政府は、31日午前中の持ち回り閣議で、公務員制度改革の工程表に基づいて内閣人事局を設置するための国公法等の一部改正法案を決定し、国会に提出した。
閣議決定に対し、公務労協公務員制度改革対策本部は、別紙の「公務員制度改革の工程表に基づく法案の閣議決定に関する見解」を公表し、法案の一方的な決定に対し、強く抗議の意を表明するとともに、「閣議決定し、国会に提出した法案は断じて容認できる内容ではなく、連合、民主党、社民党などとも連携し、国会段階における対応に全力で取り組む」ことを明らかにし、引き続き、労使関係制度検討委員会の場における対応を強化し、労働協約締結権の付与による「自律的労使関係制度」の確立を含む民主的公務員制度改革の実現に向け、取り組んでいくこととしている。
また、構成組織の各級機関単位に内閣総理大臣と公務員制度改革担当大臣あての抗議打電行動に取り組むことにしている。
(別紙)
内閣人事局の設置等を定める「国家公務員法等の一部を改正する法律案」の閣議決定に対する見解
1.政府は、3月31日、「公務員制度改革に係る「工程表」について」(以下、「工程表」という。)に基づいて内閣人事局を設置することなどを内容とする法案を閣議決定し、国会に提出した。その内容は、内閣人事局を設置し、級別定数管理及び組織・定員管理を担わせるほか、任用、研修、試験の企画立案などの人事院の権限を大幅に移管するとともに、幹部職員の一元管理を行うというものである。
2.そもそも法案のもとになった工程表自体が、連合と公務労協による甘利公務員制度改革担当大臣に対する「最低限要求」に一切応えなかったものであり、われわれはその撤回を求めてきた。さらに政府は、工程表決定後の法案策定作業についても「誠実に話し合いを続けていきたい」との約束をしておきながら、われわれの意見を取り入れないばかりか、疑問に対して納得できる説明責任を果たさないまま、法案の一方的な決定を行ったものであり、強く抗議する。
3.法案は、基本法に定められた「自律的労使関係制度を措置」するための協約締結権の付与を先送りにする一方、級別定数という、勤務条件たる給与決定の重要事項を労働基本権制約の代償機関である人事院から使用者である内閣人事局に移管することとしており、絶対に認められないものである。このことは、労働基本権を制約したままで使用者権限を一方的に強化するものに他ならず憲法問題になるものである。移管を強行するのであれば、直ちに労働基本権を公務員に付与しなければならない。また、任用、研修、試験の企画立案は公務員人事管理の根幹である公正中立性を確保するための機能であり、人事院から内閣人事局への移管は、わが国公務員制度に重大な禍根をもたらすものと言わざるを得ない。さらに、幹部職員とは言え、その任用を弾力化することは、管理職員・一般職員への拡大を含め、成績主義の原則を損なうとともに、公務員人事管理に対する政治の介入を招くことが強く危惧されるところである。
4.政府が閣議決定し、国会に提出した法案は断じて容認できる内容ではなく、連合、民主党、社民党などとも連携し、国会段階における対応に全力で取り組む。
あわせて、労使関係制度検討委員会の場で本年中に結論を得ることとされている労働協約締結権の付与による「自律的労使関係制度」の確立に向け、連合と連携しながら、労働者側委員と一体となった取組みを強化していくこととする。
公務労協は、行政や公務員に対する信頼を回復し、国民の期待に応えられるよう、行政運営の基盤である公務員制度の改革に全力で取り組むとともに、ILO勧告を満たした労働基本権の確立と民主的公務員制度改革実現に向けて引き続き奮闘するものである。
2009年3月31日
公務公共サービス労働組合協議会
労働基本権確立・公務員制度改革対策本部
以上