2008年度公務労協情報 8 2007年11月12日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

2007年地方確定・地財確立を求めて地公部会が中央集会、
総務省交渉などを実施−11/6〜8

 公務員連絡会地公部会は、11月7日、2007年地方確定推進・地方財政確立を求める中央行動を実施した。これは給与法案の閣議決定を受けて、地方確定の取組み情勢の確認と取組みの意思統一のために実施されたもので、中央集会および書記長クラスによる総務省公務員部長交渉を行った。また、一連の行動として、6日に委員長クラスによる民主党・社民党・公明党への要請、8日に書記長クラスによる首長3団体要請を実施した。そして14日には、幹事クラスによる議長会3団体要請を行うこととしている。

 午後12時30分から社会文化会館で開かれた中央集会は、全国から集まった500人の参加のもとに、岡崎地公部会幹事の司会で進められた。
 はじめに主催者を代表して挨拶にたった森越副議長は、「人事委員会勧告の完全実施など地方確定の取組みを全力を挙げて進めよう」と訴えた。
 続いて、藤川事務局長が基調報告を行い、「人事院勧告が完全実施とならなかった厳しい情勢にある。総務省交渉では人事委員会勧告の完全実施に向けて一定の回答を引き出したい。また、地方財政は危機的であり、地方交付税の総額確保も強く要求していく」と中央行動の目的を提起した。
 決意表明には、自治労・植本副委員長、日教組・島書記次長、都市交・林書記次長、全水道・伊藤関東地本書記長、自治労連・五老海副委員長、日高教・宮本福島高教組書記長が登壇、それぞれの取組みを報告し、ともに闘う決意を表明した。
 最後に森越副議長の音頭で団結がんばろうを三唱して集会を締めくくった。

 中央集会終了後、参加者全員で総務省前へ移動、人事院勧告完全実施、地方交付税の総額の確保などを求めてシュプレヒコールを挙げ、同時に行われた総務省交渉を支援した。

 総務省公務員部長交渉および各政党・首長3団体要請の経過は以下の通り。

<総務省公務員部長交渉の経過>

〜「人事委員会勧告は尊重されるべき」「地方交付税確保に向け努める」と総務省回答〜

 11月7日、地公部会は、2007自治体賃金確定闘争の推進、地方財政確立等のため総務省公務員部長交渉を実施した。総務省からは松永公務員部長ほかが出席し、地公部会からは構成組織書記長と藤川地公部会事務局長が臨んだ。

