公務員連絡会福田議長ほか委員長クラス交渉委員は、1日11時30分から、渡辺行革担当大臣と交渉を持ち、新たな人事評価制度について、要求の実現を迫った。
この間、公務員連絡会は、新たな人事評価制度の来年度施行を控え、夏以降に実施される全員参加のリハーサルに向けて、人事評価制度の骨子と評価結果の活用措置案について、行政改革推進本部事務局及び人事院との間で、交渉・協議を進めてきた。行革事務局との間では、人事評価制度の骨子について交渉してきたが、評価結果の開示と苦情処理システムへの労働組合の参加をめぐって不満が残る内容に止まったことから、委員長クラスと行革担当大臣との間で決着を図るために実施したもの。
公務員連絡会側は、福田議長以下、委員長クラス交渉委員が交渉に臨み、行革事務局は渡辺担当大臣のほか、株丹事務局次長らが対応した。
冒頭、福田議長は、次の通り述べ、渡辺大臣に対し、要求の実現に向けて特段の尽力を求めた。
(1) 改正国公法に基づく人事評価の本格実施に向けたリハーサル試行が直前に迫ってきている。
(2) われわれは、公務においても「年功序列的人事管理から能力・実績に基づく人事管理への見直しは必要」との認識の下に、様々な対応を行ってきた。しかし、能力・実績主義人事管理を進めていくためには、そうした人事管理の基盤たる人事評価制度が公平・公正、透明で納得性のあるものでなければならない。そのために、①評価結果の全面的な開示を行うこと②労働組合または職員代表が参加・関与する苦情処理システムを確立すること、を求めてきた。
(3) 24日に「人事評価制度骨子(修正案)」が示されたが、これまでの試行の実施案に比べれば前進面もあるが、①評価結果の開示について個別項目の開示が明確になっていないこと②苦情処理システムに労働組合の参加が保障されていないこと、などの問題があり、われわれとしてはこの内容について不満が残るといわざるを得ない。
民間の実例でも明らかなように、能力・業績人事評価制度を円滑に導入するためには、当局が一方的にことを進めるのではなく、労使が評価に対する認識を共有し、協力し合っていくこと、評価者と被評価者の信頼性確保が何より重要である。
(4) 近々に予定されるリハーサル試行は、全国家公務員が参加する最初にして最後の極めて重要な試行だ。われわれも、このリハーサル試行を是非成功させたいと考えているので、タイムリミットも迫っているが、担当大臣として特段の尽力を要請したい。
これに対し、渡辺行革担当大臣は、次の通り、考えを明らかにした。
(1) 公務員連絡会とは、これまでの試行や制度設計段階から、率直かつ前向きな話し合いを重ねてきたと聞いている。わたしも、リハーサル試行はぜひ成功させたいと考えている。
(2) 評価結果の開示については、国会でも議論があったが、能力・実績主義を実施するのであれば、能力評価、実績評価の結果をきちんと開示することが大事だ。これまでの試行ではほとんど開示されてこなかったと聞いているが、基本法に「評価結果の開示」を盛り込み、新たな制度においては「開示することが原則だ」という点を明確にした。
(3) 新たに設ける苦情処理の仕組みについても、苦情申出人の利便性なども十分に考慮し、また、公務員連絡会のご意見も踏まえて、できる限りの工夫をさせていただいた。
(4) 私どもとしても、現時点で考えられる最大限の措置をとったつもりであり、いろいろ問題があるとのことであるが、この形で制度を概定し、夏からのリハーサル試行に臨みたい。リハーサル試行を踏まえ、さらに詰めるべきものは詰めてもらいたいと思っている。
さらに、福田議長が「人事評価制度は、今回のリハーサル試行の結果を踏まえて、さらに制度的な検証を行い、最終的に確定するものと考えている。納得性を持った制度となるよう、その過程においても、われわれとの十分な交渉・協議を行ってもらいたい」と本格実施に向けた努力を求めたのに対し、渡辺大臣は「リハーサル試行は全職員が対象であり、これがうまくいかないと本格施行に支障が出かねないので、重く考えている。今後、リハーサル試行を経て、最終的な制度設計を行っていくが、今後とも、信頼性が高く、納得性の高い人事評価制度となるよう公務員連絡会とは引き続き意見交換を行っていく所存であり、よろしくお願いする」との考えを示した。
これを踏まえ、最後に、福田議長が「大臣から「今後とも、信頼性が高く、納得性の高い人事評価制度となるよう十分意見交換していきたい」との見解が示されたので、それを受け止め、リハーサル試行に対応していきたい」と引き続き意見交換をしていくとの大臣の考えを確認し、交渉を締めくくった。
公務員連絡会では、本日の大臣交渉の結果や人事院との間で近々に行われる評価結果の活用措置案に関わる交渉の結果を踏まえ、リハーサル試行に対する最終的な対応方針を固めることにしている。
以上