2006年度公務労協情報 61 2006年8月9日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人事院が月例給・一時金の改定見送りの報告と勧告、育児短時間勤務制度等の意見の申出も−8/8
−公務員連絡会は改定見送りに抗議声明発し、政府に給与改善を要求(8/9)−

 人事院は、8日午後6時過ぎ、内閣と国会に対して、@月例給・一時金の改定は見送るとする給与に関する報告や給与構造見直しに関わる勧告A育児のための短時間勤務や自己啓発等のための休業制度の意見の申出を行った。政府はこれを受けて15日に第1回目の給与関係閣僚会議を開いて取扱い方針を協議する予定。
 公務員連絡会は、人事院勧告・報告、意見の申出が内閣・国会に提出されたことを受けて、本年の勧告で人事院の代償機能や中立・公正性が大きく損なわれたとし、「企業規模を見直した上での月例給・一時金の改定見送り措置は決して受け入れることはできず、今回の措置を強行した人事院の姿勢を厳しく批判し、強く抗議する」との声明(資料1)を発した。そして、委員長クラス交渉委員が、9日には官房長官、総務副大臣に、10日には厚生労働大臣に対して、@月例給・一時金の改定見送り措置は容認できないことから、改めてわれわれと十分交渉・協議し公務員給与を改善することA育児の意見の申出等については直ちに実施すること、などを求める要求書(資料3)を提出した。
 また、公務員連絡会は、8日の人事院勧告を踏まえ、本日(9日)、職場集会を中心とした第5次全国統一行動を実施し、人事院には抗議文、政府には要請文を送付する行動などを実施することとしている。
 公務員連絡会としては、本年の人勧で決定システムとしての人勧制度が機能不全に陥り、賃金闘争もまた大きな転換点にあることを踏まえ、団体交渉による決定システムの構築を展望しつつ、政府に対する取組みや地方確定闘争などの秋季確定闘争に全力を挙げることとしている。
 給与関係閣僚に対する要求提出の経過は次の通り。

<官房長官への要求書提出の経過>
 安倍官房長官への要求提出は、9日午前10時20分から官邸で行われ、丸山議長他委員長クラス交渉委員が出席した。
 冒頭丸山議長は次の通り要求書の趣旨を説明した。
(1) 昨日行われた人事院の勧告・報告のうち、比較企業規模を50人以上に拡大し月例給・一時金の改定を見送った措置についてわれわれは、到底認めることができない。
 その理由は、第1に、人事院は昨年の総裁回答を一方的に反故にし、その理由について十分納得いく説明を行わないまま、比較企業規模の見直しを強行したという点である。
 第2に、その結果、人事院自身が明らかにしたように月例給で1.12%、4,252円、一時金で0.05月分にも及ぶ官民較差が圧縮され、本来行われるべき月例給・一時金の改善勧告が見送られ、結果として公務員給与水準は大きく抑制された。比較企業規模の見直しは、次年度以降の公務員給与水準にも継続的な影響を及ぼすだけでなく、地方自治体の賃金により大きく影響し、ひいては疲弊している地域経済にも悪影響を及ぼすことは明らかだ。また、現役公務員の士気を損ない、有為な人材確保に支障をきたすことも明らかだ。
 第3には、1964年の政労トップ会談で歴史的・制度的に公務員給与水準決定の社会的枠組みとして確立されてきた現行の比較企業規模を、人事院が法律上の権限だけを根拠に見直すことはあってはならないし、仮に公務員給与決定の基本的な枠組みを見直す必要があるのなら、労使の交渉・協議を行うべきだ。われわれは、公務員給与の社会的コンセンサス確立のため、政労トップ会談を要請したいと考えており、その実現に官房長官として努力してもらいたい。
(2) 人事院の今回の措置は明らかに政府・与党(政治)の「要請」を受け入れたものと考えている。これは、労働基本権制約の代償機能の根幹を揺るがし、第三者専門機関としての人事院の独立・中立性が大きく損なわれたものとして認識せざるを得ない。以上のことからわれわれは、本年、人事院が行った企業規模を見直した上での月例給・一時金の改定見送り措置を決して受け入れることはできない。使用者としての政府に対しては、比較企業規模を見直した給与改定措置に対する態度決定を見送り、われわれと十分交渉・協議の上、公務員給与を改善するよう強く要請する。
(3) その他の給与構造見直しに関わる勧告や育児のための短時間勤務制度等に関する意見の申出については、来年度から実施できるよう、次期国会には必要な改正法案を提出するよう努力してもらいたい。
 これに対して官房長官は「昨日夕刻、人事院総裁から総理に対し人事院勧告が手交されたところであるが、その取扱いについては、国家公務員の労働基本権制約の代償措置である人事院勧告を尊重するとの基本姿勢の下、国の財政状況、民間の経済情勢等、国政全般との関連を考慮しつつ、誠意をもって検討を進めていく必要があると考えている。また、あわせて行われた短時間勤務制度等に係る意見の申出についても、必要な法律案を検討していく必要があると考えている」として、政府としては人勧尊重の基本姿勢のもとで取扱い方針を検討していくとの見解を示した。
 これらの回答を受けて公務員連絡会側は、「本年の企業規模見直しは地方自治体により大きく影響し、地方毎の賃金格差を拡大させることになり、人材確保にも支障を来すことが懸念される。政府はその点も十分踏まえ慎重に検討してもらいたい」と、地方公務員の賃金決定の在り方も十分踏まえて適切に対応することを求めた。
 最後に丸山議長は、@政府として、「専門調査会」の審議を促進し、速やかに公務員の労働基本権確立を含む労使関係制度の抜本改革に向けた答申を行うよう要請することA定員純減に伴う配置転換に当たっては十分当該組合と話し合い、使用者としての雇用責任を果たすこと、の2点を要請して申入れを締めくくった。

