2006年度公務労協情報 66 2006年9月22日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

高齢雇用対策で総務省高齢対策課長と交渉−9/22

 公務員連絡会高齢対策専門委員会は、9月22日午後1時30分から、別紙申入書に基づき、公務の高齢雇用対策推進等に関して、総務省人事・恩給局稲山公務員高齢対策課長と交渉を実施した。
 冒頭、中野高齢対策専門委員長は、「2005年8月8日に高齢対策課長交渉を持ち意見交換を行い、高齢再任用の定着と拡大にむけて、総務省として一層の努力を要請したところである。本年3月23日の総務大臣交渉においても、大臣から『公務員の高齢者雇用については、再任用に関する実施状況を把握しつつ、その円滑な運用と定着に向けて、政府全体として必要な対応を進める』との回答をいただいている」と述べた後、以下の課題について総務省としての見解を質した。
(1) 2005年、2006年における高齢再任用の状況については、どのようになっているのか。
(2) 高齢再任用の定着・拡大にむけて、どのような施策を講じているのか。その特徴について説明いただきたい。また、再任用職員やこれを希望する職員に対してアンケート等を実施したのであれば、その結果等について説明いただきたい。その上で、公務員連絡会構成組織との意見交換をさせていただきたい。
(3) 再任用以外の高齢雇用の施策に関して、2005年の交渉以降、検討の進捗があれば、その状況について説明いただきたい。
 これらに対し、稲山課長は、次の通り、総務省の考え方および「平成18年度再任用実施予定および平成17年度再任用実施状況」「アンケート調査結果のポイント」について説明した。
(1) 「平成18年度再任用実施予定および平成17年度再任用実施状況」の調査結果については、平成18年度の再任用実施予定数は、1,079人と前年度比33人減とほぼ横ばいに推移している。勤務形態別では、短時間勤務が426人で前年度比44人増、フルタイム勤務が653人で前年度比77人減となっている。1,079人のうち、更新者は短時間勤務で186人、フルタイム勤務で310人となっている。
(2) 「アンケート調査結果のポイント」について説明すると、給与面での待遇以外については、概ね満足度が高い結果となっており、高齢再任用制度の趣旨に沿った運用が行われていると認識している。調査結果については、関係冊子の作成の際に活用するとともに、各府省へフィードバックされていると考えている。
(3) 在職期間の長期化については、内閣官房と連携し、一層の取り組みを進めているところである。また、再任用以外の高齢者雇用施策については、高齢層を対象とした「退職準備プログラム」および若い世代等を対象とした「生涯生活設計プログラム」を策定するとともに、関連講習会を実施している。また、50歳以上の職員およびその配偶者を対象にした「ニューライフを考えるセミナー」を実施するなどの啓発活動に取り組んでいる。このように、実施可能な施策を着実に取り組んでいる。
 こうした回答に対して、公務員連絡会側より、次の通り総務省の考え方を質した。
(1) 定年退職者における再任用を希望する割合、そのうち、実際に再任用職員となる割合について把握しているのか。把握していない場合、総務省として把握するつもりはあるのか。
(2) 団塊の世代の大量退職(2007年問題)が言われているが、国の実情と具体的対応について、どのように考えているのか。
(3) 国においては、△5.7%の定員純減が行われようとしているが、これにともない、配置転換などの雇用調整が行われる職場が今後発生することが想定される。定員管理への対応が求められる中、高齢再任用制度の定着・拡大にむけた実効性のある施策についてどのように考えているのか。また、配置転換の対象となった職員が定年を迎える際、再任用の対象となるのは、配置転換前か、それとも後の職場か。
(4) 再任用職員数のうち、短時間勤務が増えている要因を如何に考えているのか。
(5) 本年の人事院の「育児のための短時間勤務制度についての意見の申出」の中で、後補充のための任期付短時間勤務職員(非常勤職員)について言及されている。定年退職者等に対して、同制度を適用することも一つの方策ではないか。
(6) 各府省によって再任用職員の数に格差がある。各府省間での調整が必要ではないか。また、民間では改正高年齢者雇用安定法が4月1日に施行され、65歳までの安定した雇用確保措置として、@定年年齢の引上げ、A継続雇用制度の導入、B定年制の廃止が規定されている。公務においてもこれらの動向を踏まえ、先行した取り組みを行う必要があると考える。また、1999年、公務員制度調査会「公務員制度改革の基本方向に関する答申」において、定年年齢の引上げについて示されていることを踏まえれば、定年の引上げについて検討を行う必要があるのではないか。
(7) 被用者年金一元化にともない、年金と給与の併給調整が行われる場合、これまで以上に年金と給与に影響が及ぶのは必至である。この点についてどのように認識しているのか。
 これらに対して、総務省側は、次の通り回答した。
(1) 昨年から要請されていたご指摘の点については、各職員の意向が流動的であり、総務省として全体状況を把握するのは困難であると考えている。総務省としては、「平成18年度再任用実施予定および平成17年度再任用実施状況」と同様の調査を引き続き実施するとともに、その結果を分析・検証のうえ、各府省における業務・職務の見直し等を行い、再任用の定着・拡大を推進していきたい。
(2) 国家公務員については、地方公務員ほどの大量退職者が発生する事態ではない。しかし、退職を迎える職員がこれまで培った知識や経験が公務職場で発揮できるよう、各府省に対しては、対象職員の希望に沿った仕事や行政需要などを踏まえ、再任用の定着・拡大をはかるよう呼びかけて参りたい。
(3) 定員純減にむけた取り組みを進めようとする状況下にあって、再任用職員を別枠で確保することは困難である。行政需要へ対応するため、まず、どのような組織にするかを考えることが前提であると考えている。また、組織全体の運営を考えれば、新規採用や再任用など課題については、総合的な観点にたって対応する必要があると考えている。
 配置転換の課題については今後とも注視して参りたい。定員管理については、従前からの課題であり、定員管理を担当する部局とも連携しながら対応していきたい。再任用については、出身府省であることが条件になる訳ではない。
(4) これまでの業務等の見直しの中で、短時間勤務で対応することが適切な仕事や、フルタイムによる勤務を職員が望まないことなどが考えられる。
(5) 意見の申出の内容を法制化し、制度を実施することが第一の課題であると考えている。また、各府省において、育児のための短時間勤務制度のニーズがどれだけあるかは承知していないが、任用にあたっての基本的な枠組みを整備する必要があると考えている。退職者の知識や経験を、後補充のための任期付短時間勤務職員として活用していきたいとのニーズが高まってくれば、ご指摘の点については、任用にあたっての基本的な枠組みを踏まえ、肯定的に対応していきたいと考えている。
(6) 指摘の点についての抜本的な解決策を示すことは難しいと考えている。法改正を受けた民間の動向については、把握しておく必要があると認識している。職員の定年の延長についての指摘の趣旨については承るが、現時点で検討に入ることは困難であると考えている。したがって、再任用制度による対応が基本になると考える。
(7) 給与と年金の課題についてはフォローしていきたいと考えているが、勤務条件の課題となるので、人事院等の動向を見ていきたい。

