公務員連絡会地公部会は15日、10時10分より比較企業規模見直し等に関する全人連要請を行った。地公部会からは、中村企画調整委員代表(日教組書記長)、岩本事務局長と幹事が参加し、全人連からは、佐藤事務局長ほかが対応した。
はじめに、中村企画調整委員代表より、「今回は、人事院・人事委員会が民間給与実態調査を行っている中での異例の全人連要請となった。昨今の地方公務員給与を取り巻く状況や昨年の給与構造見直しにおける自治体の対応が困難を来したことを踏まえると、人事院勧告のあとの人事委員会との交渉・協議では給与改定の扱いに昨年同様の問題が起きることから、今年は各人事委員会に対しても早期の要求提出と交渉・協議を要請しているところである。本日の『比較企業規模の見直し等に関する要請』の内容についてご理解のうえ、各人事委員会に確かに伝えて頂きたい」と要請した。
続いて、岩本事務局長より、別紙要請書の各項目について内容を説明した。
これに対して、全人連の佐藤事務局長からは、次の回答があった。
(1) 本日は、全人連を代表し事務局である東京都人事委員会が、要請をお受けする。ただいまの要請については、全人連として、確かに承った。早速、私から、会長並びに全国の人事委員会に、本日の要請の内容をお伝えする。
(2) 現在、各人事委員会においては、明日6月16日の調査終了日に向け、鋭意、民間給与の調査を進めているところである。本日の要請の内容については、各々の人事委員会で、「官民給与の比較方法のあり方」に関する人事院の検討状況を注視するとともに、調査の結果や各自治体の実情等を踏まえ、今後、具体的に検討していくことになろうかと考える。
(3) 全人連としても、必要な点について、人事院、各人事委員会と十分、情報交換が行えるよう努めてまいりたい。
(4) 教員のモデル給料表の取扱いについては、全人連給与部会において引き続き検討していく。
(5) 公務員の給与を取り巻く環境は引き続き厳しい状況だが、本年も各人事委員会においては、中立かつ公正な第三者機関として、その使命を十分に果たしてまいる所存である。
これらの回答をふまえ、地公部会側より、次のことについて意見を述べた。
(1) 人事院は、基本的にはこれまでの官民比較方法は妥当だとしてきたが、現在、政治の圧力で公務員給与の引下げを行おうとしている。こうした態度には絶対反対だ。
(2) 地方公務員の給与を単純に人事委員会調査による公民較差の結果だけで対応するのは、地公法24条からも適当でない。
(3) 自治体の職員採用に対する応募者数が従前に比べ減少している実態がある。人材の確保という意味からも、給与・処遇の問題は密接に関係していることが明らかである。
(4) 自治体の給与カットが90年代後半より拡大してきており、2回、3回と実施している自治体、30%の給与カットを実施している自治体もある。給与カットに対して人事委員会の対応には、首長に対して勧告通り支給すべきだとする人事委員会がある一方で、中立・第三者機関の立場とは異にし、財政難等による給与カットは止む無しとする人事委員会もある実情だ。
本日の全人連要請を起点に、関係する職員団体は各人事委員会への申入れ行動を実施していくが、全人連からも配慮をお願いしたい。
最後に、中村企画調整委員代表より、「教職員の給料の取扱いについては、別途、協議をさせていただきたい」と要望し、要請を終了した。
(別紙)
2006年6月15日
全国人事委員会連合会
会 長 内田 公三 様
公務労協公務員連絡会地方公務員部会
全日本自治団体労働組合
中央執行委員長 岡部謙治
日本教職員組合
中央執行委員長 森越康雄
日本都市交通労働組合
中央執行委員長 山岸 晧
全日本水道労働組合
中央執行委員長 佐藤幸雄
全国自治団体労働組合連合
中央執行委員長 玉野一彦
日本高等学校教職員組合
中央執行委員長 小林政至
比較企業規模の見直し等に関する要請書
貴職の地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
さて、人事院は公務員連絡会の強い反対を押し切り、2006年度公務員賃金に関わる民間給与実態調査において、いわゆる小規模企業調査を一方的に行っています。比較企業規模見直しは、公務員賃金引下げという政治的圧力を受けたものであり、労働基本権制約の代償機関としての役割を自ら否定するものです。はじめに賃金引下げありきの対応はとうてい納得できません。
この調査は、地方公務員の賃金水準に直結し、地域によっては深刻な賃金水準引下げになることは明らかです。公務員労働者は、連年の賃金引下げにより生活水準の維持が困難となっています。賃金引下げを自己目的にするのではなく、地公法第24条の趣旨を踏まえ、分権時代に相応しい人材を確保し、住民サービスの質を高めることが重要です。
貴職におかれましては、本年の勧告作業に当たり、地方公務員の生活を守るという人事委員会の使命を十分認識され、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。
記
1 公民比較方法の基本的な枠組みに関わる比較対象企業規模等については、本年の勧告で拙速な見直しを行わないこと。
(1) 100人未満50人以上の小規模企業調査の結果については、本年の公民比較の対象としないこと。
(2) 公民対応関係、比較対象従業員の範囲など他の公民比較の見直しについては、十分な交渉・協議、合意に基づき措置すること。
2 2006年度の給与改定については、公民比較方法の見直しを行わないことを前提とし、給与水準を維持・改善する勧告を行うこと。
(1) 較差の配分、手当のあり方等については、十分な交渉・協議、合意に基づくこと。
(2) 一時金については、支給月数の改善を勧告すること。
(3) すべての在職者が定年まで昇給が可能になるように、号給を延長すること。
(4) 一般職員の勤務実績の給与への反映については、十分な交渉・協議、合意を前提にすること。
3 人事院に対して、官民比較方法の基本的な枠組みに関わる比較対象企業規模等について、本年の勧告で拙速な見直しを行わず、とくに100人未満50人以上の小規模企業調査の結果については、本年の官民比較の対象としないよう求めること。
4 地方公務員給与のあり方に関する研究会報告にもとづく具体的対応については、公務員連絡会地方公務員部会と交渉・協議し、合意を前提とすること。
以上