6月25日午後1時より開催された衆議院本会議において、国家公務員法等の一部を改正する法律案の趣旨説明及び代表質問が行われた。
この法案は、内閣人事局を設置し、級別定数管理及び組織・定員管理を担わせるほか、任用、研修、試験の企画立案などの人事院の権限を大幅に移管するとともに、幹部職員の一元管理等を行うというもので、国家公務員制度改革基本法に定められた自律的労使関係制度を措置するための協約締結権の付与を先送りにする一方、給与決定の重要事項である級別定数を人事院から内閣人事局に移管するという、断じて認められないものである。
代表質問は、民主党・松本剛明衆議院議員、自民党・中馬弘毅衆議院議員、公明党・上田勇衆議院議員が行った。
松本衆議院議員は、「本法案は、明らかに基本法の趣旨をこえて肥大化している。自律的労使関係制度を構築すれば、人事院についてその存廃を含めた抜本的な見直しをすることになるが、労働基本権についての実質的な検討を行わないまま、定数査定権限を移管することには重大な疑義が生じる。労使関係制度検討委員会が設けられ、本年中に結論を出すこととなっているが、意義ある結論を得ることができるのか疑問だ。労働基本権の制約は、ILOから再三勧告を受けているが、条約違反の現状認識があるか。基本法に照らせば、法案には大きな問題があり、過ちを正すべきでないか」などと指摘した。
これに対し麻生総理は「本法案は、国家公務員制度改革基本法及び同法の国会審議を踏まえて立案したものであり、政府として、現在のものが最善のものと考えている」と答弁した。また、甘利大臣は「現行制度のもとにおいても人事院勧告制度をはじめとする労働基本権制約の代償措置は、ILOの原則を踏まえて適切に機能している。労働基本権のあり方については、労使関係制度検討委員会を設置し、精力的に検討いただいている」との見解を明らかにした。
なお、法案は、内閣委員会に付託されることとなるが、今後の審議日程等は未定となっている。
公務労協は、行政や公務員に対する信頼を回復し、国民の期待に応えられるよう、行政運営の基盤である公務員制度の改革に全力で取り組むとともに、ILO勧告を満たした労働基本権の確立と民主的公務員制度改革を実現する立場から、連合との連携のもと、法案の抜本的修正または政府原案の廃案に向けた対応を強化する。
以上