 はじめに、地公部会の金田企画調整委員代表より別紙要請書(資料1)を手交し、(1)賃金確定における労使交渉の尊重、(2)公営企業職員・現業職員の非現業職員との決定方式の違いを踏まえた労使交渉と合意の遵守、(3)標準的給与の確立と人事委員会相互の連携方策の強化等、(4)集中改革プランを超える純減をしないこと、(5)地方交付税の安定的確保などについて総務省の見解を求めた。
 これらについて、松永公務員部長からは、次のとおり応えた。
(1)地方公務員の給与については、労使間の交渉もあるが、地方公務員法の趣旨に則り、地域の実情を踏まえ、条例で定められるべきものである。具体的には、それぞれの団体の規模や給与の実態を踏まえ、国家公務員給与や民間給与の状況等を総合的に勘案した上で、適正な内容となるべきものと考えている。今後とも、このような考え方に立って必要な助言等を行ってまいりたい。なお、地方公務員に対する国民・住民の信頼を確保するためにも、不適切な制度・運用については更に適正化を進めていく必要があり、地域の民間企業の給与水準を適切に反映していくことが重要と考えている。こうした考え方に基づき、10月30日に通知した「給与改定通知」等において、一層の給与適正化に向けた取組を要請しているところであり、引き続き必要な助言等を行ってまいりたい。
(2)技能労務職員の給与については、その職務の性格や内容を踏まえつつ、特に民間の同一又は類似の職種に従事する者との均衡に一層留意し、住民の理解と納得が得られる適正な給与制度あるいは運用となるようにすることが必要であると考えている。
(3)標準的給与については、将来的な地方公務員給与のあり方の一つの方向として議論があることは承知しているが、まずは、「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」の提言にあるとおり、総務省としては、給与改定における説明責任の明確化のため、民間給与調査方法の事前公表、勧告の基礎となった資料の公表の制度化、級別定数に関する管理機能の明確化など、人事委員会の機能強化について検討してまいりたい。また、総務省としても人事委員会相互の連携強化方策等を検討するとともに、人事委員会の機能強化等について必要な支援あるいは助言をしてまいりたい。
(4)集中改革プランについては、昨今の非常に厳しい行財政の状況から、地方公共団体においても徹底した行政改革を進める必要があり、各団体において、それぞれの住民ニーズを踏まえた上で自主的な取組が行われる必要があるものと考えている。「集中改革プラン」について、平成19年9月1日時点の状況を取りまとめたところ、定員管理の数値目標を公表した団体の集計では、5年間で6.2%の純減となっており、骨太方針2006で示された5.7%を上回っている状況にある。それぞれの団体における定員管理の数値目標の設定にあたっては、画一的な取組を求めたものではなく、それぞれの団体が自主的に大変なご苦労をされて定めたものである。総務省としては、昨年8月の地方行革新指針で示したとおり、それぞれの地方公共団体において定員管理の数値目標の着実な達成に取り組んでいただくようお願いしたところであり、毎年度の達成状況を検証するなどして、定員の一層の純減に取り組んでいただきたいと考えている。
(5)全国どのような地域であっても一定水準の行政サービスを提供できるようにすることはもちろん、現在、喫緊の課題である地方の再生に向けて地方自治体が自主的・主体的に活性化施策に取り組めるようにすることが不可欠と考えている。そのため、交付税の財源調整・財源保障の両機能をしっかりと堅持するとともに、交付税を含め、必要な一般財源総額の確保に努めてまいりたいと考えている。

 これに対して、地公部会側は以下の点を質した。
(1)昨日の衆議院総務委員会では、給与法案に関して「政府は、人事院勧告制度が労働基本権制約の代償措置であることにかんがみ、公務員の給与改定については、勧告制度を尊重する基本姿勢を堅持し、完全実施するよう努めること」との附帯決議がされた。この決議の重みは大きい。地方においても、人事委員会の勧告は尊重されるべきと考えるが、改めて見解を述べていただきたい。
(2)財務省は、様々な統計手法を用い、地方公務員の給与が高いとキャンペーンを行っている。地方公務員法第24条第3項は「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない」と規定している。特段に民間給与を取り出して比較することは、法の趣旨からも不適切であると考えるが、見解を述べていただきたい。
(3)技能労務職等の給与は、交渉で決められるべきである。しかし、現状では政治的に給与引き下げが方向づけられようとしている。人事院の給与実態調査は、比較企業規模が50人以上だが、賃金センサスは比較企業規模が10人以上、パート、アルバイトの雇用形態の従業員も含むなど同センサスとの比較は、乱暴である。しかし、総務省公表のホームページの資料では、賃金センサスと比較する場合の留意事項は「脚注」にしか出ておらず、技能労務職員等の給与について賃金センサスとの単純な比較が、国民、住民に誤解を招くおそれもある。正確な情報が伝わるよう総務省の公表の仕方の工夫などを検討していただきたい。
(4)10月30日の閣議決定では、集中改革プランによる定員削減の取組みについて言及されているが、財務当局からはさらなる定員削減の圧力もあるのではと危惧するところである。閣議決定での言及は、5.7%以上の純減という今までの数値目標を超える数値を求めているのではない、ということを確認したい。
(5)地方交付税については、三位一体改革を通じて削減された分を取り戻すことが本来であるが、当面は2008年度の地方交付税総額を確保していただきたい。