<総務副大臣申入れの経過>
 総務省への要求提出は、竹中総務大臣外国出張のため山崎副大臣に対して、午前11時30分から、丸山議長ほか委員長クラス交渉委員が出席して行われた。
 冒頭丸山議長は、「使用者としての政府に対しては、比較企業規模を見直した給与改定措置に対する態度決定を見送り、われわれと十分交渉・協議の上、公務員給与を改善するよう強く要請する」と、要求書の趣旨を説明した。
 これに対して副大臣は、次の通り見解を述べた。
(1) 政府は、去る8月8日に、人事院勧告を受け取ったところであるが、総務省としては、速やかに給与関係閣僚会議の開催をお願いし、その取扱いの検討に着手したいと考えている。
(2) 人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置の根幹をなすものであり、政府としては、同制度を尊重するとの基本姿勢を堅持すべきものであると考える。本年度においても、国の財政事情をはじめ国家公務員給与を取り巻く環境には極めて厳しいものがあるが、総務省としては、ただいま申し上げた基本姿勢の下、国政全般との関連を考慮し、誠意をもって検討を進めていきたい。
(3) 人事院勧告及び意見の申出の検討に当たっては、皆様方の意見も十分にお聞きしたい。
(4) 専門調査会における議論については、総務省としても、行政改革推進本部に必要な協力を行ってまいりたい。
(5) 配置転換等の取組に当たっては、職員に対する情報提供を行うとともに、職員団体とも必要な意見交換を行っていくことが重要と考える。総務省としても、今後の配置転換等の実施に当たっては、積極的に取り組んでいきたい。
 これらの見解を受けて、丸山議長は、再度要求事項の実現に努力を重ね、政府の取り扱い方針決定前に総務大臣が回答するよう求め、交渉を終えた。

<厚生労働大臣申入れの経過>=10日に追加=
 川崎厚生労働大臣への要請は、10日の午後4時30分から実施した。
 冒頭、岡部副議長が要求書に基づき要求の趣旨を説明し、厚生労働大臣の尽力を求めた。
 これに対して川崎厚生労働大臣は、マスコミによる公務員たたきに危惧を示した上で、育児の短時間勤務等に関して「人事院の意見の申出は積極的なことであり、民間の制度の充実について取り組みたい」とし、労働行政を所管する立場から、育児の短時間勤務等に関する意見の申出の扱いや労働基本権問題については前向きに対処したい、との見解を述べた。


