2009年度公務労協情報 66 2009年 7月14日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

公務員連絡会が人勧期第1次中央行動を実施−7/14
〜月例給維持、一時金月数確保等生活防衛に全力で闘うことを意思統一〜


 公務員連絡会は、14日、2009人勧期第1次中央行動を実施し、中央決起集会、人事院交渉及び交渉支援行動に取り組んだ。
 午後1時30分から社会文化会館ホールで開かれた7.14第1次中央決起集会には全国から800名の仲間が結集し、経済危機の下、公務や公務員給与を取り巻く情勢が昨年以上に厳しいなか、月例給水準の維持と公務員労働者の生活を守る一時金支給月数の確保、非常勤職員の処遇改善、実効性のある超過勤務の縮減などの要求に沿った人事院勧告の実現に向けて、取組みを強化する決意を固めあった。
 この日の幹事クラス交渉委員と人事院職員団体審議官との交渉では、人事院に対し要求実現を求めたが、審議官は情勢が極めて厳しいことを強調する一方、集計作業中であることを理由に勧告に向けた明確な見解を示さず、極めて不満な回答内容にとどまった。
 午後1時30分から社会文化会館ホールで開かれた中央集会で、冒頭、主催者を代表して挨拶にたった岡部副議長は、国会情勢を報告した上で「民間企業では一時金のみならず月例給与も厳しい状況にあることが各種調査で示されており、今年の人勧は極めて厳しい情勢にある。例年以上に取組みを強め、勧告に向けて最後までともに闘おう」と総決起を訴えた。
 激励挨拶に駆けつけた連合の團野副事務局長は「5月の一時金勧告の背景に政府・与党の介入があったことは明確だ。労働基本権を制約したままで公務員の給与を引き下げようとしている。公務員給与が下がれば地場の民賃に悪影響を及ぼす。公務員組合の皆さんには明確な主張と追及をお願いしたい」と連帯の挨拶を行った。
 続いて吉澤事務局長が、内閣人事局を設置するなどの国家公務員法等改正法案の審議動向を報告した上で、「今年の人勧では、月例給水準については、過去に例のない厳しい状況であり、対応の強化が必要だ。一時金については、組合員の生活を守るために必要な月数を確保するため取組みの強化を図る。厳しい状況の時こそ、厳しいことを組合員にそのまま伝え、それを運動の強化に結びつけなければならない。最後まで取組みに結集しよう」と、厳しい情勢の中で最後までの取組みを提起した。
 構成組織決意表明では、日教組・小西書記次長、国公総連・小田全財務書記次長、全水道・岡書記次長が登壇し、単産や職場の取組み報告も含め、力強くたたかう決意を表明した。
 集会を終えた参加者は、人事院交渉を支援する行動に移り、「月例給の水準を守れ」「非常勤職員の処遇を改善しろ、雇用を守れ」「一時金の支給月数を確保しろ」とシュプレヒコールを繰り返した。人事院前で行われた総括集会では、職員団体審議官との交渉経過の報告を受け、団結ガンバロウで行動を締めくくった。
 この日行われた人事院職員団体審議官との交渉経過は次の通り。

<職員団体審議官交渉の経過>
 幹事クラス交渉委員と井上職員団体審議官との交渉は15時から行われた。
 冒頭、岩岬副事務局長が、「6月24日には、総裁に2009年人勧期要求を提出したので人勧に向けた作業状況と合わせて現時点での中間的な回答を示していただきたい」と審議官の見解を求めたのに対し、井上審議官は次の通り答えた。