 松永公務員部長からは、次の回答があった。
(1)人事委員会が置かれている地方公共団体においては、人事委員会が調査をされた上で、給与に関する勧告を行い、これを踏まえて、長が給与条例の改正案を調製し、住民の代表で構成される議会の議決によって、給与条例を改正することとなる。人事委員会の給与勧告は、人事委員会が第三者機関であるという中立性の見地や、民間給与の実態調査を行いこれに準拠して勧告を行うという専門性の見地から重要なものであり、基本的に尊重されるべきものと考える。
(2)地方公務員の給与決定については、地方公務員法の趣旨に則って、定められるべきものである。地方公務員法では、それぞれの団体の規模や給与の実態を踏まえ、国家公務員給与や民間給与の状況等を総合的に勘案した上で、適正な内容とするべきものと考えている。
(3)技能労務職等については、協約締結権が認められており、人事委員会勧告の外にあるなど、より民間に近いかたちとなっている。その構造を見た時に、地域の民間給与と比べてあまりにも高いのではないかとの指摘があり、これを踏まえた対応を考える必要があるため、公表を行ったものである。
(4)閣議決定は、現在、各地方公共団体が進めている定員削減以上の新たな数値目標を考えているものではない。個々の団体における定員管理の数値目標の設定にあたっては、画一的な取組を求めたものではない。総務省としては、各地方公共団体において定員管理の数値目標の着実な達成に取り組んでいただくよう求めているところである。
(5)地方交付税については、総務大臣も地方交付税の総額確保のため努力すると言っており、要望は承った。

 さらに、地公部会側が、「地方公務員の給与決定については、『地公法の趣旨に則って適切に決められるべき』との総務省の見解であるが、民間給与との均衡のみがことさらに取り上げられているのは問題である。地公法第24条第3項の趣旨に沿って、総合的に判断するよう、地方公共団体に助言していただきたい」と質したのに対して、松永公務員部長は、「地方公務員給与への民間給与の反映の問題については、これまでの国公準拠の考え方の刷新が必要である。給与制度は国と並びであるが、給与水準は民間給与をより反映するべきという考え方に変わってきていると認識している。今まで、地方公務員給与は国公準拠で、あまりにも画一的過ぎるので、民間給与をより反映するようにと助言をしているものである」と応えた。

 最後に、地公部会側から、退職手当債の許可について、「総務省が人件費に関わる部分の『適正化』を厳しく指導している、との声が地方から上がっている。そもそも、自治体の条例等で決定された給与等について『適正』、『不適正』という総務省の概念に疑問をもつ。今回の退職手当債は、地方財政の悪化や団塊の世代の大量退職という特別な事情によるものであることから、是非、弾力的な運用をお願いしたい」と要請した。
 また、「行政改革推進本部専門調査会は『公務員の労働基本権のあり方について(報告)』では、労働協約締結権を付与するということなどを明記した。地方公務員の給与、制度が大きく変化して行く時代を迎えている。今後の地方公務員給与のあり方について、われわれも研究して意見を述べていくが、総務省としても、具体的な検討に踏み出していただきたい」と強く要望し、交渉を終了した。


<各政党要請の経過>

〜3政党とも「人勧は完全実施されるべき」「地方交付税は確保」と回答〜

 民主党・社民党・公明党への要請は6日午後に実施された(資料2)。要請には、地公部会から議長の佐藤全水道委員長、同副議長の岡部自治労委員長、森越日教組委員長、武田都市交委員長、川田自治労連委員長が出席した。

(1) 公明党への要請の概要
 公明党からは、斉藤鉄夫政務調査会長、谷口和史労働局長、山口那津男政調会長代理、桝屋敬悟政調副会長、弘友和夫参議院副幹事長、石田祝稔衆議院議員、江田康幸衆議院議員らが対応した。冒頭、佐藤議長から「半分以上の自治体で独自の給与カットを行うなど、自治体間の財政力の格差が大きな問題になっている。格差の解消に向けて努力をお願いしたい」と挨拶した。続いて、藤川事務局長が要請書に基づき、6点にわたって要請を行った。
 これに対し、枡屋敬悟政調副会長から、「地方交付税については、2004年の抜き打ち的削減が現在の額のベースとなっている。地方にとってかなり厳しい状況であると認識している。税制についても議論がされているなかで、地方消費税を引き上げるとか水平調整をするとか、さまざまな議論があるが、どのようにお考えか」との発言があり、岡部自治労委員長から、「住民の立場に立って、必要な公共サービスを提供するために必要な額を歳出面から算定し、歳入の確保を図るべきである。地方交付税制度は、地方の財政力の確保にとって必要不可欠である。総額の確保に向けて、さらなる努力をお願いしたい」と再度要請した。これを受け、斉藤鉄夫政務調査会長から、「要請の6項目については基本的方向では一致している。しっかりと受け止めて頑張るつもりである。公明党は、皆さんの政策に最も近い政党であると自負している。地方の側に立って福祉や公共サービスの確保に努力していく」旨の見解表明があった。
 最後に地公部会側が、要請内容への最大限の努力を再要請し、要請を終えた。

