公務労協は、19日11時45分から金融庁内の大臣室で、渡辺喜美行政改革担当大臣に会い、別紙の「独立行政法人の見直し等行政改革に関する申入れ」を行った。これは、「行政減量・効率化有識者会議」における独立行政法人の見直し作業が取りまとめ段階を迎えつつあることから、担当大臣に申し入れたもので、公務労協側は河田(林野労組委員長)、福田(国公総連委員長)両副議長のほか、豊島政労連委員長、長谷川全印刷委員長、中辻全造幣委員長、加藤国交職組書記長、吉澤公務労協事務局長が参加した。
冒頭、河田副議長が行革・雇用問題連絡会議を代表する立場で渡辺大臣に申入書を手交し要請内容を説明したのに対し、大臣は次の通り答えた。
(1) 独法制度ができて6年が経った。原点に立ち返って正しく機能しているかどうかを検証している。移行独法と切り出し独法があるが、独法本来のミッションを果たしているかを101の全法人について検証する。その上で、廃止、民営化、引き続き独法としてやっていくかのふるい分けをする。国に戻した唯一の例として消防研究所があるが、極めて例外的な扱いであり、定員も半分にカットするなど、ドラスティックなことをした。戻すものがあるのかないのか、念頭にないわけではないが極めて例外であり、定員半減が相場だ。
(2) 独法の天下りポストは基本的に廃止し、独法への天下りを禁止した。抵抗は多く、独法から各府省のあっせんを残してくれと言われたが4年後には全面禁止となる。独法のその先の関連法人を含めて各省のあっせんは禁止であり、相当厳しくした。独法にどのくらい天下りが行っているか徹底的に調査をしているし、さらに規制を強化することを検討している。天下りポストは今後とも厳しく見ていく。組織の中で職員がモチベーションを高める必要があり、天下り植民地ではいけない。
(3) 官製談合も相当思い切った改革が進んでいる。随意契約見直しから始まって、官製談合が起きる温床を根本的に断ち切るため、公務員制度改革を含めた一連の改革を進めているところだ。情報公開も当然のことだ。
(4) 雇用問題については、例えば緑資源公団について300人の首を切るということではなくて、人手の足りないところがあると思うのでそこに回したらいい。福田内閣は「消費者中心主義」を打ち出しており、食品の偽装表示などもあることから消費の安心・安全の分野を充実していくことを検証する等人員が不足する分野に異動してもらうことが基本だと思う。
(5) 今後の交渉・協議については、いつ来てもらっても結構だ。
渡辺大臣の見解に対し、関係組合代表から次の通り要請を行った。
(1) 独法については昨年5年ごとの見直しが行われ、第二期中期計画が始まったところであるにもかかわらず、また見直しというのでは職員も落ち着いて仕事ができず、モチベーションも上がらない。官製談合は徹底的に見直すべきだが全部一緒にして数を減らそうというのは問題だ。独法は国が直接やる必要はないが事務・事業そのものは必要だということで設置されたものだ。中身をしっかり検証してもらいたい。
(2) 印刷局は国が直接行わなければならない事業を行っている。民営化、非公務員化には反対である。常日頃から事業の効率化に努めているところであり、国民から批判されるようなことはしていない。
(3) 造幣局の業務である貨幣の製造は、国民が安心して使える貨幣を提供することであり、国が関与する必要がある。事業を十分検証した検討をお願いしたい。
(4) 今回の検討では事業をしっかりと見直していただいて、あと6年間は見直しはないということにしてほしい。毎年毎年の見直しでは職員が浮き足立って落ち着いて仕事ができない。また、緑資源公団の廃止に当たっては職員の雇用はぜひ確保していただきたい。
要望に対し渡辺大臣は「事務・事業の見直しはきちんと行う。人、お金、資産の流れの観点からもチェックを入れる必要がある。福田総理の言葉だが、独法は各省のひも付きではなく国民共通の機構にしないといけない。国民の信頼が極めて大事であり、そういった観点から見直したい」との考えを示した。
最後に河田副議長が「労働者は意欲やプライドを持って仕事をしているし、技術力もある。理屈抜きで廃止などがされることには不満がある。これから詰めの段階に入っていくが、本日のわれわれの申入れ内容を踏まえて、職員がやりがいの持てる見直しにしていただきたい」と強く要請し、申入れ交渉を締めくくった。
(別紙)
2007年11月19日
行政改革担当大臣
渡 辺 喜 美 様
公務公共サービス労働組合協議会
議 長 森 越 康 雄
独立行政法人の見直し等行政改革に関する申入れ
日頃の国政全般における貴職のご尽力に心から敬意を表します。
さて、政府は、行政改革の推進を政策運営の重要課題と位置づけ、独立行政法人のゼロベースでの見直し、国の地方支分部局の整理合理化、規制改革や社会保険庁の見直しなどを課題として、具体的な検討作業を進められているものと思います。
わたしたち公務労協も、行政のあり方について、個々の事務・事業や組織が国民のニーズに応え得るものになっているかどうかを不断に見直し、国民の期待に応えていけるよう改革していくことは当然のことと考えています。また、行政改革は、「財政再建」のみを目的とすることなく、国民のニーズに対応するとともに、公務公共部門労働者の雇用への配慮が不可欠であると考えています。
つきましては、今後の独立行政法人の見直し等行政改革の検討と具体化について、下記のことを実現されるよう要請します。
記
1.行政改革の推進、とりわけ独立行政法人の見直し等に当たっては、国民ニーズと政府の責任の観点から見直すこととし、以下の点を踏まえること。
@ 法人等の見直しにあたっては、個々の事務・事業を精査し、国の機関として直接事務・事業を実施する必要がある当該法人等は国の機関とすること。
A いわゆる「天下り」ポストは基本的に廃止することとし、「官製談合」が生じないよう、情報公開はもとより組織及び運営方法を抜本的に改めること。
2.法人等の見直しに伴って雇用問題が生じる場合は、政府として統一的な体制を確立するなど、国が雇用の承継に責任を持つこと。
3.今後の対応にあたっては、公務労協との交渉・協議、合意に基づき進めること。
以上