公務労協は、11日14時から、国家公務員雇用調整本部交渉を実施し、「2009年度配置転換に関する要請」(別紙参照)を申し入れた。この交渉は、2008年度の配置転換に関わる作業が追加募集分も含めて決着し、2年度目の計画もほぼ達成されることになり、明年早々には2009年度の実施計画が策定されることになっていることから行ったもので、公務労協側は吉澤事務局長ほか構成組織書記長や関係組合代表が参加し、雇用調整本部側は内閣官房行政改革推進室の株丹次長、川淵参事官らが対応した。
冒頭、吉澤事務局長が要請書を手交し、「2年次の対応に改めて感謝申し上げる。3年次の対応に当たっては雇用確保や処遇の維持はもとより配置転換者のケアを含めて円滑に進められるようにしていただきたい」として要請事項の実現について最大限の努力を要請するとともに、今回の配転対象組合の花村全農林書記長及び高倉全開発副委員長が本年の実施状況を踏まえた具体的な改善要望を行ったのに対し、雇用調整本部側は次の通り見解を述べた。
○株丹次長
(1) 当方としては、雇用調整本部の立場で定められた数の配置転換を実現していくことが使命であり、これまでそういう立場で努力してきた結果、関係者のご協力により本年度の目標数は達成できた。本日はいろいろな指摘をいただいたが、この取組みはそもそも雇用の確保が目的なので、それが今後とも本当に実現できるかが問題となる。2年度目までは数値目標が達成できたからといって、今後もできるかといえば必ずしもそうでないかもしれない。出す方も受け入れる方もだんだん厳しくなるという想定で始めており、3、4年度目は厳しくなるのではないか。本当に大丈夫かということを心配している。
(2) 本部は送り出し側と受け入れ側の間の立場にあるが、今後、どういう方に手を挙げてもらって、どういう職に受け入れてもらえるのかを心配している。全国を見ると、うまくいっているところとそうでないところがある。われわれもそれなりにいろいろ考えているし、送り出し側にも考えていただいていると思うが、最後になってうまくいかないということにならなければいいと思っている。その場合、今ご指摘をいただいたことだけが課題ではないのではないか。われわれや受け入れ側にもまだまだ問題があるが、本人の気持ちということが重要と思う。
(3) これまで皆さんと十分意見交換をさせていただいて進めてきた。今年に入って初めて配置転換先で働く人が出てきたが、処遇について維持ということにならなかった場合もあるがそれなりのご理解はいただいていると思っている。
今後も、皆さんの方でも総力を挙げて対応していただきたい。
○川淵参事官
(1) 個々の要請事項については、事務的にすりあわせを行うことにして概括的に申し上げる。
スケジュールについては、本年は4月〜10月に行った。いろいろな要請があるが、細かい問題はあるとしても大体うまくいったと思っている。3年目のスケジュールについては、今年と大幅に変えることはないがどこを重視していくかということについては相談しながら進めていきたい。
(2) 受け入れポスト、勤務地域のミスマッチについては送り出し側の在勤状況を踏まえて努力してきた。すべて希望通りとはならないが、できる限り努力しているので、個々の職員がこれからどうしていくのかということについて、真剣に考えて対応できるよう組合としても努力願いたい。
(3) ご指摘の改善点については、事務的にすりあわせを行い、できるものは対応していきたい。最後まで順調に進められるかどうかは皆さんや組合員の方が自分の問題としてご決断をしていただくことにかかっていると思う。全体で2,900という数字があるが、今後も決断してもらえるかどうかは分からない。本年も受け入れの提案があったにも関わらず応募がなかった例があったのは、3、4年目のことを考えると非常に残念だった。3、4年目にむけてお互いにさらに努力する余地があるのではないか。
(4) 今年配置転換された方は、一部で厳しい状況にある方もいるが、現場で頑張っている。配置転換後の状況についてアンケート調査を行い、受け入れ側の担当者研修に活用するなど、できる限りスムーズに新しい職場に入っていけるよう対応してまいりたい。
