公務員連絡会福田議長他委員長クラス交渉委員は、19日11時から谷人事院総裁と、12時35分からは増田総務大臣と2008春季段階の最終交渉を行った。この交渉で人事院総裁、総務大臣は、それぞれ資料1、2の通り、この間の交渉の到達段階にもとづいて、本年の給与改善に対する基本姿勢を確認する回答を示した。しかし、人事院総裁が官民比較方法の検討を巡って「まずは給与構造改革の着実な実施が肝要である」との考えを示したものの政府の見直し要請に対して毅然とした姿勢を示さなかったことや、昨年の人勧不完全実施の経過を踏まえれば総務大臣が人勧に対する明確な姿勢を表明しなかったことなど不満な回答にとどまった。
公務員連絡会はその後開かれた企画・幹事合同会議で、「回答は不満であるが、公務をめぐる厳しい情勢の中での交渉の到達点として受け止め、諸課題の解決に向けて人勧期・確定期の闘いを全力で進めていく」との声明(資料3)を確認。21日の第3次全国統一行動では、人勧期の取組みの決意を固める時間外職場集会等の行動を実施し、春季生活闘争中・後半期の闘いを進めていくことを決定した。
この日行われた総務大臣、人事院総裁との交渉経過と回答内容は次の通り。
<人事院総裁交渉の経過と回答内容>
人事院谷総裁との交渉は、同日11時から人事院内で行われた。
冒頭、福田議長が「2月15日に要求書を提出し、事務当局と交渉・協議を積み上げてきた。この経緯をふまえ、本日は、総裁から誠意ある春の段階の回答を頂きたい」として、2008春季段階の最終回答を求めたのに対して、総裁は資料1の通り回答した。
福田議長は、この回答に対して次の通り見解を述べた。
(1) 格差是正とワーク・ライフ・バランスの実現を目指した本年の春闘は、先行組合が3年連続の賃金改善の回答を引き出し、いままさに、中小やパート労働者などが賃金改善と格差是正に向けた取組みを懸命に進めている最中にある。
われわれは、今春闘で、政府の官民比較方法見直しの再要請に毅然として対応し、民間相場を正確に反映した賃金改善を行うことや非常勤職員の処遇改善、所定勤務時間の短縮勧告の実現などを最重要課題として位置づけ、取組みを進めてきた。
(2) ただいまの総裁回答で、本年の給与改定に当たっての人事院の基本姿勢は表明されたが、政府の官民比較方法見直し要請に対して毅然として対応する姿勢が示されなかったことは、この間の様々な経緯に照らして不満といわざるを得ない。われわれは、企業規模の見直しや昨年の勧告不完全実施によって、決定システムとしての勧告制度が大きく傷つき、文字通り労働基本権制約の代償機能のあり方そのものが問われていると認識している。その意味においても、総裁におかれては、政治のバッシングや介入に対して毅然として対処し、人事院の役割を十全に果たしていただくことが必要だと考えている。
(3) 特地勤務手当の見直しや自宅に関わる住居手当のあり方などについては、引き続き人勧期に交渉・協議していく姿勢の表明に止まっているが、本年の官民較差等を踏まえ、合意に基づいて対応していただくことを強く要請する。また、本府省手当については、問題の本質的な解決にならないことや給与制度上の整合性から見ても極めて問題があり、その導入には反対であることを改めて表明しておきたい。
(3) 所定勤務時間短縮については、本年の勧告に向けて取り組む姿勢が示されたものと確認しておきたい。超過勤務縮減策についても、具体的取組みの方向が示されたことは評価しておきたい。
(4) 非常勤職員の処遇に関する指針の策定については、その実施時期に不満は残るが、非常勤問題の解決に向けた一歩となることを期待し、この間の交渉・協議の到達点として受け止めておきたい。人事院には、さらに非常勤職員の位置づけや雇用の問題について踏み込んだ検討を行うよう強く要請しておきたい。
(5) 新たな人事評価の任用や給与への活用のあり方についての検討姿勢も示されたが、そのあり方は、人事評価制度の信頼性と不離一体のものである。活用を円滑に進めるためには、信頼度に応じた段階的な活用が不可欠だと考えており、十分交渉・協議し、合意の上で実施するよう強く求めておきたい。
