2006年度公務労協情報 69 2006年10月16日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

委員長クラスが人勧取扱いで総務大臣と交渉−10/16
−政府は明日閣議決定予定、公務員連絡会は給与改定見送りに強く抗議−

 公務員連絡会丸山議長他委員長クラス交渉委員は、16日午前11時から、総務省内で菅総務大臣と交渉をもち、8月9日に提出した人勧取り扱いに関する要求書に対する回答を求めた。これに対して大臣は、明日(17日)、第2回給与関係閣僚会議を開いて勧告通り実施することを確認、その後の閣議で正式決定する見通しであるとの見解を示した。公務員連絡会は、要求を無視して一方的に閣議決定することに遺憾の意を表明、十分交渉・協議を尽くさなかったことに強く抗議した。交渉終了後、公務員連絡会は企画・幹事合同会議に経過を報告し、明日、閣議決定された場合は抗議声明を発し、@国会段階で総人件費削減と給与抑制政策の問題点を追及しA山場を迎えつつある地公賃金確定など、今後の秋季闘争を強めていくとの方針を確認した。

 総務大臣との交渉の冒頭、丸山議長は「8月9日に人事院勧告・報告、意見の申出の取扱いに対する要求書を提出し、今日まで交渉・協議を積み上げてきた。本日は、近日中に閣議決定を行うという話なので、政府の人事院勧告取扱い方針について、大臣から直接説明してもらいたい」とし、回答を求めた。
 これに対して大臣は、次の通り政府方針を説明した。
(1) 本年度の人事院勧告の取扱いについては、去る8月8日に受け取って以来、関係府省間で検討を進めてきたところであります。総務大臣としては、国の財政事情をはじめ国家公務員給与を取り巻く環境には極めて厳しいものがある中、給与関係閣僚会議等においては、労働基本権制約の代償措置の根幹を成す人事院勧告制度を尊重するとの立場で意見を申し上げてまいりました。
(2) その結果、明日、第2回目の給与関係閣僚会議を開いていただくことになり、そこでは、勧告どおり実施する旨の決定がなされるものと思います。給与関係閣僚会議で決定がなされれば、その後の閣議において政府として取扱方針が決定されることになると思います。
(3) 本年度の給与改定は、職員の皆様にとって厳しい内容となります。職員の皆様には、何卒御理解願うとともに、今後とも、国民の信頼にこたえ、公務能率及び行政サービスのー層の向上に努めていただきたいと思います。
(4) また、人事院勧告に合わせて行われた人事院からの意見の申出については、次期通常国会に必要な法律案を提出するなど、でぎるだけ早く実施にうつせるよう、作業を進めてまいります。

 この回答に対し丸山議長は次の通り見解を述べ、企業規模を見直したうえで給与改定を見送る人事院の措置をそのまま受け入れることについて遺憾の意を表明し、十分な交渉・協議を行わなかったことに強く抗議するとともに、育児短時間勤務等の意見の申出については早期実現を求めた。
1.給与関係
(1) 昨年の地域給与見直しに関わって行われた、給与構造関係の勧告の実施は当然と考えるが、企業規模を見直したうえで給与改定を見送る人事院の措置をそのまま受け入れることについては、この間の経過を踏まえると極めて遺憾である。政府の見直し要請を人事院が実施に移したものであり、われわれは、使用者としての政府の責任において十分に交渉・協議することを求めてきたにもかかわらず、議論が尽くされないまま閣議決定することについても遺憾であり、強く抗議する。
(2) 人事院の説明によれば、従来の比較方法では1.1%、4,252円の較差であったが、企業規模見直しの結果、本来改善されるべき給与の改定が見送られることによって公務員労働者の士気や生活に大きな影響をもたらすことになる。これは、地方公務員の給与や地域・地場の民間にも波及し、さらなる格差拡大を招く結果となるものだ。とくに、これから山場に入る地方公務員の給与確定にあたっては、比較方法の見直しとその結果について、地方公務員の取扱いがバラバラにならないよう、所管の総務大臣として、地方公務員の給与水準の確保や給与決定基準の確立に特段のご尽力を強く要請する。
(3) 今回の企業規模見直しは、政府の総人件費削減政策の一環として、定員純減に加えて、公務員給与の引下げを意図して行われたものであることは明らかであり、政府が人事院に圧力を加え、人事院がこれを受け入れることは、人事院の中立性、公正性を形骸化し、労働基本権制約の代償機能としての人勧制度を変質させたことに他ならない。仮に給与決定基準を変更する必要があると考えるならば、労使間の協議で結論を得るべきである。
(4) 公務、公務員の労使関係に関する「専門調査会」が開かれており、わたしも委員として参加しているが、調査会における議論を通じて労働基本権確立・賃金決定制度改革を強く要求していくこととする。また、政府に対しては、公務員給与の社会的合意を得るため、開かれた形で政労トップ会談の実現を強く求めておく。
2.意見の申出関係
(1) 意見の申出関係について臨時国会での法案提出を要求していたにもかかわらず、それが先送りされたことは不満である。しかし、その理由が事務処理に時間を要するという、純粋に物理的なものであればやむを得ないものと判断したい。
(2) 以後は、確実に通常国会の早い段階で法案提出し、早期実施へ向けて努力するよう強く要請する。

 これに対して総務大臣は、「今、議長からお話があったことについては、十分留意してまいりたい」との考えを示した。
 最後に丸山議長は、「今後とも、労使関係に留意し、十分な意思疎通ができるようよろしくお願いしたい」と要望し、大臣交渉を終えた。

以上