(2)民主党への要請の概要
 民主党は、原口一博ネクスト総務大臣、内藤正光同総務副大臣、高嶋良充参議院総務委員会委員長、那谷屋正義参議院総務委員会理事が対応した。
 冒頭、佐藤議長から「地方財政計画の圧縮、地方交付税の大幅削減など、地方財政危機により公共サービスの縮小や質の低下が危惧されている。国主導でなく、住民を主体とした公共サービスのあり方の議論と、公共サービスを担う労働者の労働条件の確立をお願いしたい」と挨拶した。
 要請に対して、原口一博ネクスト総務大臣から、「いただいた要請の6点について、まさにそのとおりである。地域における安定的な財源の確保をどうしていくか、その上で公共サービスはいかにあるべきか、きちんと議論して行かなければならない。教職員の定数など、公務員の適正な人員確保について努力していく。また、公務員の人権保障の観点からも公務員の労働基本権を担保するよう民主党としてとりくむ」旨の見解表明があった。

(3) 社民党への要請の概要
 社民党からは照屋寛徳副党首、渕上貞夫副党首、日森文尋副幹事長、重野安正国対委員長、菅野哲雄労働委員長が対応した。
 冒頭、佐藤地公部会議長が、「地方公務員の賃金をめぐっては国の財政逼迫の原因と責任を明らかにせず、自治体のみに財政責任を押し付け、公務員人件費を財政危機の直接の要因と結び付けているのが現状である。また、人事委員会勧告で財政事情等を理由にプラスの公民較差にもかわらず、勧告しない場合や独自に賃金削減をする自治体も多数に及び、公務員労働者の生活のみならず、地域経済に与える打撃は大きい。自治体財政力格差の深刻化がサービス水準に影響し、住民にしわ寄せにならないよう地方財政確立に向け、ご尽力いただきたい」と挨拶した。
 要請に対して、日森副幹事長は「要請内容の趣旨は十分に受け止めたい。給与法の扱いもマイナス勧告の場合は実施して、プラス勧告の際には完全実施しないことは極めて問題。また、給与法案閣議決定では、人事院に対して比較対象企業規模のさらなる見直しの検討を要請しており、警戒感を持っている」と述べ、公務員労働者の生活や人材確保に支障がでかねず、今の政府・与党の姿勢を質していかなくてはならないとした。
 地公部会側は、「財政再建を優先するあまり住民不在のまま、サービスが切り捨てられている。公共サービス分野の規制改革が進められているが、国主導で民間開放が進められようとしており、サービスの利用者や提供労働者の参画・関与が必要である。この点もご理解いただきたい」と述べた。


<首長3団体要請の経過>

〜首長3団体「地方交付税総額の確保に努める」−要請の趣旨に理解を示す〜

 8日、全国知事会・全国市長会・全国町村会に対し、地方公務員の賃金と地方財政確立等に関して申入れを行った(資料3)。地公部会からは、金田企画調整代表をはじめ、各構成産別書記長および藤川地公部会事務局長が出席した。

