2007年度公務労協情報 15 2007年2月8日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

地公部会が春闘期の要求について全人連に申入れ−2/8

 公務員連絡会地公部会は、8日15時5分から、春闘期の要求について、全国人事委員会連合会に申入れを行った。
 公務員連絡会側は、地公部会の山岸議長(都市交委員長)、岩本地公部会事務局長、地公部会幹事が出席し、全人連側は、内田会長(東京都人事委員会委員長)はじめ、都道府県人事委員会のブロック代表および政令市の代表者が対応した。
 冒頭、山岸地公部会議長は、要請書(別紙)を手交し、以下の通り要請の趣旨を述べた。
 「昨年の地方公務員の給与改定は、人事院の比較企業規模引下げと、地域民間給与に準ずるべきだとする圧力により、水準の引下げと地域間格差の拡大の結果になった。改めて比較企業規模を100人以上とするよう求める。また、地方公務員の標準的給与の確立が必要であり、そのための全人連の体制・機能強化も必要。財政事情を理由とした給与カットは、人事委員会の代償機能の否定であり、人事委員会としての役割発揮を要請する。」
 続いて、岩本地公部会事務局長が、要請書の課題について説明し、全人連としての努力を求めた。
 こうした地公部会の要請に対し、内田全人連会長は以下の通り回答した。

<全人連会長回答>

2007年2月8日

 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。
 早速、全国の人事委員会にお伝えいたします。
 あらためて申すまでもありませんが、人事委員会の重要な使命は、公務員の給与等の勤務条件について、社会情勢に適応した適正な水準を確保することであると認識しております。
 各人事委員会は、昨年の勧告におきまして、同種・同等の者同士を比較するという原則の下、民間従業員の給与実態をより広く把握し職員給与に反映させるよう、比較対象とする企業規模・従業員の範囲を拡大するなど、公民比較のあり方について、見直しを行いました。
 現在、人事院及び各人事委員会は、本年の民間給与実態調査の実施に向け、昨年と同様、民間給与実態を的確に把握できるよう、その準備を進めているところです。
 今後、各人事委員会において、要請内容を含め、各自治体の実情を踏まえながら、本年の勧告に向けて検討をしていくことになろうかと思います。

 なお、地公部会は、1月29日の代表者会議で確認した方針に基づき、各人事委員会に各級共闘による要請書を提出することとしているが、2月5日に東京地公労が東京都人事委員会に対して要請を実施した。その要請書は(参考資料)の通り。


(別紙)地公部会の全人連要請書

2007年2月8日

全国人事委員会連合会
 会 長 内田 公三 様

公務労協公務員連絡会地方公務員部会
全日本自治団体労働組合 
中央執行委員長 岡部謙治
日本教職員組合     
中央執行委員長 森越康雄
日本都市交通労働組合  
中央執行委員長 山岸 晧
全日本水道労働組合   
中央執行委員長 佐藤幸雄
全国自治団体労働組合連合
中央執行委員長 玉野一彦
日本高等学校教職員組合 
中央執行委員長 小林政至


要 請 書


 貴職の地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 公務員労働者は、連年の賃金引下げにより生活水準を維持することが困難となっています。昨年は政治的要請に基づく人事院の比較企業規模引下げにより、公務員は実質的な賃金引下げとなりました。地方公務員の賃金については、厳しい地場賃金圧力のもとでいっそうの水準引下げと自治体間格差を拡大する結果となりました。地方財政危機を理由に職員の給与をカットする自治体も依然として後を絶たない状況です。
 民間においては2007春闘が始まっており、労働組合は、格差是正をはじめ景気回復や好調な企業業績を背景にベースアップを求めて団体交渉に臨んでいます。
 公務においても引上げ傾向にある民間の賃金水準を反映した賃金改定が求められます。そのため、比較企業規模の回復等による公務員賃金の社会的合意の再確立と賃金水準の確保、職務給の原則を踏まえた地方公務員の標準的給与を確立する取組みが必要であると考えます。
 貴職におかれましては、地方公務員の生活を守るという人事委員会の使命を十分認識され、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。