資料1−公務員連絡会の声明
声 明

(1) 人事院は、本日、比較対象企業規模50人以上への拡大など官民比較方法の見直しを行った結果、官民較差は微少であるとして月例給・一時金の改定を見送り、給与構造見直しに関わる給与勧告や育児のための短時間勤務制度等の意見の申出を行った。
(2) 2006人勧期の闘いでわれわれは、依然として公務員バッシングが継続し、政府が公務員の総人件費をスケープゴートに徹底した歳出削減を実施する方針を閣議決定する厳しい情勢のもとで、@公務員給与水準の引下げを狙った官民比較方法の基本的な枠組みに関わる企業規模等の拙速な見直しを行わないことA公務員の月例給・一時金を維持・改善することB育児などの短時間勤務制度等を実現すること、などを最重点課題にした人勧期要求を提出し、ブロック別上京行動や延べ1.5万人にのぼる3次の中央行動、136万筆の要請署名、3次の全国統一行動などを実施し、公務員連絡会の組織の総力を挙げた取り組みを進めてきた。また、連合もわれわれの取り組みを全面的に支援し、人事院に申入れを行うなどの取り組みを進めた。
(3) 本日の人事院勧告・報告のうち、比較対象企業規模を見直した上で月例給・一時金の改定を見送った措置については、われわれは到底これを認められない。
 本年の勧告・報告で人事院は、1964年の政労トップ会談で歴史的・制度的に公務員給与水準決定の社会的枠組みとして確立されてきた現行の比較企業規模を、十分納得いく説明もなく、政府の「要請」を受け入れる形で一方的に見直した。このことにより、人事院自らが交渉の中で明らかにしたように、月例給で1.12%、4,252円、一時金で0.05月分にも及ぶ官民較差が圧縮され、本来行われるべき月例給・一時金の改善勧告が見送られ、公務員給与水準は大きく抑制される結果となった。
 本年の勧告・報告は、人事院が、公務における労使関係を否定した政治の圧力に屈して総人件費削減政策に荷担したものであり、本来、労働基本権制約の代償機関であり、中立・公正な第3者専門機関であるべき人事院の独立・中立性が大きく損なわれたものとして厳しく糾弾しなければならない。
 われわれは、本年の勧告により、公務員の賃金・労働条件決定制度としての人事院勧告制度は歴史的・制度的に限界を迎えていることが明らかとなり、人事院勧告制度のもとですすめてきたわれわれの賃金闘争が大きな転換点を迎えたことを確認しなければならない。われわれは、真の意味で「人勧体制」から脱却し、団体交渉による決定システムとそのもとでの新たな賃金闘争の構築に向けた闘いの決意を固めなければならない。
 以上のことからわれわれは、本年、人事院が行った企業規模を見直した上での月例給・一時金の改定見送り措置を決して受け入れることはできず、今回の措置を強行した人事院の姿勢を厳しく批判し、強く抗議するとともに、今後、政府に対して改めて公務員給与の改善を求め、取り組みを強めることとする。
(4) 比較企業規模の見直しは、次年度以降の公務員給与水準にも継続的な影響を及ぼすだけでなく、政府が地場賃金比較による水準引下げと地域格差の拡大を方針化している地方自治体の賃金確定により大きく影響し、ひいては疲弊している地域経済にも悪影響を及ぼすことは明らかである。
 2006勧告では、政府・与党が公務員給与水準の大幅な引下げを求めている中で、マイナス勧告を行わせず月例給・一時金の「維持」に止めたことは、われわれが終始基本姿勢を堅持し粘り強く闘った結果として確認できる。しかし、企業規模の見直しとその結果を認めることができないことはいうまでもない。
 給与構造見直しに関わる広域異動手当、扶養手当の第3子引上げ等の給与勧告などについては、話し合いの経過に基づくものであり、勧告通り実施することを求める。
 育児のための短時間勤務制度の意見の申出については、介護に係る措置が先送りされ、後補充者を非常勤とするなど内容上の不満はあるものの、公務におけるワークシェアリング実現に向けた5年間にわたる取り組みの成果であり、本格的な短時間勤務制度実現に向けた第1歩として受け止め、自己啓発等の休業制度も含め政府に早期の法改正と実施を求めることとする。
 本年の報告事項の一般の職員の勤務実績反映や退職時給付のあり方、俸給の調整額の見直しなどの課題については、今後、人事院と交渉・協議を行い、結論を得ることとする。また、所定内勤務時間短縮、厳格な勤務時間管理と超勤縮減等の課題についても引き続き重点課題として取り組みを継続することとする。
(5) 本年の秋季闘争を巡る情勢は、小泉首相の後継を決定する自民党総裁選などもあり極めて不透明であるが、政府の「基本方針2006」に基づく総人件費削減政策が具体化される極めて厳しい情勢のもとでの闘いとなることは避けられない。
 われわれは、秋季闘争において、改めて使用者としての政府に対して十分な交渉・協議と合意に基づく公務員給与改善を求め、取り組みを強める。さらに、これから本格化する地方自治体の確定闘争や独立行政法人、政府関係法人等の闘いにおいても、厳しい情勢を踏まえつつ、公務員連絡会の官民比較方法の見直しに対する基本方針を堅持し、統一闘争体制のもとで全力で取り組みを進めることとする。
 同時に、連合・公務労協に結集し、公務員給与の社会的合意再確立のための取り組みを強めるとともに、行政改革推進本部の下に設置された「専門調査会」への対応を強め、労働基本権の確立を含む公務の労使関係制度の抜本的な改革に向けた取り組みを総力を挙げて前進させていく。さらに、国民生活の安心と安全を犠牲にして進められる政府・与党の「構造改革路線」に対決し、良質な公共サービス確立キャンペーンを中心とした取り組みを全力で進めていくものである。
 2006年8月8日