(6) 新たな高齢雇用施策についても、2013年度からの無年金期間が目前に迫っており、雇用と年金の接続を図る観点からの施策の取りまとめを急いでもらいたい。その際、研究会においてわれわれの意見も十分聴取してもらいたい。
(7) いま公務員労働者は、定員減による労働強化とバッシングの嵐の中で、国民のための公共サービスを確保するという一点において、自己を犠牲にしながら一生懸命働き続けている。人事院総裁におかれては、この努力に応えることが労働基本権制約の代償機関の役割であることを認識され、山積する課題の解決に全力で取り組んでもらいたい。
最後に福田議長は、「本日の回答は、総裁の春の段階の最終回答として受け止め、組織に持ち帰って協議したい」と述べ、人事院総裁交渉を締めくくった。
<総務大臣交渉の経過と回答内容>
増田総務大臣との交渉は、同日12時35分から総務省内で行われた。
冒頭、福田議長が公務員連絡会の2008春季要求に対する最終回答と地公部会の要求書に対する最終回答を求めたのに対し、総務大臣は資料2の通り回答を示した。
この回答に対し、福田議長は次の通り見解を述べた。
(1) 格差是正とワーク・ライフ・バランスの実現を目指した本年の春闘は、先行組合が3年連続の賃金改善の回答を引き出し、いままさに、中小やパート労働者などが賃金改善と格差是正に向けた取組みを懸命に進めている最中にある。
われわれの春闘は、政府が進める総人件費削減政策に対して、雇用確保と賃金・労働条件の改善などを最重要課題として位置づけ、取組みを進めてきた。
(2) ただいまの大臣の回答では、配置転換等に関わって雇用確保に最大限努力する姿勢を表明された。これまでの雇用調整本部をはじめ政府の雇用確保に向けた努力は評価するが、3年度目にはいるこれからがいよいよ正念場だ。われわれも全力で取り組む決意だが、大臣を始め政府には使用者の責任において、あらゆる努力を傾注し雇用確保に万全を期していただくよう要請する。独立行政法人の見直しに伴う雇用問題についても、政府全体として取り組む体制を構築してもらいたい。また、地方分権改革推進委員会で国の地方支分部局の見直しの検討が行われていると聞くが、はじめに国家公務員の削減ありきの検討姿勢ではなく、国と地方自治体の役割分担を明確にした上で、公共サービスの確保という観点から事務事業の精査を行うことや雇用問題を惹起しないことなどを強く求めておきたい。
(3) 給与改定に関しては、人勧制度の維持・尊重の基本姿勢のもとで適切な公務員給与の水準を確保する、という姿勢を表明されたが、昨年の勧告不完全実施という経緯に立てば、これでわれわれの要求が満たされたと言うことは到底できない。本年の人事院勧告の行方にもよるが、改善勧告が行われた場合は、完全実施に向けて全力でがんばっていただくのが総務大臣の責務であり、その明確な姿勢が示されなかったことは不満である。本年の勧告の取扱いによっては、直ちに人勧制度の根幹に関わる事態が発生するという危機意識を持って取り組んでもらいたい。
(4) 改正国公法に基づく新たな人事評価の本格実施が目前に迫っているが、いまだ評価結果の開示やわれわれの代表が参加する苦情処理システムのあり方が明示されていない。新たな人事評価を円滑に進めるためには、評価者と被評価者の信頼性が不可欠であり、引き続きわれわれと真摯な協議を行い、公正、透明で納得性の高いシステム作りに向け、行政改革推進本部と連携しながら取り組んでもらいたい。また、われわれは、能力・実績主義に基づく人事管理の導入と公務の労使関係制度の改革は不離一体のものであると考えている。現在、政府において公務員制度改革基本法案の検討作業が行われていると聞くが、使用者の立場を代表する総務大臣としても、その点を十分ご理解頂き、法案が専門調査会報告を実現するものとなるよう努力してもらいたい。
(5) 非常勤職員の問題について見解を示されたが、率直に言って主体的な取組み姿勢が示されておらず、不十分といわざるを得ない。福田総理は格差や非正規の問題に真剣に取り組む方針を再三表明されている。その足下の非正規の問題、すなわち非常勤職員の雇用や処遇の問題をこれ以上放置しておくことはもはや許されない。この大臣回答を機に具体的に取組みを前進させてもらいたい。