(1) 全国知事会要請の概要 
 全国知事会に対する要請は、10時から行われ、重松調査第一部長が対応した。全国知事会からの回答の概要は以下の通り。
○ 要請事項に対し回答する立場にはないが、要請の主旨はもっともなことである。本日の要請内容は会長にも伝えさせていただく。
○ 地方行財政においては、一般行財政が逼迫し義務的経費にしわ寄せがなされる中、具体的な施策を実行するお金がないなど、危機的な状況にある。地方6団体で力を合わせて地方交付税総額の確保に努めていく。
○ 地方公共団体としては、やはり住民第一で、給与カットなど職員に辛抱を願うところも多く不本意なことと聞いている。住民からのさまざまな批判に対して、住民の支援が得られる体制になっているか、十分な説明をしてきたかなど、反省すべきところもあると思う。反省すべきは反省すると同時に、住民に訴えるべきことは訴えて行かなければいけないと考えている。何より住民の理解が必要であり、労使一丸となって取り組むことが必要ではないか。お互い誇りを持って取り組んでいきたい。
○ 地方も血の出るような思いをしていることを直視して欲しい旨、国に対して訴えている。税財源の在り方について、自治体に最低限確保できる体制を確立していかなければならない。

(2) 全国市長会要請の概要
 全国市長会に対する要請は、10時30分から行われ、園田行政部長が対応した。全国市長会からの回答の概要は以下の通り。
○ 各自治体に指示などできる立場にはないが、例年要請をいただき、要請の主旨はよく理解している。
○ 地方交付税の総額確保や増額について、皆さんの役割は重要であり、皆さんの側からも関係各方面にプレッシャーを掛けるなど、是非がんばっていただきたい。

(3) 全国町村会要請の概要
 全国町村会に対する要請は、11時30分から行われ、平山事務局次長・久保行政部長・雨宮行政部副部長が対応した。全国町村会からは、町村の厳しい現状と地方交付税の総額確保など財政確保が重要な課題であることが訴えられた。
○ ここ5年間で地方交付税が5兆1千億円減らされている。とりわけ、人口規模や財政規模が小さい町村では、厳しい状況にある。国から地方へ税源移譲がなされたといっても、もともと税源のない町村では何も変わらない。減額された地方交付税の「復元」をテーマに21日、全国町村長大会を行う予定である。総務大臣は地域再生枠を上乗せした財政の確保を言っており、期待はしているが、やはり地方交付税が命であり、守っていかなければならない。
○ 「集中改革プラン」による人員削減で町村ではかなりの人員が減ってきている。まだ削減の余裕があるのではないかといわれるが、町村においては、人員も財政もこれ以上の削減は限界である。地方分権で国や県から仕事を移譲されても、人と金をよこしてくれなければ何もできない。地方分権のしわ寄せが一番町村に来ているのではないか。
○ 財政力格差があっても国民であれば基本的・標準的サービスを受けることができるよう、地方交付税の持つ財源保障機能と財源調整機能を堅持し、必要な総額を確保することが重要な課題である。


資料1.総務省への申入書

2007年11月7日


総務大臣 
 増 田 寛 也 様

公務労協公務員連絡会地方公務員部会
日本自治団体労働組合   
中央執行委員長 岡部謙治
日本教職員組合      
中央執行委員長 森越康雄
日本都市交通労働組合   
中央執行委員長 武田 茂
全日本水道労働組合    
中央執行委員長 佐藤幸雄
全国自治団体労働組合連合 
中央執行委員長 川田直彦
日本高等学校教職員組合  
中央執行委員長 小林政至


地方公務員の賃金と地方財政確立等に関する申入れ


 貴職の地方自治確立、地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 いま、2007年の人事委員会勧告が出され、行政サービスに従事する地方公務員の賃金水準の確保と、労使自治を尊重した賃金確定が求められています。
 また、政府の国・地方の歳入歳出一体改革は、公共サービスのあり方についての十分な国民的議論と合意を抜きにした定員・賃金の削減や、地方財政計画の圧縮、地方交付税の大幅削減により、自治体サービスの縮小や質の低下を招くおそれがあります。
 実際、自治体間の財政力格差が東京とそれ以外で著しく拡大し、財政力の弱い地方部では行政水準の確保がままならない状況にあります。
 今日、雇用・所得・生活の地域間格差が拡大し、深刻な地域の二極分化を招いています。こうした中にあって、少子高齢社会における社会保障の水準確保や教育、環境、防災など地域における住民ニーズに適切に対応する自治体の役割強化が求められています。
 貴職におかれましては、地方自治と地方分権を推進する立場から、下記事項の実現に向けてご尽力頂きますようお願いします。