公務員労働組合連絡会



資料2−連合事務局長談話
人事院勧告に対する連合事務局長談話

1.人事院は8日、政府と国会に対し、国家公務員の給与についての勧告を行った。本年度の給与改定については、月例給を据え置き、一時金を昨年と同月数(4.45ヶ月)とする内容である。
 連合集計や毎勤統計等での民間賃金が全体的に改善の方向にあるなかで、抑制的な勧告と言わざるを得ない。

2.水準改定を見送った要因の一つに、官民の給与較差方法の見直し(比較対象の民間企業規模を「100人以上規模」から「50人以上規模」に変更など)がある。この給与比較方法は、1964年の「太田・池田会談」で合意された社会的枠組みである。
 今回の変更は、こうした重要な経過を無視し、連合および当該組合への十分な説明と協議がなされないまま、人事院が一方的に変更したものであり、労働基本権制約の代償措置という、人事院勧告制度の根幹を揺るがすものとして断じて許されない。また、人事院が、政府の「公務員の総人件費削減」の方針を意識したものと指摘でき、このことは政治的に中立な第三者機関としての役割を放棄するものといわざるを得ない。さらに、人事院勧告制度が、労働基本権が制約された公務員に対する「代償」「中立」の機能を果たさず、こうした一方的な変更が許されるとすれば、公務員給与に対する社会的コンセンサスの崩壊を招きかねず、改めて制度を再構築する必要がある。

3.今後、行政改革推進本部に設置された「専門調査会」を中心に、公務のあり方とそのもとでの公務員の労働基本権、賃金・労働条件決定システムなどの議論が本格的に始まる。連合もその場に参加することから、人事院機能や勧告のあり方を含めて、積極的な議論を仕掛けていく。
 また連合は、こうした取り組みを通じて政府・与党の「構造改革路線」に対峙し、労働基本権を含む公務員制度の抜本改革の取り組み、良質な公共サービスを作る運動、そして公務の労使関係制度の改革に果敢に挑戦することによって、国民生活の安心、安全、社会的な格差是正の取り組みを一層推進していく。

以 上



資料3の1−総理大臣宛要求書

2006年8月9日

内閣総理大臣
 小 泉 純一郎 殿

公務員労働組合連絡会
議 長  丸 山 建 藏


本年の人事院勧告、意見の申出に関わる要求書


 常日頃、公務員労働者の処遇改善にご努力いただいていることに感謝申し上げます。
 さて、人事院は8日、月例給や一時金の改定を見送り、給与構造見直しに関わる給与勧告と、育児の短時間勤務制度や自己啓発等の休業制度に関する意見の申出を行いました。
 本年の給与改定に関する措置については、われわれが強く反対してきた比較企業規模を50人以上に拡大することなど官民比較方法の見直しが納得のいく説明もなく一方的に行われており、到底受け入れることはできません。現行の比較企業規模は1964年に政労トップ会談で合意され、公務員給与水準を決定する社会的枠組みとして歴史的・制度的に形成されてきたものであり、仮に比較企業規模を見直す必要があるということであれば、再度、政労会談を行って決すべきものであります。にもかかわらず、政府の要請を受け入れる形で人事院が企業規模見直しを強行したことは、労働基本権制約の代償機能の根幹を揺るがすものであり、第三者機関としての中立性・独立性が著しく損なわれたものとして厳しく批判せざるを得ません。また、月例給・一時金の改定見送りという本年の措置は、公務員の職務遂行に対する士気に大きな影響を与えることは必至といわざるを得ません。
 以上のことから、貴職におかれては、公務員の使用者としての責任において、比較企業規模を見直した本年の給与改定に対する態度決定を見送り、改めてわれわれと十分交渉・協議を行い、合意のうえで、公務員給与を改善することを強く求めます。
 また、育児の短時間勤務制度等については、内容について一部不満は残るものの、本格的な短時間勤務制度への第一歩として受け止めており、来年度から実施できるよう、法改正など必要な準備を進められるよう要請します。
 本年の人事院勧告、意見の申出に関わって下記事項を申し入れますので、貴職におかれては、その実現に向けて最大限努力することを要請します。



