2006年度公務労協情報 56 2006年7月24日
公務公共サービス労働組合協議会

連合、公務員給与に関し人事院への申し入れ実施−7/24

 連合は、24日、人事院に対し、公務員給与に関する申し入れを実施した。
 この日の申し入れは、去る7日、閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」の「歳出・歳入一体改革方針」で、政府が人事院に対し公務員の総人件費削減のために比較企業規模の引き下げ等を求めていることに対し、連合は、基本的な労働条件である公務員労働者の処遇のあり方を「政治」が一方的に方向付けることは認められないとの立場から、人事院に労働基本権制約の代償機関、中立・公正な第三者機関として毅然とした姿勢を貫くこと等を求めて実施されたものである。
 連合は、 須賀総合労働局長、山根木企画局長が人事院を訪ね、出合総括審議官に対し、「公務員給与に関する申入書」(別紙)を手交し、「比較対象企業規模など官民比較方法の基本的な枠組みに関わる問題については、「池田・太田会談」をはじめ公務員給与の社会的基準として歴史的・制度的に形成されてきた経緯に鑑み、その変更に当たっては、「公・労・使」はもとより、社会的合意に基づくべきであり、06勧告においては、当該組合と十分協議を重ね、慎重に対処することこと」等を求めた。
 これに対し、出合総括審議官は要旨「『申し入れ』は確かに受け取った。すぐに幹部はじめ関係局に手交したい。先週には官民比較に関する研究会報告がまとまり、今週には給与懇が開催される。歴史的な積み重ねと、今日的に見てさまざまなファクターがある中で本当に難しい問題であるが、当該の公務員連絡会とは引き続き誠実に協議してまいりたい。」と述べた。
 連合は、「労働基本権制約の代償機関であり、中立・公正な第三者機関である人事院は政治の圧力に屈することなく毅然とした姿勢を貫くこと」を重ねて求めこの日の申し入れを締めくくった。


[別紙]

2006年7月24日

人事院総裁
 谷 公士 様

日本労働組合総連合会
会長 高木 剛 


公務員給与に関する申し入れ


 常日頃から、公務における中立・公正な人事行政の推進に向けてご努力頂いていることに敬意を表します。
 さて、政府は去る7月7日、 2011年度に基礎的財政収支を黒字化することを眼目とした歳出・歳入一体改革方針を主要な柱とする「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」を閣議決定しました。
 歳出・歳入一体改革方針は「財政健全化」の名の下に、国民生活の安心・安全を脅かす歳出削減や増税の可能性を示唆し、公務員の総人件費削減を重点項目に位置づけて、月例給、一時金の引き下げなど具体策に言及しています。このことは、公務における労使関係を軽視し、基本的な労働条件である公務員労働者の処遇のあり方を「政治」が一方的に方向付けることとなり極めて問題だといわざるを得ません。
 こうした状況の中で労働基本権制約の代償機関である貴院は、本年の人事院勧告で官民比較方法を見直す考え方を明らかにしていますが、かりにも総人件費削減を求める政権与党の要請に従ってこれを行うならば、独立・代償機関の存立意義を危うくするものと考えます。
 比較対象企業規模など官民比較方法の基本的な枠組みに関わる問題については、「池田・太田会談」をはじめ公務員給与の社会的基準として歴史的・制度的に形成されてきた経緯に鑑み、その変更に当たっては、「公・労・使」はもとより、社会的合意に基づくべきであります。 
 連合は、こうした手順・手続きを抜きにして法律的に「可能」であることをもって一方的に強行されるならば、労働組合権に対する重大な侵害と断ぜざるを得ず看過し得ません。
 現在、公務員給与についてさまざまな議論が交わされていますが、その際重要なことは社会的な合意を再構築することです。そのためには、公務員の役割や仕事のあり方を含めた骨太の国民的な議論をこそ行うべきだと考えます。
 以上の観点から、下記事項を申し入れますので、実現に向けて誠実に努力されるよう要請します。



 貴院は、労働基本権制約の代償機関、中立・公正な第三者機関として毅然とした姿勢を貫き、官民比較方法の見直しの検討に当たっては、当該組合と十分協議を重ね、慎重に対処すること。

以上