2007年度公務労協情報 37 |
2007年7月19日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会 |
幹事クラス交渉委員が2回目の人事院職員団体審議官交渉実施−7/19
−較差など勧告の具体的方向性明示は局長交渉に持ち越す−
公務員連絡会の幹事クラス交渉委員は、19日11時から、人勧期要求の実現をめざし、2回目の人事院職員団体審議官交渉を実施した。
職員団体審議官との本年人勧をめぐる交渉は7月3日の第1次中央行動の際に1回目を行ったが、作業中であることを理由に抽象的な見解しか示されず、極めて不満な回答内容にとどまっていた。2回目の交渉では、月末の各局長との交渉に結びつけられるよう、給与水準の改善や勤務時間短縮等について明確な方向性を示すよう強く迫った。
冒頭、岩岬副事務局長が「7月3日に、1回目の交渉を行ったが中身のある回答を頂けなかった。その後作業が進捗していると思うので、今日は作業状況を含めて明確な回答を示していただきたい」と迫ったのに対し、井原審議官は次の通り答えた。
(1) 作業は例年ベースで進んでいるが、勧告日については、現段階ではまだ予定が立ていない状況である。
(2) 民調結果は、現在集計作業中であるが、昨年に比べ調査完了率は若干上昇しているようだ。
(3) 官民較差のプラス・マイナスについては、まだデータが出そろっておらず、最終集計までわからない。
プラス、マイナスいずれの較差が出た場合であっても、その配分については、組合のご意見や民間企業の動向などを踏まえ、対応していくこととなる。
(4) 期末・勤勉手当については、民間企業の夏のボーナスは7月に入って支払われるところも多いことから、ギリギリまで調査を続けていくこととなり、結果が明らかとなるのは、例年どおり勧告直前となる見込み。現在までのところ、集計企業の支給状況にはまだら模様が見られるとのことであり、結果の予測は全くたてられない。
(5) 民調における所定勤務時間に関する調査の結果は、まだまとまっていない。現段階では、交替制勤務や小規模官署の窓口業務へ影響を及ぼさないよう実施できるかについて、各府省と鋭意協議を進めている状況である。今後、調査結果を踏まえ、さらに検討していきたい。
(6) 超過勤務の縮減については、縮減方針に基づいて取り組んでいるが、なかなか進んでいない。今後、どのように進めていくかについて、現在、制度官庁と検討を進めているところである。また、業務に即した勤務時間の設定の観点から人事院としてどのような対応が取り得るかなどについても検討している。
現段階では、具体的な進め方をこの夏の報告の段階で言及することができるよう、検討しているところであるが、この問題については、重要な課題として人事院として引き続き、鋭意取り組んでいく所存である。
(7) 非常勤職員については、本年春から夏にかけて、その給与に関して各府省の担当者と個別に意見交換を行ったところであり、勧告の際に給与・諸手当の取り扱い関し課題を指摘することを視野に現在検討しているところである。
これに対し公務員連絡会側は、「前回とほとんど変わりない回答であり、勧告まで時間がない中で極めて不誠実で不満な内容である」と人事院の姿勢を厳しく批判した上で、次の通り審議官の見解を質した。
(1) 昨年に比べて民間実態はどのくらい伸びているのか、国公実態はどうか、具体的な見解を示してもらいたい。
(2) 一時金の状況はいつ頃わかるのか。今日の新聞には日本経団連調査で3%増との記事があったし、民間ではベアに積まないで一時金に積むということなので、上がっているのではないか。
(3) 所定勤務時間の短縮について、交替制と小規模官署の窓口への影響を調べたり制度官庁と協議しているとのことであるが、われわれが知っている限りでは各府省とも問題はないと聞いている。どこがどう問題なのかを具体的に示していただいて、どういった対応ができるか、われわれと十分議論をさせて欲しい。休憩・休息時間見直しの際、総合的に検討することにしており、前向きに対応すべきだ。
(4) 超過勤務については、具体的にどうするのか。例えば、国会待機をどうするのかという課題があるのではないか。
(5) 非常勤職員については、国会の附帯決議もあり実態調査の実施と、水準の引上げをぜひ報告していただきたい。また、非常勤職員にも服務の制約があるし、労働基本権が制約されており、代償として法定された勤務条件の保障などが求められるが、府省の一方的な裁量で労働条件がバラバラに決定されるのは問題である。
(6) 人事評価の問題については、改正国公法が成立し、制度設計や活用のあり方が課題になってくるし、これまでの試行で開示や苦情処理に問題があることが明らかだ。中立第三者機関として昨年以上に踏み込んで積極的な意見を報告すべきだ。
(7) 総理の下の有識者懇談会では定年延長が検討されることになっているが、本年の報告では人事院の考え方を示すべきだ。
以上の質問や要望に対し井原審議官は次の通り答えた。
(1) 民間実態は集計作業中であり、まだ、わからない。国公実態の全体の特徴としては平均年齢が例年より上がったと聞いている。そのため、国公の平均給与は上がることになるが、ラスパイレス比較を行っているので、官民較差への影響は集計が終わらないとわからない。
(2) 一時金はギリギリまでわからないし、まだら模様なので、まだどうなるのかいえる状況にはない。
(3) 所定勤務時間の民調結果は最後になるが、短縮した場合の影響について総合的に検討している。具体的問題としては、窓口時間を延ばしたところもあり、また縮めるのかといったことや交替制のところも問題がある。いずれにしても、皆さんとの意見交換はさせていただく。
(4) 超勤については、何らかの具体的なことを言いたいと考えている。本日の回答では、7月3日に比べて前向きな姿勢を明らかにしており、勧告に向けて最大限努力していく。
(5) 非常勤職員に関する各府省との意見交換で、給与が出ている予算項目が異なっていたり、同じような仕事をしていても処遇にはバラツキが見られたので、そういう点を指摘できるかどうかを含めて検討している。非常勤職員に対しても代償措置が必要であることは承知しているが、職務内容は千差万別区々であり給与は統一的な取り扱いをするのは難しい。
(6) 人事評価の問題については、人事行政に関する報告の中で、人事評価システムや活用のあり方について言及することにしているし、人事院として積極的な役割を果たしてまいりたい。
(7) 年金支給年齢との関係を含め、高齢者雇用の問題について言及することなどを検討している。
以上のように、今回の交渉でも審議官の回答が抽象的な内容に終始したことから、公務員連絡会側は「具体的な回答を示さないという人事院の姿勢に強い不満を感じる。様々な課題について、十分な議論ができるよう、人事院としてどういう検討をしているのか、できるだけ早く示すべきである。人事院の方針を決めてからではダメだ。もっとオープンに議論させて欲しい。今日の回答は、非常に不満であり、誠意が見られず極めて遺憾である。31日の書記長クラスと各局長との交渉では勧告の方向性が見えるよう最大限努力していただきたい」と強く要求し、交渉を終えた。