向にあるのと対照的に、勤労者の雇用と所得は一向に改善されず、企業規模や雇用形態による格差が拡大し、二極化が進行しています。そうした状況の中で、2006年度から俸給表の水準を4.8%引き下げる地域給与や、評価制度の整備なき勤務実績反映の給与制度への移行が始まりますが、われわれは、この「給与構造」見直しによる公務員労働者の働き方や生活、地域経済に与える影響を強く懸念します。
政府は、経済財政諮問会議で近々にも「公務員の総人件費改革の基本指針」を取りまとめ、定員削減だけでなく給与水準の引下げにも焦点をあてた施策を実行に移そうとしています。総人件費のあり方は、公務員の雇用や給与のあり方に直結する問題であるにもかかわらず、この過程でわれわれの意見は一度たりとも聴取されていません。こうした強権的・一方的な政策決定のあり方は到底認められません。
こうした中で、公務員の処遇を確保・改善するための使用者としての貴職の役割がますます重要となっています。
そうした観点から、2006年度の賃金・労働条件改善に関わる基本的な要求事項を下記の通り申し入れますので、誠意を持って協議に応じ、諸課題の解決に全力であたられるよう要請します。
記
一、公務員の総人件費に関わる事項
(1) 定員削減自体を自己目的化し、公共サービスの切り捨てにつながる公務員の「総人件費改革のための基本指針」の策定を行わないこと。
(2) 公務員の総人件費の検討に当たっては、政府の責任ある代表と公務員連絡会との間で十分協議すること。
二、給与に関わる事項
(1) ゆとり・豊かな生活が確保でき、その職務の責任や仕事の内容にふさわしい社会的に公正な給与水準を確保すること。当面、2006年度においては、公務員の生活を維持・改善する給与水準を確保するよう、使用者の責任において努力すること。
(2) 超過勤務等に対する予算を増額し、実態に見合った支給を行うこと。
(3) 2006年度予算編成に当たっては、独立行政法人を含め公務員給与改定財源を確保すること。
三、ワークシェアリングの実現、労働時間並びに休暇に関わる事項
(1) 公務のワークシェアリング並びに短時間勤務制度の早期実現について
公務に雇用創出型・多様就業型の本格的なワークシェアリングを実現すること。また、短時間勤務制度を実現するため、公務員連絡会との協議を行うこと。
(2) 労働時間短縮、休暇制度改善、総合的休業制度の確立等について
公務におけるワークシェアリングの実現に向け、@年間総労働時間1800時間体制Aゆとり・豊かな時代にふさわしい個人の価値を尊重する休暇制度の拡充B少子・高齢社会に対応し自己啓発・自己実現や社会貢献を促進するための総合的な休業制度、などを実現すること。また、「国家公務員の労働時間短縮対策について」の着実な実施を図ること。
四、福利厚生施策等に関わる事項
(1) 公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の正確な実態把握を行い、その抜本的な改善・充実を図ること。
(2) 「国家公務員福利厚生基本計画」の着実な実施を図るため、政府全体としての実施体制を確立し、使用者としての責任を明確にして積極的に対応すること。
(3) 2006年度の予算編成に当たっては、職員厚生経費をはじめ、職員の福利厚生施策の改善に必要な予算を増額すること。
五、在職期間の長期化並びに高齢者再任用制度に関して
(1) 天下りをなくすため、引き続き在職期間の長期化に積極的に取り組むこと。
(2) 民間における高齢者雇用永続制度の導入など高齢者雇用の進展を踏まえ、定員の弾力的扱いをはかるなど高齢者再任用制度の定着と拡大に取り組み、雇用と年金の接続をはかること。また、再任用者の実態把握や在職者の再任用希望調査を行い、実情把握に努めること。
六、男女平等の公務職場の実現に関わる事項
(1) 公務の男女平等参画の促進を人事行政の重要事項と位置づけ、女性公務員の採用、登用の拡大を図り、女性の労働権確立や環境整備などを積極的に推進すること。
(2)「子ども・子育て応援プラン」を踏まえ、取得率の数値目標等を明確にした育児休業の男性取得を促進すること。
(3) 使用者の立場から、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の着実な実行を図るよう指導すること。
七、公務員制度改革に関わる事項
(1) 公務員制度改革については、「政労協議」の確認に基づいて十分な交渉・協議を行い、その合意に基づいて民主的で透明な公務員制度改革案をとりまとめること。
(2) ILO勧告に基づき、労働基本権制約の立法政策を根本から見直し、公務員の労働基本権、団体交渉に基づく賃金・労働条件決定制度を確立すること。また、国際労働基準違反と指摘された現行法制の見直しについて直ちに協議を行うこと。
八、「新たな評価制度」の試行について
(1) 新たな評価制度の検討に当たっては、公正・公平性、透明性、客観性、納得性が具備され、苦情処理制度、労使協議制度などが整備されたものとすること。
(2) 第1次試行に当たっては、上記、4原則2要件を踏まえつつ、評価基準と結果の開示、労働組合が参加する苦情処理制度の確立に向け最大限努力すること。
(3) 第1次以後の試行についても、十分交渉・協議し、合意に基づいて実施すること。
九、その他の事項
(1) 本年の障害者雇用促進法の改正を踏まえ、障害の種別をこえて雇用促進を図ること。とくに、知的障害者及び精神障害者の雇用促進に関する具体的方策を明らかにすること。
(2) 公務における外国人の採用を拡大すること。
以上