公務員連絡会は、25日午後、本年給与勧告の早期完全実施を求めて2007秋季闘争第3次中央行動を実施した。この間、9/19、10/15の二度にわたる中央行動を実施してきたが、11月10日の会期末を目前にして、依然として人勧取扱いが決定されないというギリギリの状況の中で緊急行動として取り組んだもので、中央集会のほか、書記長クラスによる総務省人事・恩給局長交渉、委員長クラスによる総務大臣との中間的な交渉や交渉支援行動を行い、給与改善勧告の完全実施を直ちに閣議決定することなどを迫った。
中央集会は、13時30分から開かれ、都市センターホテルの会議場に全国から1千人の仲間が集まり、要求実現に向けた決意を固め合った。
冒頭、主催者を代表して福田議長は「今、本年人勧をめぐる最大の山場を迎えている。政治空白はあったが、使用者としての政府が責任を放棄し、その取扱いがいまだ決まっていない。国会会期末から見れば、ギリギリの段階だ。この間様々な取組みを行い、19日には連合の高木会長が福田総理に完全実施を要請したし、国会でも民主党議員を通じて政府の姿勢を追及してきた。最後まで、不退転の決意と万全の闘争態勢で完全実施を実現しよう」と訴えるともに、本日午前中に渡辺行革担当大臣に申入れを行ったことを報告し(対策本部ニュースNo199参照)、行政改革推進本部専門調査会報告を踏まえて、労働基本権の確立に取り組む決意を述べた。
続いて吉澤事務局長が、基調提起で、人事院勧告取扱い、専門調査会報告、地方人事委員会勧告の状況と自治体確定闘争などを報告し、「来週早々も視野に入れつつも本日の行動をギリギリのものと位置づけて取り組もう」と、早期完全実施実現をめざし、全力で取り組むとの方針を提起した。
構成組織決意表明には自治労・徳永書記次長、国税労組・福田企画調整委員、政労連・小山副委員長が登壇し、人勧完全実施、調査会報告に基づく基本権付与の早期実現、地方の格差拡大の阻止、独法見直しへの対応などに全力で取り組むとの決意を述べた。
最後に福田議長の発声で「団結ガンバロー」を三唱して集会を締めくくった。集会終了後、参加者は、総務省前に移動し、「人勧の完全実施を行え」「地方の格差を是正しろ」「透明な評価制度を構築しろ」「労働基本権を回復しろ」などと、シュプレヒコールを挙げるなど交渉支援行動を繰り広げ、総務省人事・恩給局長交渉の経過報告を受け、この日の行動を終えた。
この日、午後3時から実施した書記長クラスによる総務省人事・恩給局長交渉及び午後4時から行われた委員長クラスによる総務大臣交渉の経過は以下の通り。
<藤井総務省人事・恩給局長交渉の経過>
総務省藤井人事・恩給局長との交渉は、15時から行われ、公務員連絡会からは書記長クラス交渉委員が出席した。
冒頭、吉澤事務局長が、会期末も迫ったギリギリの段階における人事院勧告の検討状況を質したのに対し、藤井局長は「近々、第3回の給与関係閣僚会議が開かれることになりその直前だが、皆さんにお示しできるような具体的な検討内容はない。ギリギリの中の、またギリギリの調整を進めている最中である。財政事情、社会経済情勢、不祥事とりわけ最近の問題などを含めた国民の理解ということが議論の焦点になっている。総務省としては、人事院勧告制度は労働基本権制約の代償措置であり、当然、完全実施されるべきであるということを主張しているが、結論は出ていないということだ。会期末を念頭に置いて、最大の努力を続けていく」と答え、いまだ政府の人事院勧告取扱いの方向性が決まっていないが、総務省としてはあくまで完全実施に努力していくとの見解を示した。
このため連絡会側は、「国会の会期末も迫っており、人勧を完全実施する内容の給与法改正法案が会期内に成立するよう、全力で取り組んでいただきたい。総務大臣との交渉では、さらに踏み込んで回答していただきたい」と強く求め、人事・恩給局長交渉を締めくくった。
<増田総務大臣交渉の経過>
増田総務大臣との交渉は、午後4時から総務省内の省議室で行われ、公務員連絡会からは委員長クラス交渉委員が出席した。
冒頭、福田議長は「8月9日に完全実施などを求める要求書を提出し、これまで交渉を積み上げてきたが、人勧を取り巻く状況は大詰めを迎えており、今日は大臣から明確な回答をいただきたい」として、政府における人勧の検討状況を質した。これに対し、増田総務大臣は次の通り答えた。
(1) 8月8日の人事院勧告以来、人事院勧告を尊重するとの基本姿勢に立ち、国政全般の観点から検討を進めてきた。この間、2回の給与関係閣僚会議を開いたが、厳しい財政事情、現下の経済社会情勢の下で、「公務員の給与を引き上げることについて、国民の理解を得られるかどうか」という観点で引き続き検討しているのが現状である。
(2) 現在、11月10日という臨時国会の会期末を念頭に置いて検討しており、明日、第3回の給与関係閣僚会議が開かれるが結論が得られるかどうかは分からない。総務省としては、勧告通り完全実施すべきとの立場で引き続き主張していく。私としては、少なくとも一般職員に影響が及ぶことがないようにする必要があると考えている。
(3) まだ、混沌とした状況であるが、以上申し上げた主張をして参りたい。
これに対し福田議長から、次の通り、重ねての努力を要請した。
(1) ただ今大臣から「総務大臣として完全実施に向け努力」するとの明確な姿勢の表明があったことは、当然のこととはいえ、評価したい。
ただ、会期末が迫った今日に至るも、いまだ勧告の取扱いの方向性が確定していないことについては、極めて遺憾である。
「少なくとも、一般職員に影響がでないように」という発言があったが、人勧制度は労働基本権制約の代償措置であり、完全実施以外の選択肢はないと考える。
(2) 大臣には、最後まで完全実施に向けてがんばっていただくことを強く要請する。また、今国会の会期内に完全実施の給与法改正法案が成立できるよう努力してもらいたい。
(3) 本日の大臣の回答は、抽象的なものであり、極めて不満である。
政府が、明確な方向性を固めた段階で、再度大臣から直接具体的な回答をいただきたい。
この要請に対し増田大臣から、「ご要望は承った。明日の給与関係閣僚会議では完全実施の立場で引き続き主張していく。また、時間が迫っていることも頭に入れて対応して参りたい。政府の方針が決まれば、改めて、私の方から皆さんに説明する。皆さんの期待に応えられるよう、引き続き誠意を持って努力して参りたい」と完全実施に向けて努力していく姿勢を示したことから、これを人勧取扱いについての総務大臣の中間的な回答として受け止め、大臣交渉を終えた。
以上