(6) いま公務員労働者は、定員減による労働強化とバッシングの嵐の中で、国民のための公共サービスを確保するという一点において、自己を犠牲にしながら一生懸命働き続けている。総務大臣におかれては、この努力に応えることが使用者としての責務であることを認識され、山積する課題の解決に全力で取り組んでもらいたい。
また、地公部会の佐藤議長は「地方公務員部会の要求に対し大臣の基本的姿勢をご回答頂いたが、この機会に一、二申し上げたい」として次の通り見解を述べ、大臣の一層の努力を要請した。
(1) 厳しい財政事情のもとで、職員の給与を削減する自治体が後を絶たない状況がある。こうしたことが続くことは、給与決定システムとしての人事委員会勧告制度に対する信頼を損なうとともに、住民サービスの第一線で働く職員の士気低下につながりかねず、給与財源の確保や労働基本権の確立に指導性を発揮していただきたい。
(2) 大臣ご案内のように、地域の疲弊は深刻な状況であり、必要な道路もあるが医療・福祉など公共サービスの充実が急務であり、自治体の果たすべき役割はますます重要になっている。しかし財源が厳しく、サービスの水準確保が難しい状況にある。自治体が役割を果たしていくために、地方分権のいっそうの推進とともに一般財源の確保とりわけ交付税総額の確保に努力いただきたい。
(3) 自治体の臨時・非常勤職員は、自治体職員の4分の1にも達しており、行政サービスの充実に重要な責任を負っている。継続的・安定的な雇用の促進のための施策の実現をいただきたい。
公務員連絡会側の要請に対し大臣が「ただいま議長からお話があったご要望なり問題意識については、私としても真摯に受け止め、今後、事務当局に引き続き必要な検討を進めるなど、しかるべき対応を行ってまいりたい。また、公務員の一人ひとりが、能力を十分に発揮し国民のために働けるよう制度・環境を整えていく上で、今後ともいろいろな場面で皆様方のご協力をいただきたいと思うし、意見交換もさせていただきたいと思うので、どうかよろしくお願いしたい」との見解を示したことから、議長は「本日の回答は総務大臣の春の段階の最終回答として受け止め、組織に持ち帰って検討する」と応え、交渉を終えた。
資料1−人事院総裁の2008春季要求に対する回答
人事院総裁回答
2008年3月19日
1 官民較差に基づき、適正な公務員給与の水準を確保するという人事院の基本姿勢に変わりはない。
官民給与比較方法の検討に関しては、まずは給与構造改革の着実な実施が肝要であると認識している。公務員給与のあり方については、情勢適応の原則に基づき常に検討を続けており、引き続き政府をはじめ広く各方面の意見を聞きながら適正な公務員給与の確保に向けて努めて参りたい。
現行の比較対象企業規模に関しては、これによって民間給与を適切に反映できるものと考えており、変更することは考えていない。
また、給与改定に当たって、公務員連絡会が交渉、協議、納得を求めていることについては理解する。
2 公務員の給与改定については、民間給与の実態を精確に把握した上で、公務員連絡会の要求及び公務員の生活を考慮して、人事院の重要な使命として、適切に対処する。
3 給与勧告作業に当たっては、較差の配分、手当のあり方などについて公務員連絡会と十分な意見交換を行うとともに、要求を反映するよう努める。
自宅に係る住居手当の廃止を含む住居手当のあり方及び特地勤務手当の見直しに関しても意見を聞きつつ検討を進める。
また、給与構造の見直しに関しては、本府省手当のあり方を含め公務員連絡会の意見を十分聞きつつ検討を進める。
4 一時金については、民間の支給水準等の精確な把握を行い、適切に対処する。
5 公務員の勤務時間・休暇制度の充実に向けて、関係者及び公務員連絡会の意見を聞きながら引き続き検討を進める。
(1) 超過勤務の縮減については、関係機関と連携しつつ本年春から各府省において具体的な施策を実施することができるよう努める。
