公務員連絡会は、3日、2007人勧期第1次中央行動を実施し、中央決起集会、人事院交渉及び交渉支援行動に取り組んだ。
午後1時30分から社会文化会館でホールで開かれた7.3第1次中央決起集会には全国から900名の仲間が結集し、人勧期の情勢が総人件費抑制の継続や国公法改正法案の強行採決など極めて厳しいことを踏まえつつ、民間の賃上げ動向等を踏まえた賃金をはじめとする労働条件の改善に向け、要求に沿った人事院勧告の実現に向けて取り組みを強化する決意を固めた。
この日の幹事クラス交渉委員と人事院職員団体審議との交渉では、人事院に対し要求実現を求めたが、審議官からは作業中であることを理由に抽象的な見解しか示されず、極めて不満な回答内容にとどまった。
また、公務員連絡会は、同日昼に行われた企画調整・幹事合同会議で、参議院選挙の延期にともない当初7月26日に予定していた第2次中央行動・第3次全国統一行動を7月31日午後に変更して実施し、人事院から誠意ある回答引き出しを図る方針を確認した。
午後1時30分から社会文化会館ホールで開かれた中央集会の冒頭挨拶にたった福田議長は、「政府は、骨太方針2007でも徹底的な歳出削減を求め、公務員の総人件費削減を政治的な重要課題に位置づけ一段と進めようとしている。人勧期のたたかいを公務員連絡会に結集し総力をあげて闘わなければならない。そして、参議院選挙には、まなじりを決し不退転の決意で取り組み、安倍政権に明確にノーを突き付け、近い将来の政権交代にむけ、連合や公務労協が総決起していかなければならない」と主催者を代表して強く訴えた。
激励挨拶には、連合を代表して高橋副事務局長が駆けつけ、「公務員労働者の闘いは、これからが本番であり、連合も支援していきたい。参議院選挙では、与党を過半数割れに追い込まなければならない。もし、それが出来なかった場合には、人事院は政府・与党の政治的要請に従うままである。ホワイトカラーエグゼンプション、解雇の金銭解決、憲法改正なども与党の思うままになる。連合も公務員連絡会とともに最後まで闘い抜く」と連帯の挨拶を行った。
続いて山本事務局長は、「06年人事院勧告は官民給与比較見直しのもと、政治的な賃金引下げ勧告であった。公務員の賃金・労働条件決定制度の抜本的改革が必要となっているなかで、当面の厳しい人勧期の闘いを進めていかなければならない。本日の幹事クラス交渉を第1弾とし、7月31日の書記長クラス交渉で実質的な回答を引き出すべく、お互いに力を合わせて取り組んでいきたい」と取り組み方針を提起した。
構成組織決意表明では、自治労・君島副委員長、国公総連・友利執行委員、都市交・林中央執行委員、国交職組・佐藤書記次長が登壇し、職場の取り組み報告も含め、力強くたたかう決意を表明した。
集会を終えた参加者は、人事院交渉を支援する行動に移り、「公務員給与を改善せよ」「非常勤職員の処遇を改善しろ」「所定勤務時間短縮を実現しろ」と力強くシュプレヒコールを繰り返した。人事院前で行われた総括集会では、この日行われた職員団体審議官との交渉経過の報告を受け、団結ガンバロウで行動を締めくくった。
この日行われた人事院職員団体審議官との交渉経過は次の通り。
<職員団体審議官交渉の経過>
幹事クラス交渉委員と井原職員団体審議官との交渉は15時から行われた。
冒頭、岩岬副事務局長が「6月18日には、総裁に2007年人勧期要求を提出したので人勧に向けた作業状況と合わせて現時点での回答を示したいただきたい」と審議官の見解を求めたのに対し、井原審議官は次の通り答えた。
(1) 民間企業実態調査は、5月1日から6月15日まで行われ、特段の支障なく終了した。現在、鋭意、集計作業中である。国公実態については、例年ベースで集計作業を行っている。
(2) 本年の民間企業の春季賃金改定は、各種調査結果では昨年と比べ賃上げ率は上昇しているがその上げ幅は非常に小さい。一時金については、夏季・年末ともにプラスであったが、年末のプラス幅は縮小している。また、現時点における19年夏のボーナス見込みに関しては、昨年夏季と比べた場合、プラス幅が小幅になっている調査結果もみられるなどバラツキもあり、楽観はできないものと認識している。いずれにしても民間給与の実態を精確を把握し、勧告に反映させていく。
また、配分などについては、公務員連絡会と十分な意見交換を行って行きたいと考えている。
(3) 専門スタッフ職俸給表については、各府省における複線型人事管理の検討や専門スタッフ職の対象とすべき職務についての検討の進捗状況を踏まえつつ、本年夏の勧告を視野に入れて検討を進めているところである。
公務員連絡会にも先日、素案を提示したところであり、引き続き意見交換を行っていきたい。
(4) 所定勤務時間については、昨年に引き続き民間企業の実態を調査している。その結果に基づき、交替制勤務や小規模事業所の窓口業務などにおける行政サービスへの影響を考慮しながら、検討することになる。
超過勤務の縮減については、現場における厳正な勤務時間管理や管理者のみならず職員の意識改革も必要であり、これまでも「超過勤務の縮減に関する指針」を発出するなど、各府省の努力を求めてきたところであるがなかなか進展していない。さらに実効ある施策について、関係機関と連携しながら検討を進めたいと考えており、一歩でも前進できるよう努力したい。
