2007年度公務労協情報 43 2007年8月23日
公務公共サービス労働組合協議会

人事評価の政令案で行革推進本部事務局次長と交渉−8/23
−本格実施までのスケジュールの明確化と交渉・協議、合意を要求−

 公務労協は、8月23日13時30分より、改正国公法で規定された新たな人事評価制度のあり方について行革推進本部事務局との交渉・協議を実施した。この交渉・協議は、6月30日に国公法等改正法案が与党によって強行採決・成立したことを受け、公布の日から2年以内に新たな人事評価制度の本格実施とその任用・給与・分限等への活用が開始されることを踏まえ、政令等を作成する行革推進本部事務局の作業状況をただす意味で行われたもの。公務労協は、人事評価制度の本格実施までのスケジュールや手順、制度の内容、活用の在り方等についての考え方を質すとともに、政令案策定に当たって十分交渉・協議、合意の上で取りまとめるよう強く求めた。
 交渉・協議には山本事務局長ほか各構成組織書記長が参加し、行革事務局側は株丹次長、堀江・稲山参事官らが対応した。
 冒頭、山本事務局長が「国会で国公法等改正法案が成立したことを受けて、今後本格的に職員の任用・給与・分限などについて人事評価に基づいて決定されることになる。人事評価制度の設計に関する政令策定のスケジュールや所管等について明らかにせよ」と質したのに対し、株丹次長は次の通り答えた。
(1) 改正国公法については7月6日に公布されたところ。公布後2年以内に、能力・実績主義による人事管理のための人事評価制度が施行されることになり、これに間に合うよう、政令を発出することになる。行革事務局としては、政令案の策定にむけて鋭意作業を行っているところだ。
(2) 人事評価制度の設計等の所管は、行革推進本部事務局となる。新たな人事評価の試行は、引き続き総務省の所管である。総務省とも連携しながら、対応していきたい。
 これらの回答をうけて、公務労協側は、さらに「新たな人事評価制度については、本人開示の実施、苦情処理の対応などについて問題提起を行ってきたところである。任用、給与、分限に活用されるだけに、十分な交渉・協議だけでなく、合意のうえで政令案を策定していくことが不可欠だ」として、誠意ある交渉・協議と合意に基づいて今後の作業を行うよう強く求めた。これに対して事務局側は、「新たな人事評価制度の制度設計にあたっては、皆さんとは十分話し合いを行ったうえで、双方で合意できるよう最大限努力して参りたい。しかし、合意しなければダメだということにはならないと考えている」と、最大限努力することは約束したものの、最終決定権は当局側にあるという考え方を譲らなかった。そのため公務労協側は「国会等で官房長官や渡辺大臣が労使関係が重要であり、最大限誠意を持って対応するとしていることからも、通りいっぺんの努力ではこの問題は解決しない。是非、とことんまで合意するよう努力してもらいたい」と重ねて要請した。

 続いて、「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会(7/24第1回開催、労働側代表として連合高木会長が参加)で、公務員労働者の代表の意見を聴く場を設けるよう努力してもらいたい」と要請したのに対して、株丹次長は「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会は、今秋に、次期通常国会に提出予定の国家公務員制度改革基本法(仮称)のベースとなる報告をまとめる予定で審議が進められている。行政改革推進本部専門調査会の報告が先にまとめられれば、懇談会の報告にその内容をつないでいきたいと考えている。懇談会は、高い知見を持った有識者が、採用から退職までの広い課題について議論することとなっている。従って、有識者の議論が中心の運営になると思われる」と、当面、関係者からのヒアリング等は考えていないとの見解を示した。これに対して公務労協側は、「高木会長は労働界全体の代表だ。当該者の意見を聞かないで報告を取りまとめることは問題だ。是非、強い要望があったことを担当大臣にも伝え、努力してもらいたい」と重ねて意見聴取を求め、この日の交渉・協議を締めくくった。

 公務労協では、この日の交渉・協議を踏まえ、人事評価の制度設計−政令案等に関わる交渉・協議を9月から開始するよう行革推進本部事務局に強く求めていくこととしている。また、その給与・分限等への活用のあり方についても、所管の人事院と交渉・協議を開始することとしている。こうした交渉・協議を通じて、評価結果の開示や職員代表等が参加する苦情処理システムの整備をはじめとした透明で信頼できる人事評価制度の確立に向けた取組みを、この秋から一段と強める方針だ。

以上