2009年度公務労協情報 30 2009年 2月27日
公務公共サービス労働組合協議会

公務員事務局が工程表に基づく"法律案骨子"を提示−2/27
−公務労協は「使用者の一方的権限強化は認められず、反対」と主張−

 国家公務員制度改革推進本部事務局(以下「公務員事務局」という」)は、27日16時から、公務労協に対し、別紙「国家公務員法等の一部を改正する法律案骨子(イメージ)」を公式に提示した。公務労協は、工程表の決定を受けて、13日に公務員事務局への申入れ(2009年度公務労協情報No.27参照)を行い、法案作成作業について十分な交渉・協議と合意に基づいて進めることを要求していた。
 交渉には、公務労協側から岩岬副事務局長ほかの実務交渉メンバーと構成組織担当者が参加し、公務員事務局側は淵上・古賀両審議官らが対応した。
 冒頭、古賀審議官が、今後のスケジュールについて「今、人事院を含めた各府省と議論をしており、来週以降、政府内や与党との調整を進め、客観的には非常に厳しい状況だが、10日の法案閣議決定を目指している」として、別紙に基づいて、現時点での法案の検討状況を説明した。
 これに対し公務労協側は、今後の交渉・協議スケジュールについて、実務協議、公務員事務局長、担当大臣との間で、十分交渉・協議し、合意するまで閣議決定を行わないことを強く求めた上で、説明内容について、次の通り公務労協としての考え方を主張した。
(1) 採用、任用等の企画立案を内閣人事・行政管理局(仮称)に移管することは、人事行政の公正中立性を損ねるものであり、反対である。
(2) 級別定数の内閣人事・行政管理局への移管についても、級別定数が勤務条件そのものであり、労働基本権が制約されているもとにあっては、代償機能として設定・改定が行われなければならないことから、反対である。仮に移管するということになれば、直ちに公務員の労働基本権を回復し、交渉で労働条件を決める仕組みに替えてもらいたい。
(3) 公務員の人事行政に強大な権限を持つ内閣人事・行政管理局を設計しており、全体として基本法の枠組みを大きく踏み越えている。立法趣旨を逸脱していると認識せざるを得ない。大きな権限を持つ内閣人事・行政管理局ができるにもかかわらず、労働基本権付与の検討が蔑ろにされていることは問題であり、一方的な権限強化は絶対に認められない。

 その後、級別定数の移管を中心として議論を行い、公務労協側が@級別定数は仕事の中身を給与上どう評価するかであり、勤務条件そのものだA基本法には一般職員を含めた級別定数の移管は書かれておらず、逸脱している、などと公務員事務局を追及したが、公務員事務局は「政府全体として人事管理に関する説明責任を果たすため、組織管理と一体の権限として移す必要があるという考えである、内閣人事・行政管理局に移したからといって交渉しないということではなく、国会で決まれば、どのように運用するかについて、人事院や組合と相談し、誠心誠意対応したい」などの見解を示すに止まった。
 最後に公務労協側は「本日示された法律案骨子の内容は、労働基本権が制約されているもとにおいては到底認められない。次回以降、基本的な問題はもとより具体的内容について議論をさせていただきたい」と強く要請し、本日の交渉を締めくくった。

(別紙)=3/4一部修正=

国家公務員法等の一部を改正する法律案骨子(イメージ)
(検討中)