1.自治体サービスの確保・向上のため、地方公務員の賃金水準が確保されるよう取り組むこと。また、自治体賃金の確定に当たっては、労使の交渉を尊重すること。
 とくに、公営企業職員や現業職員の給与については、非現業職員との決定方式の 違いを踏まえ、労使交渉と合意を遵守して対応すること。

2.地方公務員の標準的給与の確立に向けた取組みを行うこと。そのため、全国人事委員会連合会の体制・機能の強化をはじめ人事委員会の体制・機能強化や人事委員会相互の連携方策の強化について支援を行うこと。

3.総人件費改革に関わる自治体職員定数については、「集中改革プラン」を超える純減を強要しないこと。

4.抜本的な地方分権改革を早期に実現し、国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方自治の確立を図ること。国庫補助負担金制度については、国としての最低保障のあり方や国と地方の役割分担を踏まえ、個々の事業を精査し必要な改革を進めること。
 また、地方交付税制度の財政調整機能や財源保障機能を堅持し、交付税総額の安定的確保をはかること。

5.自治体財政健全化法の運用に当たっては、国の関与を最小限にとどめ、自治体の自主的、主体的な財政健全化を基本とすること。

6.公共サービス分野の規制改革については、自治体の責任と関与のもと、公共サービスの質と水準の維持・向上を基本とすること。また、改革に当たっては公共サービス利用者である市民および提供労働者の参画・関与を確保する方策を講じること。

7.自治体が提供する公共サービスの水準確保と従事者の公正労働基準を確立するため、ILO94号条約(公契約)の趣旨を踏まえて公契約条例の制定を促進すること。

8.地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。


資料2.政党への要請事項

1.地方交付税制度を堅持し、交付税総額の安定的確保をはかること。とくに、地方交付税制度の財源保障機能および財政調整機能の堅持、自治体の安定的財政運営を実現する一般財源を確保すること。

2.抜本的な地方分権改革を早期に実現し、国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方自治の確立を図ること。国庫補助負担金制度については、国としての最低保障のあり方や国と地方の役割分担を踏まえ、個々の事業を精査し必要な改革を進めること。

3.公共サービス分野の規制改革については、自治体の責任と関与のもと、公共サービスの質と水準の維持・向上を基本とすること。また、改革に当たっては、公共サービス利用者である市民および提供労働者の参画・関与を確保する方策を講じること。

4.地方公務員の定数については、自治体の果たすべき住民サービスのあり方について十分な国民的議論と合意のうえで、適正な人員を確保すること。

5.自治体賃金の確定に当たっては、労使の交渉を尊重すること。

6.地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。


資料3.首長3団体への要請事項

1.自治体サービスの確保・向上のため、地方公務員の賃金水準が確保されるよう取り組むこと。労働基本権制約の代償措置としてある人事委員会勧告を尊重するとともに、十分な労使交渉を行うこと。
 また、公営企業職員や現業職員の給与については、非現業職員との決定方式の違いを踏まえ、労使交渉と合意に基づき決定すること。

2.地方公務員の標準的給与確立にむけ、全国人事委員会連合会の体制・機能を強化するために財政上その他の支援を行うこと。

3.総人件費改革に関わる自治体職員定数については、「集中改革プラン」を超える純減を行わないこと。

4.抜本的な地方分権改革を早期に実現し、国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方自治の確立を図ること。国庫補助負担金制度については、国としての最低保障のあり方や国と地方の役割分担を踏まえ、個々の事業を精査し必要な改革を進めること。
 また、地方交付税制度の財政調整機能や財源保障機能を堅持し、交付税総額の安定的確保をはかること。

5.公共サービス分野の規制改革については、自治体の責任と関与のもと、公共サービスの質と水準の維持・向上を基本とすること。また、改革に当たっては公共サービス利用者である市民および提供労働者の参画・関与を確保する方策を講じること。

6.自治体が提供する公共サービスの水準確保と従事者の公正労働基準を確立するため、ILO94号条約(公契約)の趣旨を踏まえて公契約条例の制定を行うこと。

7.地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。