 最後に、定員純減などの課題が山積する中で、高齢再任用の定着と効果的な運用および職員の意向に沿った制度の改善がはかられるよう、引き続き取り組みの推進を要請し、この日の交渉を終えた。

付属資料「平成18年度再任用実施予定および平成17年度再任用実施状況」「アンケート調査結果のポイント」


(別紙)

2006年9月22日


総務大臣
 竹 中 平 蔵 殿


公務員労働組合連絡会
議 長 丸 山 建 藏



公務の高齢雇用対策推進等に関する要求書


 貴職の公務員の雇用・勤務条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 公務の高齢再任用制度が導入されて5年が経過しました。公的年金の満額支給年齢が引き上げられていくなかで、年金と雇用の接続はますます重要となっています。
 民間においては高齢者雇用継続制度がスタートし、60歳代前半の雇用確保に向けた様々な取組みがなされているところです。
 公務においても、厳しい財政環境にはありますが、在職期間の長期化を図るとともに、高齢再任用制度の定着・拡大をはじめ高齢者雇用政策の強化が求められます。
 公務の高齢者雇用に関し、下記事項を要求しますので、その実現にご尽力頂きますよう要請します。




1.天下りをなくすため、在職期間の長期化に積極的に取り組むこと。

2.民間における高齢者雇用継続制度の導入を踏まえ、定員の弾力的扱いなどを含め高齢再任用制度の定着と拡大に取り組み、雇用と年金の接続をはかること。また、再任用者の実態調査や再任用希望調査を行い、実態把握に努めること。

以上