本年の人事院勧告取扱いをめぐっては、8月15日に第1回給与閣僚会議が開かれ、その後、福田総理の辞意表明に始まる総選挙の可能性を含んだ政局の流動化の中で、政府部内の作業が進んでいなかったが、第1回給与関係閣僚会議から2か月を経過したことや新しい関係閣僚になったことから、28日朝、第2回の給与関係閣僚会議が開催された。会議では、総務大臣と厚生労働大臣が「人事院勧告制度は労働基本権制約の代償措置の根幹であり、勧告通り実施すべきである。国家公務員の勧告取扱いが決定されれば、地方公務員の給与改定等もこれを基本として決定すべき」などと勧告通りの実施を主張したのに対し、財務大臣が「勧告は尊重すべきだが、財政事情等を勘案すれば、さらに慎重な検討が必要」との考えを示し、官房長官がこれらを集約し、「本日は結論を得るに至らなかった。今後さらに検討を進め、適切な時期に再度給与関係閣僚会議を開いて結論を得ることとしたい」と取りまとめた模様である。
こうした情勢を踏まえ、公務員連絡会は、28日11時から、総務省交渉を実施し、給与関係閣僚会議の内容を含めて本年の人事院勧告取扱いの検討状況を質すとともに、人勧通り実施するとの閣議決定をできるだけ早く行うよう迫った。交渉には、公務員連絡会側から幹事クラス交渉委員が参加し、総務省側は笹島人事・恩給局次長らが対応した。
冒頭、公務員連絡会の岩岬副事務局長が「9月24日の人事・恩給局長との交渉以来になるが、今朝、第2回の給与関係閣僚会議が開催されたと聞いている。会議の状況や政府における検討状況を伺いたい」と質したのに対し、笹島次長は次の通り答えた。
(1) 8月15日に第1回給与関係閣僚会議が開催され、その後、新しい内閣になったので、改めて給与関係閣僚会議が開かれたものと理解している。
(2) 給与の取り扱いについては、人事院勧告制度は労働基本権制約の代償措置の根幹であり、勧告通りの実施を早期に決定すべきとの発言や現下の厳しい財政状況や国民生活などの経済状況を踏まえ、慎重に検討すべきであるとの意見があり、結論は得られず、引き続き検討することになった。
(3) 本日の会議を踏まえ、政府としては、引き続き検討を行い、できるだけ早く結論を得たいと考えている。
これに対し、公務員連絡会側が@今後は、臨時国会中に解決するとの姿勢で努力していただきたいA閣議決定や国会提出に当たっては、給与法、勤務時間法、退職手当法を一括で扱っていただきたい、と要望したのに対し、笹島次長は「臨時国会の運営がどうなるか確たることを申し上げられない状況にある。今回の人事院勧告に係わっては、12月の期末手当で調整することはないが、国会の日程を念頭に置き、できるだけ早く政府としての取り扱い方針を決めたいと思っている。次回の給与関係閣僚会議の予定は分からない。総務省としては3つの法案を一括で進めていきたいと考えており、国会情勢を踏まえつつ判断したい」との考えを示した。
最後に岩岬副事務局長が「退職手当法改正の大枠について反対はしないが、一部に課題が残されており、それが解決するよう引き続き十分交渉・協議すべきだ。人勧取扱いについては、臨時国会中に解決するよう総務省として最大限の努力を求める」と強く要望、笹島次長が努力することを表明したことから、これを確認し本日の交渉を締めくくった。
なお、公務員連絡会では、総選挙など政治情勢が確定した段階で企画・幹事合同会議を開き、人勧早期実施などの秋季確定闘争方針を検討することにしている。
以上