公務労協は、12日、民主党の行政改革調査会(会長:松本剛明衆議院議員)に対し、別紙「独立行政法人の見直し等行政改革に関する要請」を行った。この要請は、民主党が「独立行政法人等廃止、民営化等法案」を取りまとめ今臨時国会に提出することにしていることから、法人廃止ありきではなく、国民のニーズを踏まえた事務・事業の検証に基づく見直しと仮に雇用問題が生じる場合には政府が雇用の承継に責任を持つこと、などを盛り込むよう求めたもの。
要請は、8時から、衆議院第1議員会館内の民主党政策調査会会議室で行われ、公務労協からは河田行革・雇用問題対策連絡会議座長(林野労組委員長)を代表として、井津井国税労組委員長、豊島政労連委員長、宇野税関労組委員長、長谷川全印刷委員長、中辻全造幣委員長、花村全農林書記長、山本公務労協事務局長らが参加し、民主党の行革調査会側は松本剛明会長、武正公一会長代理(衆議院議員)、松井孝治事務局長(参議院議員)、藤本祐司参議院議員が対応した。
冒頭、河田座長は松本会長に要請書を手交した上で、「本日は、民主党が検討されている法案について、要請をさせていただきたい。是非お願いしたいのは、国の役割を明確にして国民ニーズに応える見直しにしてもらいたいことと独法が生い立ちは三つに分かれており、その役割と任務が違っていることから、当事者であるわれわれの意見を聞きながら検討をしていただきたいということである」と要請の趣旨を述べ、続いて山本事務局長が要請事項を説明した。
これに対し民主党調査会の松本会長は、「臨時国会において民主党は、基本的な考え方を出していくという方針に基づいて、独立行政法人等廃止等法案作りをさせていただいており、参議院選挙マニフェストに書いてある内容を法案化している。内容については、独立法人・特殊法人の全部を見直し対象とし、1年で方針を決め、その後2年以内で取るべき措置を取ることとし、見直しの方向としては、廃止、民営化、地方委譲、国へ戻すの4つになる。今後の日程としては、党内の議論が煮詰まった段階で法案として国会に提出することになる」との考えを示した。
この民主党の考え方に対し各構成組織代表からは、@独法見直しには整合性がない。落ち着いて仕事ができるようにしてほしいA民主党の考えは全て廃止、民営化するというものだと組合員は受け止めているので、ホームページなどでそうでないということを明確にすべきだB雇用確保について政府が責任を持つことを条文に明確に入れてほしいC印刷、造幣についてはマニフェストでも「国の事業」としているのでそうした法案にしていただきたいDそもそも独法制度は数合わせのためであり問題があったのではないかE公務労協・関係組合といろんな局面で意見交換をさせてほしい、などの要望を行った。
要望に対し松本会長は、@民主党の考えがホームページ等でしっかり伝わるようにしたいA雇用の確保はご意見を踏まえていきたいし、皆さんの指摘をしっかり受け止めるB検討の枠組みについては、今回は個別の判断はせず、全部の法人について1年かけて精査していこうという趣旨であるC独法制度は廃止しても良いと思っているが、事務・事業についてはすべてなくなるとは考えていないD公務員制度についてもきちんと議論していきたい、などの考えを示した。
最後に、公務労協側が「今後も意見交換をしながら進めていただきたい」と重ねて要請したのに対し、民主党側がこれを確認し、要請を終えた。
<別紙資料>
2007年10月12日
民 主 党
代 表 小 沢 一 郎 殿
公務公共サービス労働組合協議会
議 長 岡 部 謙 治
独立行政法人の見直し等行政改革に関する要請
政府は、行政改革の推進を政策運営の重要課題と位置づけ、独立行政法人のゼロベースでの見直し、国の地方支分部局の整理合理化、規制改革や社会保険庁の見直しなどを俎上にのせ、具体的な検討作業を進めています。
また、貴民主党におかれましても、行政改革推進調査会を設置し、近日中にも「独立行政法人及び特殊法人の廃止、民営化等の推進に関する法律案」を取りまとめ、国会に提出すると聞いているところです。
わたしたち公務労協も、行政のあり方について、個々の事務・事業や組織が国民のニーズに応え得るものになっているかどうかを不断に見直し、国民の期待に応えていけるよう改革していくことは当然のことと考えています。
しかし、政府が進めている行政改革は「財政再建」を一面的に強調したものであり、国民のニーズを切り捨て、公務公共部門労働者の雇用をも危うくしかねないものとなっています。
以上のことから、貴民主党におかれましては、政府が国民のニーズに応えるとともに、当該労働者の雇用にも配慮した改革となるよう、下記の通りご要請申し上げます。
記
1.行政改革の推進、とりわけ独立行政法人の見直し等に当たっては、国民ニーズと政府の責任の観点から見直すこととし、以下の点を踏まえること。
(1) 法人等の見直しに当たっては、個々の事務・事業を精査することとし、「削減数値目標ありき」で事務・事業及び法人等の廃止・民営化を行わないこと。
(2) 国の機関として直接事務・事業を実施する必要がある場合には、当該法人等を国の機関とすること。
(3) いわゆる「天下り」ポストは基本的に廃止することとし、「官製談合」が生じないよう、情報公開はもとより組織及び運営方法を抜本的に改めること。
2.法人等の見直しに伴って雇用問題が生じる場合は、政府として統一的な体制を確立するなど、国が雇用の承継に責任を持つこと。
3.国会対応等に当たっては、公務労協と十分な意見交換を行うこと。
以上