公務労協は、29日13時から、独法見直しについて行革事務局交渉を実施し、年末に予定される閣議決定に向けて関係組合の意見反映と雇用の確保を強く迫った。
行政減量・効率化有識者会議は「独立行政法人整理合理化の策定に関する指摘事項」を取りまとめ、27日には同会議の茂木座長が福田首相に提出した。これを受けて政府は、今後、渡辺担当大臣の下での各府省折衝等を経て年末には独法整理合理化計画が閣議決定する予定。
交渉には、公務労協側から吉澤事務局長と関係構成組織書記長等が参加し、行革事務局側は青木事務局次長らが対応した。
冒頭、吉澤事務局長が「独法の見直しについては、10月19日に渡辺大臣に申入れを行ったところだが、有識者会議が指摘事項を取りまとめ、首相に提出したと聞いており、その内容の説明と今後のスケジュールを明らかにしていただきたい」と求めたのに対し、行革事務局側は別添の「独立行政法人整理合理化計画の策定に関する指摘事項」に基づいた説明を行った上で、青木次長は「指摘事項を踏まえ、有識者会議における議論、論点をベースに、現在、各府省と調整中であり、まだ時間を要すると思われるが、年内には具体案を取りまとめて閣議決定をしたいと考えている」との見解を示した。
これに対し、公務労協側は次の通り青木次長の考えを質した。
(1) 各独立行政法人の整理合理化計画については、渡辺大臣に対し、国民のニーズに対応することや個々の事務・事業を精査することを求めてきたが、指摘事項を見る限り具体的に検討されたようには思えない。いつ具体的な整理合理化案を提示するのか。
(2) 公務労協としては、雇用の確保に重大な関心を持っており政府が責任を持つべきであると考えているが、指摘事項の表現を見ると、政府の責任に関わる言及がなく、各府省・法人任せになっている。政府の責任を明確にすべきだ。
青木次長はこれに対し次の通り答えた。
(1) すでにいくつかの法人については具体案がまとまりつつあるが、いくつかの法人は高いレベルでの調整が必要と思われ、今週から来週にかけて精力的に詰めていくことになる。全体のスケジュールの中で成案を得ていくこととしたい。
(2) 雇用の問題については8月の閣議決定でも「法人間の職員の適正な配置のための仕組みの導入など各般の措置については、政府全体として独立行政法人整理合理化計画案と併せて検討し、必要に応じ適切な対応を行う」ことを記しているし、今回の指摘事項でも「雇用問題への対処」を特記しており、その趣旨をおくみとり願いたい。なお、「横断的な雇用確保に努力する」とある部分の主語は政府である。
また、各構成組織から@見直し検討については、国民に対する行政サービスの低下・後退がないよう、政府は責任を果たすべきA各法人の職員に何の説明もないのは問題B府省横断的な統合は主務省の責任が不明確になるCマスコミ報道では個別法人への言及があったが指摘事項では消えているのはなぜかD平成22年度末までに措置するというのはどういう意味かE数あわせではなく、公務員身分をもって行う必要がある事業は公務員型独法を維持すべきだ、などの指摘や要望をしたのに対し、青木次長は@サービスの確保については同じ認識をしており、指摘事項でも「国民生活のため、必要なサービスは確保」することにしているが、「真に不可欠」かどうかが問題と思うA雇用の問題については、いたずらに雇用不安を招くことのないよう、政府として適切に対応して参りたいB個別法人名の言及がないことについては有識者会議の判断であるC平成22年度までの「措置」の内容については、法律的な措置などを含め色々なケースがあり得るDその他、多岐にわたるご要望があった点は受け止める、との考えを示した。
最後に吉澤事務局長が「雇用の確保については、努力だけではなく結果が大事であることを念押ししておく。独立法人制度が発足しわずか6年での大幅な見直しであり、その間、職員が行ってきた努力にかかわらず見直しが行われることは問題であり、改めて大臣に対する申入れの趣旨を踏まえた作業を行うよう強く求めておきたい。年末に閣議決定するということなので、決定前には渡辺大臣との交渉を行うよう要請する」と強く要望し、行革事務局側がこれを確認したことから、本日の交渉を締めくくった。
別添資料
独立行政法人整理合理化計画の策定に関する指摘事項