(1) 民間給与実態調査は、5月1日〜6月18日までの予定で行った。
 一部の地方自治体において夏季一時金の特別調査と重なったため数日の遅れが出たところもあったものの無事終了し、現在、集計中である。
 国公実態については、最終的な取りまとめ段階に入っているところである。
(2) 官民較差については、現段階では何とも言えないが、本年の民間企業の賃金改定の状況についてみると、いずれの調査においても昨年を下回る結果が出ており、「毎勤調査」の対前年同月比でも、昨年12月からマイナスに転じ、今年4月は1%を超える減となっており、国営企業は現行水準維持で妥結したものの、プラスとなる要素は特に見あたらず、昨年以上に厳しい状況にある。
(3) 一時金については、民間の今年夏のボーナスの春闘期における妥結状況が前年に比べ大きく落ち込んだことから、6月期の期末・勤勉手当について、このような状況に緊急に対応するための臨時の勧告を行ったところであるが、その後の各種調査においても改善はみられず、民調結果については集計中であり何とも言えないが、引き続き極めて厳しい状況にあるものと認識している。
(4) 地域間の給与較差の状況については、今勧告の報告で、公表する方向で作業を進めている。
(5) 自宅に係る住居手当については、昨年勧告の報告及び今春闘期における総裁の回答でも申し上げたとおり、今年の勧告で廃止について勧告する方向で作業を進めている。
(6) 新たな人事評価制度及び評価結果の任用・給与等への活用に関する制度については、人事院規則等の改正を行い、本年4月から施行されている。
 また、新たな人事評価制度は、多くの府省では、本年10月から実施することになっていると承知しているが、制度施行後においても、円滑かつ公正な活用が実施されるよう、その実施状況等を見極めながら、引き続き職員団体や各府省のご意見も伺いつつ、本院としても適切に対応していきたい。
(7) 非常勤職員の給与については、昨年8月に指針を発出したことを踏まえ、今般各府省における給与の決定方法等についてのフォローアップを行い、現在その結果の取りまとめを行っている。今後その結果も踏まえ、指針の内容がさらに徹底されるよう必要な指導等を行っていきたいと考えている。
 また、非常勤職員の「定期健康診断」についても検討を進めている。
 非常勤職員の問題は、昨年の報告で言及したとおり、業務運営の方法、組織・定員管理、予算、人事管理方針などと密接不可分の関係にあることから、政府全体として、幅広くその在り方について検討することが必要と考えている。現在、政府として、事務的な検討が進められているところであり、人事院としてもその検討に参加するとともに、任用形態の在り方等について検討を進めるなど所要の見直しに取り組んでいるところである。
(8) 超過勤務の問題については、政府全体として、在庁時間の縮減に取り組むこととしており、その実態把握や実現に向けての対応など検討しているところである。
 現在、各府省における在庁時間の状況や具体的取組み状況等を精査している段階であり、今後、それらの結果の全体がとりまとめられた段階で、職員団体に対してもお示しすることを考えている。
 いずれにせよ、本院としても、引き続き各府省と連携しつつ在庁時間及び超勤時間の削減の徹底について取り組んでいきたい。
 昨年12月の労基法の改正により、民間において来年4月から残業手当の割増率の改正及び代替休暇の新設が行われることに伴う所要の措置については、先に措置案をお示ししたところであるが、これを踏まえ、ご意見を伺いながら検討しているところである。
(9) いわゆる民間の育児・介護休業法の改正に伴う育児休業制度等の改正についても、先に措置案をお示ししたところであるが、これを踏まえ、ご意見を伺いながら検討しているところである。
(10) 公務員の高齢職員の雇用問題については、研究会の最終報告書が近日中にも提出される運びとなっている。
 今後は、この報告書を踏まえつつ、人事院として現在60歳と定められている定年年齢を平成25年から段階的に65歳まで延長することを中心として、具体的な措置について検討していくこととなるが、この問題については幅広く理解を得ることが重要であり、職員団体、各府省、その他の関係者のご意見を十分伺いながら検討を進めていきたい。

 これに対し公務員連絡会側は、次の通り、審議官の見解を質した。
(1) 総選挙の日程が固まったが、勧告の日程は例年通りか。
(2) 月例給は昨年以上に厳しいとのことだが、マイナス較差が避けられないという認識か。
(3) 民間企業では一時帰休やワークシェアリングなどにより、労働時間が短くなり結果として賃金が下がっているところも多いのではないか。公正な比較を行って、月例給与水準を維持できるよう最大限の努力をお願いしたい。
(4) 一時金については、生活が激変することのないよう、最後まで月数確保に努力願いたい。
(5) 地域別官民較差の公表については、比較の方法、公表の仕方について、われわれと十分話し合っていただきたい。また、本年、その結果に基づいた新たな措置は取らないことを約束してほしい。具体的な比較方法は2005年と同じか。
(6) 自宅に係る住居手当の廃止に言及されたが、住居手当全体の検討の中で慎重な検討を求めてきたところであり、全体の見直しについてどう考えているのか。また、廃止は地方公務員に大きな影響を与えるので、国と地方自治体の住宅政策が異なることについて言及するなどの配慮をしていただきたい。
(7) 特地勤務手当については言及がなかったが、勧告以降、具体的な議論を進めるということか。
(8) 非常勤職員の任用形態について検討しているとのことであるが、日々雇用をやめて1年以内の任期雇用という考えで政府全体の方針を固めてほしい。問題は、非常勤職員の現状を改善することにあり、雇用の安定確保、勤務条件の改善のための制度見直しにしていただきたい。また、休暇制度への言及がなかったが、検討しているのか。
(9) 労基法改正に伴う超過勤務手当割増率引上げ等の課題については、われわれの申入れを踏まえて、本年の勧告の際に措置していただきたい。
(10) 育児休業・介護休暇制度の見直しについては、非常勤職員にも適用することを真剣に検討してほしい。
(11) 「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会」の報告がまとまると聞いており、本年の報告で、60歳代前半の雇用確保についての意見の申出を行う時期を明記していただきたい。また、給与体系の検討について重大な関心を持っているので、前広に議論させていただきたい。

