公務労協の労働条件専門委員会は、28日14時30分から総務省交渉を実施し、別紙の「人事院の企業年金・退職金調査結果を踏まえた退職手当に関する申入れ」を行った。これは、16日に人事院が「民間の企業年金・退職金等の調査結果」と「新たな公務員年金に係る見解」を塩崎官房長官に提出したこと(2007年度公務労協情報No.9参照)を踏まえたもので、総務省人事・恩給局の中島参事官らが対応した。
冒頭、岩ア労働条件専門委員長が申入書を手交し、その内容を説明した上で、総務省の見解を求めたのに対し、中島参事官は次の通り答えた。
(1) 国家公務員の退職手当の支給水準については、官民均衡を図る観点から、概ね5〜6年ごとに実施する民間企業退職金実態調査を通じ、民間企業の退職金の支給水準を調査し、これを参考に決定してきたところである。
今般の人事院の調査は民間企業退職金調査を兼ねたものであり、総務省としては、現行の国家公務員共済年金の職域部分(3階部分)に代わる新たな公務員年金制度(新3階部分)の議論の動向等を踏まえつつ、退職手当の支給水準についても必要な検討を行ってまいりたい。
(2) 退職手当は職員の重要な関心事項であり、検討に際しては職員団体からのご意見は十分伺ってまいりたい。
この回答を受けて、岩ア専門委員長から「公務を取り巻く情勢は厳しいが、引き続き情報提供などわれわれとの話し合いを継続し、適切な対応をお願いしたい」と要請し、申入れ交渉を終えた。
なお、公務労協労働条件専門委員会としては、新たな3階部分年金制度の検討を注視しながら、退職手当の水準に関わる必要な対応をしていくことにしている。
別紙資料−総務大臣への申入書
2006年11月28日
総務大臣
菅 義 偉 殿
公務公共サービス労働組合協議会
議 長 岡 部 謙 治
人事院の企業年金・退職金調査結果を踏まえた退職手当に関する申入れ
公務員労働者の賃金・労働条件改善に向けた貴職のご努力に敬意を表します。
さて、人事院は16日、政府の要請に基づいて進めてきた民間の企業年金・退職金の調査結果と新たな公務員制度としての年金の仕組みについての見解を取りまとめ、官房長官に提出しました。
この調査結果によれば、民間の退職給付総額は公務の退職給付総額を若干上回っているもののほぼ官民均衡しているものと認識できます。また人事院は、この調査結果に基づき、現行の共済年金の職域部分が廃止されれば、それによって生ずる較差を解消するために「新たな年金の仕組みを設けることが適当」との見解を述べています。
政府は、この人事院の調査結果と見解を受けて、年金一元化の検討を再開していますが、官民均衡の原則に基づいて「新たな年金の仕組み」を設けるのであれば、現行の支給水準は当然確保されるべきものと考えます。
以上のことから、貴職におかれては、人事院の調査結果と見解を尊重し、今後検討される新たな年金の仕組みにおいて現行支給水準が確保されることを前提に、退職手当の現行支給水準維持に向け、最大限努力されるよう申し入れます。
記
1.人事院の退職給付に関する調査結果と見解を尊重し、新たな年金の仕組みにおいて現行支給水準が確保されることを前提に、退職手当の現行支給水準を維持すること。
2.退職手当の検討にあたっては、公務労協と十分交渉・協議し、合意すること。
以上