(2) 所定勤務時間のあり方については、所要の準備を行った上で、本年の民間給与実態調査結果も踏まえ、民間準拠の原則に基づいて勤務時間の見直しに関する勧告を行いたいと考えている。
6 非常勤職員については、本年勧告時を目途として、その給与決定に係る指針の検討を進める。
非常勤職員の問題は多岐にわたる検討を必要とするものであり、民間の状況も見つつ、その位置づけ等も含め関係機関で幅広く検討される必要があると考える。
7 新たな人事評価制度の任用・給与への活用の在り方等については、関係者の意見を十分に聞きつつ検討し、公務員連絡会の理解と納得を得るよう努める。
8 公務における雇用と年金の連携は重要な課題であると認識しており、平成25年度を見据え研究会の開催など鋭意検討を進める。
9 平成17年末に改定された「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」に基づく施策が着実に実行されるよう努める。
次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の実施について、国家公務員の勤務条件を所管する立場から、適切に対応する。
資料2−総務大臣の2008春季要求に対する回答
総務大臣回答
2008年3月19日
1 総人件費改革に伴う配置転換等の取組に当たっては、総務省としても国家公務員の人事行政を所掌する立場から、内閣官房などと連携をとりつつ、職員の雇用の確保に最大限努力する。
なお、独立行政法人の見直しに関わる雇用問題等については、内閣官房などで適切な対応が図られるものと考えているが、総務省としても今後の推移を見守りつつ、注視してまいりたい。
2 人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置であり、同制度を維持尊重することが政府としての基本姿勢である。
平成20年度の給与改定については、この基本姿勢の下、国政全般との関連を考慮しつつ適切に対処してまいりたい。
昨年の給与改定について、職員団体から強い不満の意の表明があったことは承知しており、国家公務員の給与水準については、これまで同様に職員団体とも十分に話し合い、適切な水準が確保できるよう努力してまいりたい。
3 不祥事を起こした国家公務員に対する退職手当のあり方等については、専門家からなる検討会で本年春までをめどに結論を得る予定で検討を行っているところである。
退職手当は職員の重要な関心事項であり、今後とも職員団体からの意見は十分承ってまいりたい。
4 政府としては、従来よりILO条約尊重の基本姿勢をとってきたところである。また、ILO条約の批准について職員団体が強い関心を持っていることは十分認識している。
なお、ILO結社の自由委員会第329、331、340次報告に対しては、関係機関と相談しつつ、誠実に対応する。
5 労働時間の短縮については、「国家公務員の労働時間短縮対策」に基づき、超過勤務の縮減や年次休暇の計画的使用の促進に努めるとともに、関係機関とも連携しながら、政府一体となってさらに実効性のある取組を進める。
6 公務員の高齢者雇用については、平成25年度から60歳定年退職者について無年金期間が発生することを踏まえ、雇用と年金の連携を図り、高齢国家公務員の雇用を推進する観点から、そのあり方について、職員団体の意見を聞きつつ検討してまいりたい。
7 男女共同参画社会の実現に向け、「男女共同参画基本計画(第2次)」「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」に基づき、関係機関とも連携をとりつつ、女性国家公務員の採用・登用の促進や職業生活と家庭生活の両立支援の充実等に着実に取り組む。
8 新たな人事評価システムの構築に向け、現在実施中の試行に加え、改正国公法の施行に向けてリハーサル試行を実施することも必要と考えており、透明で納得性があり信頼性の高いシステムを目指して取組を進める。
その中で、評価結果の開示や苦情処理システムのあり方が大きな論点であると認識しており、取組に当たっては、職員団体とも十分意見交換し、理解と納得を得られるよう努めてまいりたい。