(5) 非常勤の給与については、その職務内容が区々であるため、基本的に各府省において、常勤職員との権衡に配慮しつつ適切に運営されているものと考えている。一律的な制度的対応が困難な面があるため、何が問題でどのように取り組むべきか、各府省の運用を踏まえて検討していきたい。
調査については、非常勤職員の任用実態が府省ごとに区々であるため、今後の検討を進める上では、その実情を的確に把握することが必要と考えており、まず、どのような視点から実情を把握していくのが適当かについて、洗い出していくことが先決と考えている。
(6) 男女平等の公務職場の実現については、改定された女性国家公務員の採用・登用に係る指針に基づき、各府省は平成22年までの目標を定めた「採用・登用拡大計画」を策定して具体的な取り組みを進めているが、人事院としても実施状況を把握しつつ、計画の着実な実現に向けて指導・助言して参りたい。また、メンター制度についても導入のモデル例・手引きの通知のみならず、昨年9月からは養成研修も実施している。
(7) 公務の高齢者雇用については、人事院としても雇用と年金支給開始の乖離の点から重要な課題であると認識しており、鋭意検討を進めていきたいと考えている。
(8) 評価制度については、評価結果の給与等への活用の在り方についても、先般成立した国家公務員法改正法の施行に合わせて実施する必要があり、今後方針等について検討を進めていく予定である。
これに対し公務員連絡会側は、次の通り審議官の見解を質した。
(1) 月例給与については、国公実態によって左右されるとしても、公務が連年にわたって給与が引き下げられていること、本年の民間が上昇していることを踏まえ、確実に改善勧告に結びつけてもらいたい。一時金についても、月数増となるかどうかは予断を許さないということだが、しっかり民間実態を把握してもらいたい。
(2) 専門スタッフ職俸給表の新設については、複線型人事制度の構築が目的というのなら複線型人事制度の内容、スタッフ職俸給表新設がそれに果たす役割を明確にしていただきたい。
(3) 所定勤務時間の短縮は、休憩・休息時間見直しの際に「総合的検討」として約束されたものであり、調査結果等について前広に議論させていただきたい。また、超勤縮減については「一歩でも前進」とのことであるので前向きに受け止め期待したい。
(4) 非常勤職員については、春の回答から前進していないが、調査を行うこと、研究会を設置すること、少なくとも常勤職員と同様な仕事をしている非常勤職員については俸給表に位置づけることなどは、公務として社会的要請に応えていく意味でも、ぜひ実現していただきたい。
(5) 本年調査では100人未満事業所の割合が増えているようだが、月例給、一時金に与える影響はないか。
(6) 労働安全衛生法が改正になり来年から小規模事業所でも管理者は勤務時間管理の責務を負うことになった。公務の方が今までのままでいいということにはならないので、勤務時間管理について真剣に取り組むべきだ。
(7) 勤務時間管理については「人事給与システム」に期待していたが止まっている。ぜひ使えるようにしていただきたい。
(8) 人事評価制度については、改正国公法が施行されると任用や給与等に活用することとなり、意味が変わってくるので、開示や苦情処理について代償機関として踏み込んで対応していただきたい。
(9) 男性の育児休業について数値目標の設定や新しく導入される育児短時間勤務制度のための条件整備を進めていただきたい。
以上の質問や要望に対し井原審議官は次の通り答えた。
(1) 国公実態の動向によって官民較差はマイナスにもプラスにも動くので、集計結果を待つ以外にない。一時金については、各種調査はアップしているが月数増となるかどうかは集計結果待ちであり、予断は許さないということだ。
(2) 専門スタッフ職俸給表は、高度の専門能力を持つスペシャリストがスタッフとして活躍できるようにするとともに、在職期間の長期化へ対応する観点から複線型人事管理の導入に向けての環境整備を図るものである。
(3) 所定勤務時間の問題については、調査結果を踏まえ検討していくことにしている。超勤縮減については真剣に取り組む姿勢で対応する。
(4) 非常勤職員は極めて難しい問題だ。区々であるので、まず、どのような視点から把握していくかの検討が必要と考えている。
(5) 100人未満事業所の割合が増えても母集団に戻すことなどもあり、統計処理の理論上は影響はないと考えているが、確認して後日回答する。
(6) 厳格な勤務時間管理は重要な問題と認識し真剣に取り組んでいるが色々難しい面がある。一歩でも進むよういろいろ努力したい。
(7) 男性の育児休業取得については、まずは職場の意識改革が必要であるし、環境整備に取り組んでいく。数値目標の要否は今後検討していきたい。
以上のように、人事院の回答は抽象的な見解しか示されず、極めて不満な内容にとどまったことから、公務員連絡会側は「次回の交渉では、われわれの要求に沿った、勧告に向けて先行きの見える具体的な回答をお願いしたい。代償機関として公務員労働者の利益保護という機能を発揮して、組合員の期待に応えていただきたい」と強く要求し、交渉を締めくくった。