1.官民比較企業規模を50人以上に拡大した本年の給与改定見送り措置は到底容認できないことから、われわれと十分交渉・協議、合意の上で公務員給与を改善すること。
2.育児のための短時間勤務制度並びに自己啓発等の休業制度に関する意見の申出については、直ちに実施する態度決定を行い、次期国会に関連改正法案を提出すること。
3.公務員給与の基準や基本的ルールを見直す必要がある場合には、労使間の交渉・協議に基づくこと。また、公務員給与の社会的合意を再確立するため、直ちに政労トップ会談を行うこと。



資料3の2−総務大臣・厚生労働大臣宛要求書

2006年8月9日


       殿

公務員労働組合連絡会
議 長  丸 山 建 藏


本年の人事院勧告、意見の申出に関わる要求書


 常日頃、公務員労働者の処遇改善にご努力いただいていることに感謝申し上げます。
 さて、人事院は8日、月例給や一時金の改定を見送り、給与構造見直しに関わる給与勧告と、育児の短時間勤務制度や自己啓発等の休業制度に関する意見の申出を行いました。
 本年の給与改定に関する措置については、われわれが強く反対してきた比較企業規模を50人以上に拡大することなど官民比較方法の見直しが納得のいく説明もなく一方的に行われており、到底受け入れることはできません。現行の比較企業規模は1964年に政労トップ会談で合意され、公務員給与水準を決定する社会的枠組みとして歴史的・制度的に形成されてきたものであり、仮に比較企業規模を見直す必要があるということであれば、再度、政労会談を行って決すべきものであります。にもかかわらず、政府の要請を受け入れる形で人事院が企業規模見直しを強行したことは、労働基本権制約の代償機能の根幹を揺るがすものであり、第三者機関としての中立性・独立性が著しく損なわれたものとして厳しく批判せざるを得ません。また、月例給・一時金の改定見送りという本年の措置は、公務員の職務遂行に対する士気に大きな影響を与えることは必至といわざるを得ません。
 以上のことから、貴職におかれては、公務員の使用者としての責任において、比較企業規模を見直した本年の給与改定に対する態度決定を見送り、改めてわれわれと十分交渉・協議を行い、合意のうえで、公務員給与を改善することを強く求めます。
 また、育児の短時間勤務制度等については、内容について一部不満は残るものの、本格的な短時間勤務制度への第一歩として受け止めており、来年度から実施できるよう、法改正など必要な準備を進められるよう要請します。
 本年の人事院勧告、意見の申出に関わって下記事項を申し入れますので、貴職におかれては、その実現に向けて最大限努力することを要請します。



1.官民比較企業規模を50人以上に拡大した本年の給与改定見送り措置は到底容認できないことから、われわれと十分交渉・協議、合意の上で公務員給与を改善すること。
2.育児のための短時間勤務制度並びに自己啓発等の休業制度に関する意見の申出については、直ちに実施する態度決定を行い、次期国会に関連改正法案を提出すること。
3.公務員給与の基準や基本的ルールを見直す必要がある場合には、労使間の交渉・協議に基づくこと。また、公務員給与の社会的合意を再確立するため、直ちに政労トップ会談を行うこと。
4.「公務、公務員及び労使関係に関する専門調査会」の審議を促進し、可及的速やかに公務員の労働基本権確立を含む労使関係制度の抜本改革に向けた答申を要請すること。
5.5.7%以上の定員純減に伴う配置転換等の全体計画の実施に当たっては、雇用調整本部や地方推進協議会と公務員連絡会及び当該組合が十分交渉・協議を行うとともに、本人の納得性をはじめ使用者としての雇用責任が完全に果たせるよう最大限の努力を払うこと。

以上