9 国家公務員非常勤職員の実態については、現在、人事院において各府省から聴取していると聞いている。総務省としては、政府としての必要な協力を行ってまいりたい。その上で政府として必要な対応を考えてまいりたい。
10 安定した労使関係を維持する観点から、職員団体とは誠意を持った話合いによる一層の意志疎通に努めたい。
地公関係総務大臣回答
2008年3月19日
1 地方公務員の給与については、労使間の交渉もあるが、地方公務員法の趣旨に則り、地域の実情を踏まえつつ条例で定められるべきものである。
具体的には、当該団体の規模や給与の実態、その他の事情を総合的に勘案した上で、国民・住民の理解と納得が得られる適正な内容とするべきものと考えているところ。
今後とも、このような考え方に立って、必要な助言等をおこなってまいる所存。
2 地方交付税総額については、地方の要望を踏まえ、地方の再生に向けた自主的・主体的な活性化施策に必要な財源を確保するため、平成20年度は15.4兆円、前年度に比し2千億円の増を確保したところ。
3 また、今後の地方税制については、消費税を含む税体系の抜本的改革において、地方消費税の充実と地方法人課税のあり方の見直しを含む地方税改革の実現に取り組むこととしている。
平成20年度税制改正においては、それまでの間の暫定措置として、法人事業税の一部を分離し、地方法人特別税及び地方法人特別譲与税を創設することにより、偏在性の小さい地方税体系の構築を進めることとしたところ。
4 そのうえで、地域の経済力の差によってなお存在する財政力の格差については、地方交付税の財源保障機能、財源調整機能を適切に発揮し、どのような地域であっても一定水準の行政サービスを確保できるようにすることが今後とも必要不可欠。
5 現在、地方分権改革推進委員会において、国と地方との役割分担や国の関与の見直し等について審議いただいており、今春以降順次勧告をいただく予定。今後の地方税財政のあり方については、国と地方の役割分担の見直し等に応じて、自主的な税財源を充実するとの観点から検討を進めていく。
6 いわゆる臨時・非常勤職員の給与その他の勤務条件等については、地方自治法や地方公務員法、これらに基づく条例の規定など、諸法令の定めるところに則り、勤務の形態や職務内容に応じ、民間における状況等を勘案しながら各地方公共団体が自主的に判断すべきもの。
7 また、災害補償制度については、地方公務員災害補償法の規定に基づき、全ての地方公共団体において非常勤職員の公務災害補償に関する条例が制定され、常勤職員と均衡を失しないよう補償が行われているものと認識。
8 任期の定めのない短時間勤務制度については、平成15年12月にまとめられた地方公務員制度調査研究会報告において、「国家公務員制度における検討の動向なども注視しつつ、慎重に検討すべきである」とされたところ。
一方、同報告に基づき、平成16年8月から新たに「任期付短時間勤務職員制度」を導入したところであり、まずは、この制度の普及・啓発を図ってまいりたい。
9 地方公共団体においては、少子高齢化の進展、国・地方を通じた厳しい財政状況の中でも、しっかりと公共サービスを提供していく観点から、自らが担う役割を、真に行政として対応しなければならない分野に重点化していくことが必要。
10 このため総務省では、新地方行革指針等において、各団体に対し、地域の実情に応じて積極的に民間委託等を推進するよう要請するとともに、併せて委託した事務事業について行政としての責任を果たしうるよう、適切に評価・管理を行うことを要請したところ。
11 今後とも、各団体においては、簡素で効率的・効果的な行政運営の実現のため、自主的・主体的に行政改革に取り組まれることを期待。
資料3−2008春季生活闘争に関わる公務員連絡会の声明
声 明
(1) 本日、公務員連絡会は、総務大臣、人事院総裁と交渉を持ち、2008年春季要求に対する回答を引き出した。
(2) 格差是正とワーク・ライフ・バランスの実現などを最重要課題に設定して進められてきた2008春季生活闘争は、先行組合が3年連続して賃金改善の回答を引き出し、現在、中小やパート労働者が懸命に闘いを進めている段階にあり、格差是正に向けた取組みはまさにこれからが本番である。