 これらの追及、要求に対し、井上審議官は、次の通り答えた。
(1) 勧告日がいつとは言える段階ではないが、作業は例年ベースで進めている。
(2) どの民間調査結果を見ても昨年より厳しい内容であることを申し上げたものであり、官民較差そのものは今の段階では何とも言えない。
(3) 地域別官民較差の公表については、適切に対応するよう作業を進める。比較方法については、2005年の取扱いが基礎になる。来年4月に地域手当、本府省手当の残りの部分が措置されると、給与構造改革は一巡する。その後のことについては、昨年の勧告の際、@地域間の配分A能力・実績主義の一層の推進B60歳代前半の雇用への対応、の三つの観点から検討を行っていくことを報告したところであり、引き続きこのような観点から検討していくことに変わりはない。
(4) 住居手当については、昨年の報告、本年春の総裁回答で高額家賃を支払っている者についての取扱いを検討することを表明しており、民間の支給状況を踏まえつつ、官民較差の状況も見ながら、検討していくという問題意識に変わりはない。国と地方の住宅政策の違いについて、人事院として言及するのは難しい。自宅に係る住居手当廃止については、これまで手順を踏んで丁寧に進めてきたところであり、昨年から大きな事情の変化はないので昨年示した方向で進めたい。
(5) 特地勤務手当については、勧告後に具体案を提示し、議論をして参りたい。
(6) 非常勤職員の問題は多岐にわたるが、日々雇用は古い閣議決定もあり、定着はしているが、勤務実態との間にズレがあることは承知しており、勤務条件の基本であることから、実態、実情に合うよう、整理できないかどうかを考えて行く。また、非常勤職員の休暇制度についても検討を進めている。
(7) 労基法改正への対応については、本年勧告で対応することにしている。
(8) 60歳代前半の雇用確保の今後のスケジュールは、2013年4月までに制度を用意する必要があることから、準備期間を1年とすると2012年4月までには法改正が必要であり、2011年の通常国会または臨時国会に改正案を提出する必要がある。したがって、遅くとも2011年早々か2010年末までには、意見の申出を行わなければならないというスケジュールが想定できる。報告でどう書くかは別にして、それに向けて、関係者が認識を持てるような対応を進めていきたい。

 以上の審議官の見解に対し、公務員連絡会側はさらに、@自宅に係る住居手当は地方公務員への影響が大きく、組合員も納得していない。地方公務員に配慮した整理をしていただきたいA昨年、非常勤職員給与のガイドラインが示され処遇改善が図られたが、一時金については「努める」という表現に止まったことから十分な改革に繋がっていない。フォローアップを進める中で改善していただきたいB官民較差については、十分な交渉協議ができるよう、早目に示していただきたい、重ねてと強く迫った。
 これに対し井上審議官は、@自宅に係る住居手当は国家公務員の給与の中で小さくなっており、役割は終わったと認識しているA非常勤職員給与のガイドラインはフォローアップをしており、任用形態をきちんとしていく中で一歩一歩進めていくB配分についてできるだけきちんと議論する必要があることは認識しており、できる限りの対応をしたい、との考えを示した。
 以上のように審議官が具体的で明確な見解を示さなかったことから、最後に、岩岬副事務局長が「中間回答とはいえ、全体として具体性がなく不満だ。較差について厳しい認識が示されたが、人勧制度の意義を踏まえ、公務員の生活擁護という原点に立ち返って月例給をなんとしても守ってもらいたい。本日申し上げた要望を踏まえ、24日には勧告・報告の全体像が明確となるような回答を示していただきたい」と強く要請し、本日の交渉を締めくくった。

以上