1.幹部職員等の一元管理等関係
(1) 適格性審査及び幹部候補者名簿の導入
・内閣総理大臣は、幹部職に属する官職に係る標準職務遂行能力を有するか否かを判定するための審査(「適格性審査」)を行うものとする。
 ※ 幹部職員:長官、事務次官若しくは局長若しくは部長の官職、又はこれらに準ずる官職であって政令で定めるもの(「幹部職」)を占める職員。
・内閣総理大臣は、適格性審査に合格した者について、政令で定めるところにより、氏名その他政令で定める事項を記載した名簿(「幹部候補者名簿」)を作成する。
(2) 幹部職への任用
・幹部職への任命については、任命権者は、幹部候補者名簿に記載されている者であって、選考又は人事評価に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。
・この際には、政令で定めるところにより、あらかじめ内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議した上で、当該協議に基づいて行うものとする。
・内閣総理大臣又は内閣官房長官は、幹部職員について適切な人事管理を確保するため必要と認めるときは、任命権者に対し、幹部職員の任免について協議を求めることができるものとする。
(3) 幹部職員の公募
 幹部職員の公募は、@内閣総理大臣が任命権者から公募を行う旨の通知を受けた場合、又はA内閣総理大臣が任命権者と協議を整えた場合に、内閣総理大臣が政令で定めるところにより行うものとする。
(4) 幹部候補育成課程
・各大臣その他の機関の長は、幹部候補育成課程を設け、内閣総理大臣が定める基準に従い運用するものとする。
・内閣総理大臣は、各大臣等に対し、基準に照らして必要な措置を求めることができるものとする。
(5) 幹部職員の任用の弾力化
 幹部職員について、勤務実績等を勘案して、幹部職員の任用を適切に行うため必要がある場合に、その意に反して幹部職員の範囲内で降任することができることとする。
(6) 採用昇任等基本方針への追加
 採用昇任等基本方針に定めるべき事項に、@管理職への任用に関する基準その他の指針、A任命権者を異にする官職への任用に関する指針、B公募を行う幹部職及び管理職の数の目標設定等職員の公募の指針等を追加することとする。
 (注 採用昇任等基本方針:内閣総理大臣が採用、昇降任等の適切かつ効果的な運用を確保するため、閣議決定を求める方針。)
(7) 特殊性を有する幹部職等の特例
 会計検査院、人事院、検察庁、警察庁、いわゆる三条機関、実施庁の職員等について、職務の特殊性を踏まえた適用除外規定・特例規定等を整備する。

2.内閣人事・行政管理局(仮称)関係
(1) 内閣人事・行政管理局(仮称)の設置
 内閣官房に内閣人事・行政管理局(仮称)を置く。
(2) 内閣人事・行政管理局(仮称)の事務
@内閣官房の企画立案・総合調整事務のうち人事行政及び行政管理に係るもの
及び
A・国家公務員制度の企画及び立案に関する事務、
 ・中央人事行政機関たる内閣総理大臣の所掌する事務
   (注 採用試験、任用、級別定数、人事評価、能率、厚生、服務、退職管理等。B参照)
 ・特別職の国家公務員の給与制度に関する事務
 ・国家公務員の総人件費の基本方針及び人件費予算の配分の方針の企画及び立案並びに調整に関する事務
 ・行政制度一般に関する基本的事項の企画及び立案に関する事務
 ・行政機関の機構、定員及び運営に関する企画及び立案並びに調整に関する事務
 ・行政機関が共用する情報システムの整備及び管理に関する事務
 ・独立行政法人の新設、目的の変更その他当該独立行政法人に係る個別法等の定める制度の改正並びに廃止に関する審査を行う事務
 等をつかさどることとする。
B中央人事行政機関たる内閣総理大臣の所掌事務につき、級別定数の設定及び改定(指定職については号俸格付)、任用、採用試験(採用試験の実施を除く。)、研修(人事院が担う研修の実施を除く。)に関する機能を人事院から移管する。
 ※ 人事院から移管する機能については、内閣総理大臣は、人事院の意見を聴いて政令で定めることとするほか、人事院による報告要求や是正指示等、必要な措置を講ずることとする。また、内閣総理大臣は、人事院規則の制定改廃に関し、人事院に対し意見を申し出ることができることとする。(注:現行法上、人事院は、法令の制定改廃に関し、国会及び内閣に意見を申し出ることとされている。)
C内閣総理大臣の事務に、官民人材交流センターの運営に関する指針を定めること等を追加する。
(3) 内閣人事・行政管理局長(仮称)
 内閣人事・行政管理局(仮称)に、内閣人事・行政管理局長(仮称)を置き、これを特別職とする。内閣人事・行政管理局長(仮称)の俸給月額を定める。

3.国家戦略スタッフ等関係
(1) 国家戦略スタッフ(仮称)
@内閣官房に国家戦略スタッフを置く。
A国家戦略スタッフは、総理の命を受け、国家として戦略的に推進すべき基本的な施策その他の内閣の重要政策の企画及び立案について、総理を補佐する。
B国家戦略スタッフの定数は政令で定める。
C国家戦略スタッフの俸給月額を定める。
D国会議員は、国家戦略スタッフを兼ねることができることとする。
E内閣総理大臣補佐官は廃止する。
(2) 政務スタッフ(仮称)
@各府省に政務スタッフを置く。
A政務スタッフは、大臣の命を受け、特定の政策の企画及び立案並びに政務に関し、大臣を補佐する。
B政務スタッフの定数は政令で定める。
C政務スタッフの俸給月額を定める。
D国会議員は、政務スタッフを兼ねることができることとする。

以上