われわれの春季生活闘争は、政府が進める総人件費削減政策に対して、雇用確保と賃金・労働条件の改善、非常勤職員の処遇改善などを最重要課題として位置づけ、取組みを進めてきた。また、連合が提起する2年度目の「ストップ・ザ・格差社会」キャンペーンに結集し、「公共サービス基本法」制定に向けた取組みを進めてきた。
(3) 本日の回答で総務省からは、@本年の給与改定に当たって人事院勧告制度を維持・尊重する基本姿勢のもと、適切な給与水準を確保するよう努力することA配置転換等に関わって雇用確保に最大限努力することB新たな人事評価制度の本格実施に向け、評価結果の開示や苦情処理システムを大きな課題として認識し、透明で納得性のあるシステムの構築に向けて引き続き協議していくことC非常勤職員の実態把握などについて初めて見解を示したことD地方公務員部会の要求に対して地方分権の推進と地方税財源の確保に取り組むこと、などを確認した。
しかし、給与改定については、昨年の人事院勧告の不完全実施に見られるように、基本姿勢の確認をもってわれわれの要求に応えたとすることは到底できない。政府・与党の公務員給与バッシングや人事院勧告制度自体を空洞化させようという動き、地方公務員給与の地場賃金準拠への圧力などがさらに強まっており、そうした情勢の下で勧告の取扱いに対する明確な姿勢が示されなかったことは不満といわざるを得ない。
(4) 人事院からは、本年の給与改定に向けた基本姿勢に変わりはないことや比較対象企業規模を変更しないことは確認した。しかし、官民比較方法見直しについては、給与構造改革を優先する考え方を示したものの、政府の再要請に対して毅然とした姿勢を示さなかったことは不満である。さらに、特地勤務手当の見直しや自宅に係る住居手当のあり方について、人勧期に向けて引き続き交渉・協議するとの回答に止まったことは要求に照らして不満であり、われわれが強く反対している本府省手当の検討に着手する意思を示したことについては極めて遺憾といわざるを得ない。
本年の重要課題の一つとして位置づけた所定労働時間の短縮については、本年の勧告に向けて取り組む姿勢を確認し、超過勤務縮減についても本年春から具体策を実施するよう努めるとの見解を引き出した。また、非常勤職員の処遇改善については、実施時期等について不満が残るが、本年勧告時に各府省が給与決定する際の指針を示すことを約束させた。高齢雇用施策の検討に当たっても雇用と年金の連携が重要な課題であることを確認し、新たな人事評価制度の活用のあり方についても、われわれと十分交渉・協議し、理解と納得を得るよう努力する姿勢を明らかにさせた。これらについては、2008春季段階のねばり強い取組みの到達点として確認できるものである。
(5) 以上のとおり、2008春季要求をめぐる政府、人事院の回答は不満なものに止まっているが、われわれは、公務をめぐる厳しい情勢の中での交渉の到達点として受け止め、諸課題の解決に向けて人勧期・確定期の闘いを全力で進めていくこととする。
(6) 福田政権は、「自立と共生」や構造改革の影の部分に光を当てることを標榜して誕生したが、雇用や地域の格差は一向に是正されないばかりか、拡大する傾向にあり、「貧困」も深刻な社会的問題となってきている。
われわれは、自らの賃金・労働条件改善はもとより、格差是正と共生社会の建設を目指した「公共サービス基本法」(仮称)の一刻も早い制定を目指して全力で取組みを進めていく必要がある。また、公務員制度改革の取組みも重要な局面を迎えつつあり、労働基本権の確立を含む公務員制度の抜本改革に向けて、連合の仲間とともに引き続き取組みを強化していかなければならない。
(7) われわれは、21日の第3次全国統一行動日には、各構成組織ごとに人勧期の取組みへの決意を固める職場集会を実施することとする。また、中小及び地域の仲間、国営関係部会の仲間と連帯し、格差是正やワーク・ライフ・バランスの実現などに向け、春季生活闘争中・後半期の闘いを推し進めることとする。
2008年3月19日
公務員労働組合連絡会
以上