連合の古賀事務局長と公務労協労働基本権確立・公務員制度改革対策本部の福田本部長、岡部・中村・河田副本部長らは、27日9時から、甘利公務員制度改革担当大臣交渉を実施し、公務員制度改革工程表に対する甘利大臣の姿勢を厳しく追及した。
冒頭、古賀事務局長が別紙「「内閣人事局の設置等を求める関係法律案」と「工程表」に関する最低限要求について」を大臣に手交し、要請の趣旨を述べた。
(1) 本日は、内閣人事局の設置に係る法案の内容及び公務員制度改革の工程表について、政府が1月末決定を予定していることから、最終的な局面と認識し、連合として最低限の要求を提起するために、公務労協代表者とともに伺った。
(2) 具体的には、要求書に記載のとおりであり、顧問会議において高木会長が意見書を含めて指摘したように、@人事院の代償機能をはじめとする6機関の機能を内閣人事局に移管する法案とする場合、あわせて管理職員を除くすべての非現業職員に協約締結権を付与する法改正を措置するか、または二段階方式とすることA工程表において、管理職員を除くすべての非現業職員に協約締結権を付与する方向性を明確にすること、を連合としての最低限要求として、措置することを求める。
また、福田対策本部長は、工程表の給与制度見直しなど勤務条件に関わる事項について、次の通り申し入れた。
(1) 工程表(案)の中には、勤務条件に関わる項目があり、大臣からも「誠心誠意努力する」との約束をいただいて、これまで交渉・協議を積み重ねてきたが、われわれの意見が全く取り入れられず、遺憾である。
(2) 人事院の給与、任用、試験等の企画立案などの代償機能を内閣人事局に移し、政府が給与制度見直し等の内容を一方的に検討し、必要なものについて人事院に勧告を要請するという方法は納得できない。労働基本権の付与と一体でなければならない。
(3) 以上のように、手続き面においても、内容面においても極めて問題であり、このまま工程表を閣議決定するのであれば、われわれはこの政府の方針を認めるわけにはいかない。大臣の誠意ある見解を伺いたい。
これに対し、甘利大臣は次の通り答えた。
(1) 労働基本権の問題については、私から労使関係制度検討委員会に極力早く結論を出すよう要請した。基本法の趣旨を踏まえ、自律的労使関係制度を措置することをできるだけ急がせる。大臣として決めた、こうしますから、検討してくれと言うわけにはいかない。そういう中で委員会に制度設計をお願いしている。
(2) 内閣人事局については、「内閣人事・行政管理局」ということで検討しており、人事院総裁とも相談しているが、われわれの案に理解を得られていないので、そこのところは政治判断するしかないと思っている。級別定数、任用は内閣に移管し、給与、分限、懲戒は人事院に残すことを検討している。人事院は、級別定数も給与と同じ勤務条件として同等に扱っているが違うのではないか。
(3) 勤務条件については、人事院に勧告を要請するなど慎重に扱うこととしている。
大臣の見解に対し、連合、公務労協側は@工程表は、幹部職員の任用の弾力化、定年延長の進め方、高齢職員の給与など内容面でも問題があり認められないA幹部職員と一般の職員は一体であり、幹部職員の問題も交渉事項であり、われわれの意見を踏まえてさらに検討すべきであるB労使関係制度検討委員会は協約締結権を付与する場合の制度をどうするか検討する場であるはずだが、事務局が提案する資料ではできる限り付与の範囲を狭めようとしており問題だC大臣から公務員制度改革と労働基本権の取扱いについて「整合性あるものしたい」との見解をいただいているが、客観的に見てそうなっていない。労働基本権の問題を具体的に進めない限り、この議論は前に進まない。自律的労使関係を措置する、すなわち第三者を介在させない労使関係をつくるというメッセージを発信すべきだ、などを主張したが、甘利大臣からは方向性のある明確な見解は示されなかった。
このため、最後に古賀事務局長が、「大臣が就任以来4か月間、この問題に取り組んでこられたのは承知しているが、ただいま示された見解では了解できない。本日提起した3点にわたる最低限要求に基づき、誠意ある政治判断をされるよう強く要請し、本日の会見を終えたい」と締めくくった。
別紙
2009年1月27日
内閣府公務員制度改革担当大臣
甘 利 明 様
日本労働組合総連合会
事務局長 古 賀 伸 明
「内閣人事局の設置等を定める関係法律案」と「工程表」に関する最低限要求について
日頃からの国政に関する尽力に、心より敬意を表します。
今般、政府が検討している「内閣人事局の設置等を定める関係法律案」及び公務員制度改革に係る「工程表」について、最低限、下記のことを措置するよう要求します。
記
1.内閣人事局の設置等を定める関係法律案について
管理職員を除くすべての非現業職員に協約締結権を付与することを前提とすれば、6機関(人事院(代償機能)、総務省人事・恩給局、官民人材交流センター・再就職等監視委員会、内閣総務官室、総務省行政管理局、財務省主計局給与共済課・理財局国有財産調整課)の機能を内閣人事局に移管することは、責任ある人事そして使用者機関を確立するという意味で評価できる。
したがって、6機関の機能を内閣人事局に移管する法案とする場合、関係法として、管理職員を除くすべての非現業職員に協約締結権を付与する(詳細の制度設計は、労使関係制度検討委員会に委ねる)国家公務員法の改正案を措置すること。なお、これによらない場合、少なくとも級別定数を含むすべての人事院の代償機能については、協約締結権の付与に係る検討結果に応じて、(二段階方式により、人事院の機能は2010年通常国会において)移管等の措置を講ずること。また、同院の公正・中立性を確保する機能については、まず移管ありきの拙速な対応をはかるべきではなく、引き続き、十分かつ具体的さらに専門的な検証を行うべきである。
2.「工程表」における労働基本権の検討等について
「工程表」について、まずは「内閣一元管理」・「国家戦略スタッフ、政務スタッフ」・「幹部職員等人事管理」に係る給与を除く事項の対応を先行・優先すべきである。なお、「幹部職員の任用の弾力化」については、幹部職員を一般職の範囲において措置することは限界があり、別途の区分等にすることを検討する必要がある。「能力・実績主義の徹底」については、改正国家公務員法に基づく措置に限定すべきである。また、「定年延長の検討」については、基本法修正に係わった立法者の意志を改めて聴取し、それに基づく措置とすること。
「労働基本権の検討」については、検討スケジュール(2009年中の労使関係制度検討委員会の結論)は了とするが、工程表において、「管理職員を除くすべての非現業職員に協約締結権を付与する」方向性を明確化すること。
3.「工程表」における給与制度見直しの取扱いについて
工程表における「給与制度の見直し」の取扱いについては、人事院の独立性及び主体性のもとでの検討を明確化するとともに、見直しの方向性を提起せず、基本法における給与関係の規定のテーマのみに限定し同院に要請すること。なお、勧告時期等のスケジュールについては、現在、給与構造改革の経過期間にあることを踏まえ、2010年以降とすること。
以上