(5) 2009年度の計画は本年が3月20日だったのでその頃になるのではないか。新規採用や定年退職者の見通しを踏まえる必要がある。いずれにしても、スケジュールにこだわることなく、必要に応じ意見交換、すりあわせをしてまいりたい。
これらの見解に対し、吉澤事務局長が「われわれも1、2年目より3、4年目が厳しいという認識を持っており、次長の発言は厳しさを心配されてのこととして受け止めておきたい。また、事務的なすりあわせについては、建設的な方向で議論できるよう是非そういう場を設けていただいて、われわれの意見を踏まえた対応をお願いしたい。組合としても、配置転換者の気持ちを踏まえて対応していく。本日は来年度の計画に向けた要請をさせていただいたが、課題の重さが改めて浮き彫りになった。今後もよりスムーズに実施できるよう、ハード面、ソフト面を含めて率直な意見交換を十分にお願いしたいし、政府全体としての取組みであることを踏まえた最大限の努力を求めたい」と強く要望し、申入れを終えた。
2009年度の実施計画については、本日の申入れを機に、今後、雇用調整本部と交渉、協議が進められていくこととなる。
別紙−要請書
2007年12月11日
国家公務員雇用調整本部
本部長 町 村 信 孝 様
公務公共サービス労働組合協議会
議 長 森 越 康 雄
2009年度配置転換に関する要請
貴職におかれましては、配置転換の円滑な実施にむけて、ご尽力をいただいていることに敬意を表します。
さて、2008年度の配置転換は、概ね8月末に配置転換者が内定するとともに、初年度に引き続き第2年度計画もほぼ達成され、さらに、明年早々には2009年度の実施計画が策定されると聞き及んでいるところです。
2008年度においては、初年度の経験を踏まえて、様々な課題の改善策が講じられてきましたが、2009年度にむけては、引き続きの改善が必要であることが明らかになっています。
このため、下記事項を申し入れますので、その実現にむけて最大限努力されるよう要請します。
記
一、配置転換が政府全体の取組であることを踏まえ、組合員の雇用を確保するとともに、配置転換者の処遇を維持すること。
二、2008年度配置転換の取組について引き続き検証を行い、その結果を公務労協に提示すること。
また、検証によって明らかとなった課題・問題点について、改善に向け最大限努力すること。
三、2009年度配置転換の取組については、公務労協と十分交渉・協議を行うとともに、地方推進協議会と当該労働組合の協議を行うこと。
四、2009年度配置転換に当たっては、本人の理解と納得に向け最大限努力することとし、次の事項を実現すること。
1.スケジュールについて
組合員が十分に検討できる期間を確保すること。また、具体的なスケジュールを早期に提示すること。
2.説明会について
(1) 配置転換先の選択に資するよう、多くの受入府省から説明者を派遣し、受入府省の業務内容、人事、処遇など十分な説明を行うこと。
(2) 質問事項の事前把握を行うなど、必要な情報が十分提供されるよう工夫すること。
3.受入ポストについて
(1) 送出府省の職員の地域性、年齢構成、職務内容等を考慮し、組合員が選択可能な受入ポストを確保すること。
また、国立大学法人、自治体などの受入先を確保すること。
(2) 受入可能職調については、具体的な業務内容、異動(転勤)の状況などを詳細に記載するとともに、可能な限り勤務地、勤務場所を明確にすること。
(3) ミスマッチの防止に向け、受入可能職の地域間調整を行うこと。
4.職場訪問研修について
可能な限り多くの受入府省で実施すること。
5.受入府省の面談について
(1) 面談日程を可能な限り早期に示すこと。
(2) 面談担当者は配置転換のシステムを理解し、適切に対応すること。
6.再募集について
再募集を行う場合には、十分な期間を確保すること。
7.新たな職場への早期定着について
(1) 配転前・配転後の業務研修を充実すること。
(2) 受入府省の相談体制を整備するとともに、雇用調整本部の相談窓口を継続するなど、フォローアップに努めること。