公務労協は、12日15時30分から、総務省人事・恩給局長交渉を実施し、別紙の「検討会報告を踏まえた退職手当制度見直しに関する申入れ」を提出し、申入れ事項の実現を求めた。
この交渉は、総務省に設置されていた「国家公務員の退職手当の支給の在り方等に関する検討会」(座長:塩野宏東亜大学通信制大学院教授)が4日に報告書を取りまとめて、総務大臣に報告し、今後は総務省において報告書を踏まえた国家公務員退職手当法の改正作業が開始されることから実施したもので、公務労協側は吉澤事務局長と各構成組織書記長等が参加し、総務省側は藤井人事・恩給局長らが対応した。
冒頭、吉澤事務局長が申入れ書を手交し、「退職手当の支給の在り方等の検討については、2回にわたって検討会で意見を述べさせていただき、職員にとって重要な勤務条件であるので慎重に検討することを求めてきた。報告書の内容は基本的にはわれわれの意見を踏まえたものと受け止めているが、これからの立法作業に委ねられている部分も残されている。総務大臣は改正法案を次の臨時国会に提出するとの考えを述べているが、拙速な作業を行わず、われわれと十分交渉・協議を行い、合意に基づいて慎重に作業していただきたい」と申し入れたのに対し、藤井局長は次の通り見解を示した。
(1) 総務省では昨年11月以来、不祥事を起こした国家公務員に対する退職手当の取扱について有識者による検討会を開催してきた。この間、検討会では1月と5月に公務労協からご意見を伺ったところであり、それらも踏まえて、先週6月4日に報告書が取りまとめられた。
(2) 総務省としては、本報告書を踏まえ、早急に法制化の作業を進め、制度の整備を行ってまいりたいと考えている。具体的な内容について、立法作業に委ねられている部分もあるが、あくまで報告書の内容に沿った形で行うことになる。
(3) 次の臨時国会に改正法案を出すことを決めているわけではなく、あくまで作業の進捗状況次第である。まだまだ議論をする必要があるところがあるので、報告書を踏まえ、検討作業を進めて参りたい。
(4) 退職手当が、職員の重要な関心事項であることから、これまでも意見交換をしてきたところであり、今後とも職員団体からの意見は十分承ってまいりたい。
これらの局長の見解を受けて、最後に吉澤事務局長が「この問題の発端には元次官だけでなく、警察官の問題もあったように、組合員にも関わる話であるので、これから十分議論をさせていただきたい」として、重ねて十分な交渉・協議と合意に基づいて慎重にすすめることを要請し、申入れ交渉を締めくくった。
(別紙)
2008年6月12日
総務大臣
増 田 寛 也 殿
公務公共サービス労働組合協議会
議 長 中 村 讓
検討会報告を踏まえた退職手当制度見直しに関する申入れ
公務員労働者の賃金・労働条件改善に向けた貴職のご努力に敬意を表します。
さて、政府の要請に基づいて、不祥事を起こした国家公務員に対する退職手当の取扱いについて検討を進めてきた「国家公務員退職手当の支給の在り方等に関する検討会」(以下、「検討会」という。)は、4日、報告書をとりまとめ、貴職に提出しました。今後は、この報告書を踏まえて、政府において、次期臨時国会にも国家公務員退職手当法改正法案を提出すべく、検討作業を開始すると聞いているところです。
公務労協は、検討会における審議において二度にわたって意見を述べてきましたが、今後、報告書を踏まえながら法案化作業をしていく際には、さらに具体化をしなければならない課題が多く残されています。
退職手当は公務員と家族の退職後の生活を支える重要な勤務条件であり、報告書が指摘する制度見直し事項は、いずれも勤務条件の大きな変更になります。
したがって、貴職におかれましては、退職手当制度の見直しに向けた法案化作業に当たり、下記事項に基づいて、慎重な作業を進められるよう、強く申し入れます。
記
一、退職手当制度が勤務条件であることを踏まえ、公務労協と十分な交渉・協議を行い、合意に基づいて慎重に作業を進めること。
以上