公務員連絡会は、16日、総務省交渉を実施し、1月29日に提出した「新たな人事評価制度の実施に関わる政令案等に対する申入れ」(公務労協情報No.24参照)に対する回答を求めた。
交渉は16時から行われ、公務員連絡会側から書記長クラス交渉委員が参加し、総務省側は村木人事・恩給局長、笹島次長、川淵総務課長、境参事官らが対応した。
冒頭、吉澤事務局長が「新たな人事評価制度については、積極的かつ精力的に議論を行ってきた。政令案、内閣府令案等に関わる取組みは、2年にわたる取組みの集大成である。その点を踏まえ、1月29日の申入れに対する局長の回答を示してもらいたい」として回答を求めたのに対し、村木局長は次の通り答えた。
1.制度実施に向けての十分な交渉・協議について
人事評価制度の構築に当たっては、これまでの数次の試行の実施の際にも、各府省、職員団体と意見交換等を行ってきたところである。人事評価制度が納得性のある、信頼性の高いものとなるよう、引き続き、意見交換を行い、制度の円滑な導入に努めてまいりたい。
2.評価者研修等の制度周知・徹底について
リハーサル試行のアンケート結果を見ても、かつて試行を経験したことがある職員は人事評価制度への理解が深まっているとの傾向がある。人事評価制度の円滑な導入に向けて、制度内容について、一層の周知徹底を図るとともに、評価制度導入後においても、評価者の行う評価の精度をさらに高めるため、人事院とも協力して、引き続き、評価者講習等による評価者訓練を行ってまいりたい。
3.制度の見直しについて
公務員制度改革に係る「工程表」においても新たな人事評価制度については、平成22年にその運用状況を評価し、必要に応じて改善を行うこととされたところであり、制度導入後も、引き続き、職員団体と十分に意見交換しつつ、制度の見直し等が必要な場合には、制度官庁として必要な対応をしていく考えである。
4.政令案等について
(1) 個別評語の開示に向けた各府省への指導については、通知に「国公法により任用・給与などは、原則、人事評価に基づき行われることとされている」旨の記述を追加することとしたい。
(2) 人事院における不服申立等の記載については、人事院における公平審査制度等の既存制度については、人事評価実施規程イメージの苦情対応要領において、「苦情への対応に際し、苦情の内容が、評価結果に基づき決定された任用・給与等に関するものである場合等には、内容に応じ、人事院に対して苦情相談、審査請求等ができ得ることを教示する」と記載し、周知することとしたい。
(3) 実施規程における職員団体の関与や同席者としての職員団体等の明示については、各府省において実施規程等を定める際に職員団体と意見交換することは有意義なことであると考えている。
(4) 事情聴取の際の同席者については、本人が希望する者であって「窓口が事実確認のため必要があると判断する場合」であれば、職員団体も含まれる。
これらの回答に対し、吉澤事務局長は、次の通り、さらに局長の見解を質した。
(1) 個別評価の開示については、各府省の実施規定にゆだねられることとなっている。われわれが求めた全面開示ではなく不満だが、各府省が実施規定を定める段階では、可能な限り広く開示するよう制度官庁として強力に指導願いたい。
(2) 新たな人事評価制度の円滑な実施にとって労働組合の苦情処理への参加・関与は不可欠としてきたが、それが制度的に保障されていないことは極めて不満といわざるを得ない。「職員団体」を同席者とすることができるという点については、現場で混乱を来さないよう、是非、当局に周知願いたい。
(3) 本格実施後においても、実施状況を点検し、必要な制度見直しを行うとの見解を示されたが、その際、われわれと十分交渉・協議することを約束されたい。
これに対し、村木局長は次の通り答えた。
(1) 個別評語など、具体的な開示範囲は各府省の実施規程で定められることとなるので、適切な開示範囲を定めるよう指導していきたいと考えている。
(2) 必要な制度見直しに対する交渉・協議については、制度の導入に向け、皆様方のご協力とご理解を賜るとともに、制度導入後にあっても、円滑に制度を運用すべく、引き続き意見交換を行っていきたいと考えているのでよろしくお願いしたい。
以上の回答に対し、国公各組合から@この間の府省間配置転換の経験で、府省ごとに任用、給与の取扱いが異なっていることが分かった。評価制度の導入に当たっては、統一性を確保することが大事だA職員の理解と納得性を得るためには、評価者が評価制度をきちんと理解することやコミュニケーション能力が重要であり、評価者訓練を徹底すべきだB個別項目の開示はぜひやっていただきたいし、各府省が実施規程を整備するときには組合の意見を踏まえるよう指導していただきたいC今後、実施に向けた作業について、問題が出てきたときは、総務省としてきちんと対応していただきたいし、われわれと引き続き協議をしてほしい、などの要望を行った。
これらの要望に対し、村木局長は「全体評語の開示は統一しており、個別評語については、今後、運用の中で改善すべきことは改善するということがよいと考えている。問題点があれば直していきたい。評価者訓練については、引き続き努力する。実施規程については、現場の組合の皆さんと話し合って整備されるものと考えている」などの考えを表明した。
最後に吉澤事務局長が、「政令案等をめぐっては、この間、われわれは「納得性のある人事評価制度の円滑な導入」を目標に交渉・協議を進めてきた。いろいろ努力をいただいた面もあるが、問題は、開示がどう扱われるかなど、各府省の現場でどのように運用されるかにある。この目標に照らして本日の局長「回答」は不満といわざるをえない。しかし、本格実施が目前に迫っていることも踏まえ、ぎりぎりの段階の政府の回答として受け止め、中央における交渉はひと区切りを付け、以後は、4月に予定される本格実施に向け各府省段階の準備に入っていきたいと考えている。そのため、19日の2009春季要求書の提出の際に、大臣から直接、評価制度の円滑な導入に向けた使用者としての取組みの決意を示してもらい、その見解を踏まえ、公務員連絡会としての最終的な態度を決定していきたい」との考えを述べた。これに対し、村木局長が「大臣にはきょうのお話を含め説明し、19日には大臣レベルの考え方をお示ししたい。始まったから終わりということではなく、これからも皆さんと話し合いながら進めていきたい」との考えを明らかにしたことから、これを確認し、本日の交渉を終えた。
以上