2009年度公務労協情報 27 2009年 2月16日
公務公共サービス労働組合協議会

「工程表」に基づく法案作業で公務員事務局長に申入れ−2/13
−十分な交渉・協議、合意と一方的に国会提出しないことを要求−

 公務労協は、13日、国家公務員制度改革推進本部(以下「推進本部」という。)交渉を実施し、別紙「「工程表」に基づく法案作成作業に関わる申入れ」を提出し、要請事項の実現を求めた。この交渉は、3日の第3回推進本部会議で「公務員制度改革に係る「工程表」」(以下「工程表」という。)が決定され、3月中にも内閣人事・行政管理局設置法案を国会に提出することにしていることから、十分な交渉・協議を行い、一方的に提出しないことなどを求めて実施したもの。
 交渉には、公務労協側から吉澤事務局長、各構成組織書記長が参加し、公務員事務局側は立花事務局長、淵上・古賀審議官らが対応した。
 冒頭、吉澤事務局長が申入書を提出し、「1月27日連合と一緒に甘利大臣と交渉し、連合古賀事務局長名で最低限要求を提出し、誠実な政治判断を求めた。しかし、決定された工程表の内容は、交渉・協議の到達点としては極めて遺憾であり、撤回を求める。今後、工程表に基づいて法案作業が行われるが、われわれとはどのように対応していくつもりか」として、公務員事務局の見解を求めた。
 これに対し、立花局長は、「1月26日に皆さんの考えを聞いたとろろであるが、その後、工程表を決定し、いま、工程表に基づいた作業を進めている。わたしが皆さんと話し合うのは今回で3回目だが、最後まで誠意を持って話し合っていくことは人間として当然のことであり、私の信条でもある。しかし、基本法を最大限尊重して作業を行い、最後は大臣が判断したので、いただいた意見をそのまま取り込むことにはならなかった。すべて皆さんからいただいた意見を入れることは難しいことではあるが、誤解なく、真意を理解いただき、最大限溝を埋めるべく、誠実に話し合いを続けていきたい」と答えた。
 この局長答弁を含めて、公務労協側は、さらに次の通り局長の見解を質した。
(1) 1月19日の交渉で局長は遺憾の意を表明し、誠心誠意対応することや修正があり得ることに言及された。しかし、結果から見れば、工程表の考え方についての説明は論理的に理解、納得が出来なかったし、われわれの意見は無視し、一切取り入れられなかった。このことと、いま言われたことの関係が理解できない。合意点を見いだすことがこの場の任務ではないか。
(2) 政府の決定で勤務条件を変更できるようにするというのが工程表の中身であるが、公務員の労働基本権が制約されているもとでは、第三者機関が企画立案を含めて行うべきではないかとの疑問を提起してきた。われわれが納得するまで徹底的に話し合う姿勢がなければならない。われわれが反対しても、政府が一方的に決めるのでは、話し合いに意味はない。勤務条件については、合意できるまで努力する、それまでは法案を出さないという決意を示すべきだ。
(3) 公務員制度改革については2000年から議論しているが、交渉・協議を行っても政府側が一方的に決めるということが何度も繰り返された。結果的に、われわれの立場を軽視してきたと評価せざるを得ない。この場で政府と労働組合が合意形成し、政治に向き合うという努力をすべきだ。
(4) われわれは組合員、職員を代表してきており、改革で公務職場で働いている職員がどうなるのか、われわれが理解し納得できないことを組合員に理解してもらうのは無理だ。理解し納得できるよう、きちんと説明をしていただきたい。
(5) この間の経過を踏まえ、内閣人事・行政管理局設置法案については、納得と理解、十分な交渉・協議、合意に基づいて作業することとし、今後は審議官レベルで議論をさせていただきたい。
(6) 法案作業のスケジュールはどうなっているのか。

 これらの要望に対し、立花局長らは次の通り答えた。
(1) 1月19日の交渉では皆さんに工程表の案をお示しするタイミングのずれがあり、結果として残念ということを申し上げた。審議官のところでも話し合ってきたし、お互いの立場はあるが、公務員事務局としては努力してきた。皆さんの意見を全部が全部を入れることにならなかったが、「自律的労使関係」は入れたし、大臣のスケジュール感も入れ、現段階でギリギリ努力した。一切無視したと言われるのは残念だ。
(2) 公務員事務局の仕事は、基本法に盛られた項目を所定の期間内にいかに実現していくかであると考えている。皆さんとの話し合いの機会に、無用な摩擦や誤解は避けて、考えていることを率直に出し合って、お互いの違いを理解し合った上で進めていくことが大事と思っている。
 労働基本権制約のもとで、人事院の代償機能は残し、勤務条件に関わる事項については勧告という仕組みを入れて対応していくことにしている。制約の範囲内で対応している。
(3) 基本法の実現のため、無用の摩擦、誤解を避けつつ作業を進めていきたい。ただし、合意がないと進められないということについては、ギリギリまで理解を得られるよう努力していくこととしたい。皆さんにわれわれの取組みに対する理解をいただいて、溝が深まらないようにしたい。工程表では自律的労使関係を措置することにしており、粛々と進めていきたい。
(4) 予算関連以外の法案締切は3月10日なので、難しいだろうが、それを目標に作業を進めていきたい。

 以上のように、立花事務局長は、「理解を得られるよう努力する」姿勢は示したものの、「合意に基づいて進める」ことは明確にしなかった。このため、公務労協側は、工程表にもとづく法案作業について、申入内容を踏まえて誠実に交渉・協議を行い、合意に基づいて進めることを重ねて強く求め、交渉を締めくくった。


別紙−申入書

2009年2月13日


公務員制度改革担当大臣
  甘 利  明 殿

公務公共サービス労働組合協議会
労働基本権確立・公務員制度改革対策本部
本部長  福 田 精 一


「工程表」に基づく法案作成作業に関わる申入れ


 政府は、2月3日朝、第3回国家公務員制度改革推進本部会議を開催し、いわゆる「工程表」を決定しました。
 しかし、「工程表」の内容は、現行公務員制度の根幹である人事行政の中立・公正性を大きく損ね、明確な協約締結権付与の担保がないまま労働基本権制約の代償機能を形骸化するものであり、われわれは到底認めることができません。また、「工程表」策定過程で、「誠心誠意話し合う」としながら、われわれの意見を一切受け入れず、一方的に決定したものであり、極めて遺憾といわざるを得ません。
 貴職は、この「工程表」に基づいて3月中にも内閣人事・行政管理局設置法案等を国会に提出するとしていますが、こうした内容・手続きのまま法制化するのであれば、われわれとしては法案に反対せざるを得ません。
 以上のことから、貴職が法案作成作業を進めるに当たって、下記の通り申し入れますので、その実現に向けて最大限努力されるよう要請します。



1.内閣人事・行政管理局設置法案等の作成作業に当たっては、拙速を避け、われわれと十分交渉・協議、合意することとし、一方的に国会提出しないこと。

2.労使関係制度検討委員会における検討に当たっては、協約締結権付与を含む「自律的労使関係制度」確立の方向性を明確にした報告をとりまとめること。

以上