2008年度公務労協情報 37 2008年6月25日
公務公共サービス労働組合協議会

国の出先機関の見直し等で大田担当大臣交渉−6/24
−大臣は「職員ががんばれるよう配慮する」との考えを示した−

 公務労協は、24日17時から大田弘子経済財政担当大臣と会い、「基本方針2008」に盛り込まれることとなった「国の出先機関の見直し等」の具体的内容等をめぐって交渉を実施した。
 大田担当大臣に対しては、3月21日に「国の出先機関の見直し等に関する申入れ」(2008年度公務労協情報No.25参照)を行い、@国民ニーズと政府の責任の観点から見直すことA職員の雇用問題を惹起しないことB公務労協との交渉・協議、合意に基づき進めること、を求めてきたが、23日の経済財政諮問会議に「経済財政改革の基本方針2008(原案)」が示され、その中に「国の出先機関の見直し」が明記されることになったことから、交渉を行ったもの。
 申入れには中村議長、岡部・福田・河田副議長、吉澤事務局長が参加し、冒頭、中村議長が次の通り述べ、大田担当大臣の見解を質した。
(1) 3月21日の申入れの際、大臣は「地方分権改革は、働いている人にきめ細かに心配りをしながら進めないとうまくいかない。職員に不安がないようにするには、どうしたらできるのか考えたい」と述べられているが、この点についての検討がどうなったのか、また基本方針においてそのことがいかに確保されるのか。
(2) 国の出先機関の見直しは、国と地方自治体の間の適切な役割分担という観点から、まず事務・事業の十分な検証があり、その上で組織・機構のあり方が検討され、そして職員の配置がはかられるもので、その意味では「まず廃止・縮小ありき」、またはそのことを自己目的化するものではないことを明らかにされたい。
(3) 今後の基本方針策定スケジュール、そしてその後の対応等については、どのようになるのか。
(4) 今後も節目節目において、公務労協との議論、意見交換の場を設定していただきたい。

 これに対し大田担当大臣は次の通り考えを明らかにした。
(1) 働く人への配慮は当然のことだが、基本は地方分権改革推進委員会(以下、「地方分権委」という。)で行われるので、具体的にはそこで検討されることになる。基本方針では、地方分権委の第1次勧告に沿って、政府にきちんとやれということを書いている。経済財政諮問会議(以下、「諮問会議」という。)では、地方分権委と連携して、節目節目で検討を行っている。
(2) スケジュールについては、いま、大詰めに来ており、諮問会議では、昨日、基本方針2008の原案を提案し議論を行ったが、できれば27日には答申ができればいいと思っている。そこにむけて最大限の調整努力を行っている。
(3) 今後も皆さんと話をしながら進めて参りたいのでよろしくお願いする。

 この大臣の見解に対し、公務労協側は、次の通り、重ねて要望を行った。
(1) 地方分権委勧告では、国と地方自治体の業務の仕分けが書かれており、時代の変化に応じた見直しや二重行政の排除は当然のことと思うが、総人件費削減政策が先にありきのように感じられる。時代の変化に合わせ、国、地方自治体の役割を整理するとの考えで進めていただき、国の出先機関で働く者の雇用・労働条件は、地方分権とは別の問題として、しっかり確保していただきたい。
(2) 限界集落など過疎化が進んでおり、地方自治体だけでは対処できないので国が何をやるかが大事だ。それを先に出すべきだ。こんどの地震で山崩れなどの被害が拡大したことは、山間地の問題について国として十分対応できていなかったこともあるのではないか。第1次産業は国の対策が必要だ。
(3) 二重行政の排除はそのとおりであるが、結果として国も地方自治体も責任を負わなくなるということが一番心配だ。三位一体改革は結果的にそうなってしまったのではないか。住民が被害を受けることがないようにしないといけない。
(4) 国であろうと地方自治体であろうと、職員が力を出してがんばれることが重要だ。そのためには、生活と雇用という土台がしっかりしていないといけない。

 これに対して大田担当大臣からは、@諮問会議では国がやるべきもの、地方自治体がやるべきものということで議論しており、人減らしのためにやっているとは毛頭思っていない。高齢化が進むので、住民に近いところで行政サービスを行っていくという考えであるA分権の推進に当たっては、地方の受け皿、道州制も平行して検討しないといけないと思っているBいま、生活者重視ということが求められているが、国、地方の公務員に国民から厳しい目が向けられているので、それに応えつつ、職員ががんばれるように配慮してまいりたい、との考えが示された。
 最後に、中村議長が、「3月21日に大臣が指摘していた「分権改革は困難な課題で、大きいビジョンときめ細かい議論を行いながら進める」ということを踏まえ、公務労協として、真に国民にとって意味ある分権改革を推進するためには、国・地方を問わず職員が意欲と英知を発揮できることが何より重要と考えている。それを具体化するためには、職員が仕事や生活に不安感を持つことがないよう、雇用と労働条件の確保について政府が責任を持つことが不可欠だ。大臣の格段のご配慮とご尽力を重ねて要請する」と再度求め、大臣交渉を締めくくった。

以上