(別紙1)
公務労協公務員制度改革対策本部見解
1.本日6月16日、政府は、行政改革推進法に基づき行政改革推進本部(本部長は総理大臣)に「国及び地方公共団体の事務及び事業の内容及び性質に応じた公務員の労働基本権の在り方その他の公務員に係る制度に関する専門の事項を調査し、本部に報告する」ための専門調査会を設置する政令を閣議決定した。専門調査会は、近日中になされる官報告示によって、法律的に効力をもつこととなる。
この閣議決定は、5月29日に開催された行革担当大臣、厚生労働大臣、総務大臣と連合事務局長、公務労協議長、公務労協公務員制度改革対策本部長の六者による第三回政労協議における合意に基づくものであり、公務労協は「政労合意」が履行されたものと評価する。
2.今回の政労合意とそれに基づく専門調査会の設置は、「労働基本権付与」が約束されたことを意味するものではない。
しかし、三回にわたる三大臣との協議が開催され、そこで「労働基本権を付与する公務員の範囲について検討すること」「累次のILO勧告を踏まえた対応を行うこと」「委員の選定、事務局の構成などについては政府の専権事項ではあるが、連合側の意向も踏まえること」等の政府見解が大臣から示されたこと、そして本日の閣議決定によって、公務労使関係制度の「改革」が、公式に政府の政策課題として位置づけられた意義は大きい。
これらは、連合会長・事務局長を先頭とした連合の組織的な政府・与党対策、野党・国会対策、ILO・国際対策、マスコミ・世論対策、当該公務員産別の取り組みの結果である。その背景には、求められる行政改革・給与人事管理諸施策がこれまでの一方的労使関係制度と理論的にも実践的にも齟齬を来していること、政策決定過程における政治の主導性等々の諸要因が複合的に絡み合っている。
3.連合と公務労協は、「専門調査会」の設置が国際労働基準に則した公務労使関係制度への改革を進める重要なステップとなりうるものと判断し、調査会において改革に資する成案が得られること、得られた成案が速やかに具体化されること等をめざし、ILOや国際労働運動との引き続く連帯、国内の広範な力を結集すべく全力を挙げて取り組むものである。
労働基本権の確立は労働組合としての存立基盤を確保するものであり、その取り組みは本日をもって新たな舞台に移ることととなる。
公務労使関係制度の改革と民主的公務員制度確立の取り組みは、公務・公共サービスの役割とその在り方、政治と行政の役割などを厳しく問い直すものでもあり、日本社会のあり方を問うものである。
公務労協は、連合に結集し市場原理主義・小さな政府論とそれに基づく政策と闘い、労働基本権の確立、良質な公共サービスの確立、「労働を中心とした活力ある福祉型社会」実現のために先頭に立って闘うことを宣言する。
2006年6月16日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員制度改革対策本部
(別紙2)
2006年6月16日
公務員の労働基本権の在り方等に関する
専門調査会設置についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 古賀 伸明
1.本日、政府は、行政改革推進法に基づき、行政改革推進本部のもとに「国及び地方公共団体の事務及び事業の内容及び性質に応じた公務員の労働基本権の在り方その他の公務員に係る制度に関する専門の事項を調査し、本部に報告する」ための専門調査会を設置する政令を閣議決定した。この決定は、5月29日に開催された、連合と政府側三大臣との政労協議における合意に基づくものである。
2.長年の懸案であった公務員の労働基本権の回復に向け、連合と関係構成組織は、この5年間の取り組みを強化し、昨年12月16日の木会長と小泉首相との政労会見以来、3回にわたる政労協議、政府・省庁対策、行革推進法等をめぐる国会対策、ILOへの対応、マスコミ対策などを精力的に進めてきた。今回の「専門調査会」の設置は、これらの取り組みの成果である。また、戦後60年間改革が先送りされてきた日本の公務員制度、特に公務労使関係について、抜本的な改革が行われるための機関が設置されたことは、歴史的にも意義を有するものと考える。
3.「専門調査会」は設置されたが、改革に向けた作業は緒に就いたばかりである。また、改革に向けた検討の中では、労働側にとっても、厳しい対応を迫られる場面も十分想定される。連合は、「専門調査会」において、国際労働基準に適合した近代的な公務労使関係を確立することを基本に、公務員の働きがいやモラールを向上させ、国民からの多様な行政ニーズに的確に応えるための新しい公務員制度の確立をめざす。日本の労働運動を代表する立場にある責任を踏まえながら、連合は、引き続き組織を挙げて全力で取り組む。
以上