1.地方公務員の生活を改善するための賃金水準を確保すること。
2.2007年民間給与実態調査において、比較企業規模を100人以上とすること。また、一時金の公民比較は、比較企業規模を100人以上とするとともに同種・同等比較とすること。
3.公民比較方法のあり方の検討に当たっては、職員団体との十分な交渉・協議に基づくこと。
4.地方公務員の標準的給与の確立に向けた取組みを行うこと。そのため、全国人事委員会連合会の体制・機能の強化をはかること。
5.公立学校教職員の給与について、引き続き、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成、提示すること。モデル給料表の作成に当たっては、関係労働組合との意見交換を行うこと。
6.給与構造見直しに対応し、国の給与決定における審査申立制度の改善措置に対応した措置を講ずること。
7.休憩・休息時間の見直しに当たっては、始業・終業時刻を延長しないこと。また、育児・介護を行う職員に配慮するとともに、交替制勤務職場の取扱いについては従前同様とすること。
8.年間総労働時間を早期に1,800時間程度に短縮するために、引き続き次の事項の実現に努めること。
 (1)「不払い残業」の一掃と所定労働時間の短縮(変則・交替制勤務職場における労働時間短縮の重視)
 (2)実効ある男女共通の超過勤務規制のための積極的施策の推進
 (3)年次有給休暇取得の促進
 (4)労働時間短縮のための人員確保等の施策の構築
9.各種休暇制度を新設・拡充し、総合的な休業制度を確立すること。とくに、家族看護休暇およびリフレッシュ休暇、有給教育休暇(リカレント休暇)の新設、夏季休暇日数の拡大をはかること。
10.育児休業・介護休暇の男性取得の促進のための必要な措置を行うこと。
11.民間における高齢者雇用安定法の改正を踏まえ、高齢者再任用制度が、希望するものすべてが雇用されるなど実効性のある制度として定着するよう、積極的な措置を行うこと。 
12.国家公務員の進捗状況を踏まえ、実効あるセクシュアルハラスメントの防止策を引き続き推進するため必要な措置を行うこと。
13.公務職場における障害者雇用の促進をはかるため、職場環境の整備を含め必要な措置を行うこと。
14.各人事委員会の勧告に向けた調査や作業に当たっては、職員団体との交渉・協議、合意に基づき進めること。

(参考資料)東京地公労の都人事委員会要請書

2007年2月5日

東京都人事委員会
  委員長  内 田 公 三 殿

東京地方公務員関係労働組合連合会
(東京地公労) 議長 遠 藤 幹 夫


要 請 書


 東京都に働く職員の賃金・労働条件の改善に向けご尽力いただいている貴職に敬意を表します。
 さて、日本経済の景気と企業業績の回復は「いざなぎ景気」を上回ると云われておりますが、労働者の雇用と生活の危機は一向に改善されず、個人所得については雇用形態・企業規模・地域間での格差が一層拡大し、二極化が進行しています。企業業績の回復と家計の苦しさが好対照を成している中で、今年の春闘は企業業績の成果配分をめぐって「昨年を上回る賃金改善(実質1%以上のベア)」の攻防が想定されています。
 そうした中で、私たち公務員労働者の賃金水準は、一昨年の「地域給・給与構造の見直し」、昨年の「比較企業規模の見直し」、によって一方的に引下げられ、極めて厳しい生活を余儀なくされています。また、教職員給与の一方的な削減見直しまで検討されています。
 これは、労働基本権制約の代償措置である人事院・人事委員会が、「中立・公正な第三者機関」としての役割を放棄し、公務員給与の削減を盛り込んだ政府の「骨太方針」や総務省の「制度は国公準拠、水準は地場民賃」との強い指導に屈服した「不当な政治的勧告ゆえである」と云わざるを得ません。
 東京都では、私たちの再三にわたる反対申し入れにもかかわらず、一昨年の経緯を省みず国に準拠した地域手当を導入し、比較対象事業所規模を引下げて国を大きく上回るマイナス勧告を行ったことは極めて遺憾であります。一時金に至っては同種同等の比較すらなされていません。
 東京都人事委員会勧告は、都職員ばかりでなく区市町の職員はもとより、民間賃金や地域経済にも大きな影響を与えています。貴職に置かれましては、国の干渉や人事院に追随することなく、労働基本権制約の代償機関である人事委員会の基本的な使命を十分に認識され、大都市東京での生活実態を直視し、職員の生活防衛と改善のためにご尽力頂くことを強く求めるものです。
 そのことを踏まえ、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われることを要請します。



1、2007年度の賃金改善について
 2007年度の賃金改定にあたっては、大都市東京での生活実態を踏まえて賃金水準の改善を図ること。また、勧告作業にあたっては、水準・配分・体系等について労働組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。
2、比較企業規模について
 2007年度民間給与実態調査にあたっては、比較企業規模を従前の100人以上に是正し、一時金については、同種・同等の原則による比較とすること。また、公民比較方法のあり方の検討にあたっては、労働組合との十分な交渉・協議に基づくこと。
3、地方公務員の標準的給与の確立について
 地方公務員の標準的給与の確立に向け検討を進めること。そのため、全国人事委員会連合会の体制・機能の強化を図ること。
4、労働時間短縮と勤務制度改善について
 実効ある超過勤務規制を積極的に進め、週所定内勤務時間の短縮を行うこと。また、育児の短時間勤務制度および自己啓発休業制度を導入するとともに、育児休業・介護休暇の男性の取得促進、年次休暇の取得促進と人員確保などの施策を講ずること。

以上