公務員連絡会の委員長クラス交渉委員は、7日、鳩山総務大臣交渉を行い、1日に行われた夏季一時金の一部を凍結する人事院勧告の取扱い方針を質した。
この勧告について、公務員連絡会は勧告当日に総務大臣宛の要求書を提出し、「実施しない方向で慎重に検討すること」を要求したところであり(公務労協情報No48参照)、大臣から直接政府としての最終的な見解を聞くために実施したもの。
交渉は、国会内で12時10分から行われ、冒頭、岡部副議長が「夏季一時金臨時調査に基づく削減勧告の取扱いについては、1日に、「われわれと十分交渉・協議し、実施しない方向で慎重に検討すること」を求める大臣宛の要求書を提出し、事務レベルで議論してきた。きょうは、大臣から直接、勧告に対する政府の取扱い方針についての考え方を示してもらいたい」と政府の方針を質したのに対し、鳩山総務大臣は次の通り答えた。
(1) 政府は、去る5月1日に、人事院勧告を受け取ったところでありますが、総務省としては、明日、給与関係閣僚会議の開催をお願いし、その取扱いについて検討いただくこととしているところであります。
(2) 人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置の根幹をなすものであり、政府としては、同制度を尊重するとの基本姿勢を堅持してきたところであり、総務省としては、従来からの基本姿勢の下、人事院勧告制度を尊重すべきとの立場で意見を申し上げることを予定しております。
(3) その結果、明日の給与関係閣僚会議においては、国家公務員の期末・勤勉手当について勧告どおりの取扱いとする旨の決定をしていただきたいと考えております。
(4) 職員の皆様におかれては、今回の決定が現下の厳しい経済社会情勢等の下でなされるものであることを十分ご理解いただきたいと考えております。
回答に対し、岡部副議長は次の通り述べ、仮に勧告通り実施することになるのであれば、強い抗議の意を表明せざるを得ないことを表明した。
(1) 本年夏の民間の一時金はきびしい経済情勢の下で大きく落ち込んでおり、われわれも、この民間の状況が、夏の勧告を経て公務の一時金に反映されるものと認識している。
(2) しかし、今回の夏季一時金削減勧告は、これまでの給与勧告のルールを一方的に見直して、対前年増減比という精確性・納得性のない、わずか340社の調査結果に基づいて行われたものである。そうした納得性のない勧告を、政府がそのまま実施することは人事院勧告制度に対する信頼性を大きく損ない、労働基本権制約の代償措置としての現行の賃金労働条件決定制度を自ら傷つけてしまうことになるものと考えている。また、いまだ未決着の中小・地場企業の一時金に悪影響を与え、政府全体で取り組んでいる景気刺激策にも反することとなる。
(3) われわれと十分交渉・協議し、慎重に検討するよう求めてきたにもかかわらず、明日、給与関係閣僚会議を開いて政府の取扱い方針を決定するという大臣の回答は、6月1日の一時金基準日までの法改正を念頭に置いた拙速な姿勢であり、われわれとしては到底認められない。
仮に、われわれの反対を無視して政府が勧告通りの実施を強行する場合は、強い抗議の意を表明せざるをえない。
これに対し鳩山大臣は、「お話の中には理解できる部分もあり、意見があることは承った。明日は、申し上げたように実施することを決めることにしているので、特別の措置であるいうことでご理解願いたい」との考えを示すにとどまった。
以上