2009年度公務労協情報 69 2009年 8月 3日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

第3次中央行動を実施し、給与局長と再交渉−8/3
−"俸給表改定を要するマイナス較差、一時金は凍結分を相当上回る引下げ"と回答−

 公務員連絡会は、3日、第3次中央行動を実施し、給与局長と二度目の交渉を行うとともに、人事院前交渉支援行動に取り組んだ。
 この行動は、24日に実施した2009人勧期第2次中央行動の際の交渉で給与局長から明確な回答が示されなかったことから実施したもので、本日の交渉で局長は、@勧告日は来週の前半で調整中A月例給の官民較差は俸給表改定の必要がある程度のマイナスで配分は職員団体の意見を聞くB一時金は本年6月期の凍結分を相当に上回る月数の引下げとなるC定年延長は平成22年中に意見の申出を行えるよう検討を進める、などの回答を示した。このため、公務員連絡会側は「本日の回答は月例給、一時金ともマイナスというものであり、要求からすれば不満だ。総裁交渉に向けて、公務員の生活を防衛するよう、最大限努力していただきたい」として、最後の努力を求めた。
 公務員連絡会は、交渉終了後、企画調整・幹事合同会議でこの内容を分析し、勧告をめぐる認識を確認した。公務員連絡会は、勧告日前には委員長クラス交渉委員による人事院総裁との交渉を行い、最終的に勧告内容を確定することとしている。
 この日行われた人事院給与局長との交渉経過は次の通り。

<人事院給与局長交渉の経過>
 人事院吉田給与局長との交渉は、午後2時から行われ、公務員連絡会側は書記長クラス交渉委員が臨んだ。
 冒頭、公務員連絡会吉澤事務局長が今日時点での局長の回答を求めたのに対し、吉田局長は、以下の通り回答した。

1 勧告日について
 「来週の前半」で、調整中である。
 具体的な日程は、総裁会見の際にお伝えする。
2 官民較差について
 月例給については、俸給表の改定を検討する必要がある程度のマイナスとなる見込みである。
3 月例給の改定について
@ 俸給表の引下げの場合、若年層をどうするかは検討課題と認識している。
A 配分については、職員団体のご意見も踏まえながら最終的に決めたいと考えている。
4 特別給について
 特別給については、現在、集計の最終段階ではあるが、今年夏は、各種調査の結果でも示されているように、大きなマイナスとなっているため、年間では、本年6月期の臨時的措置による凍結分を相当に上回る月数の引下げにならざるを得ない見通しである。
 引き下げる場合の「期末・勤勉手当の割り振り」については、本年6月期の臨時的措置における取扱い、民間ボーナスにおける配分の状況、また、今回は相当大きな引下げ改定が予想されることなどを総合的に勘案して、期末・勤勉手当に振り分けたいと考えている。
5 高齢対策について
 公務員の高齢職員の雇用問題については、先日の会見でも、「研究会の最終報告を踏まえつつ、人事院として、現在60歳と定められている定年年齢を平成25年度から段階的に65歳まで延長する仕組みの実現に向けて検討していくこととしている。」とお話ししたところである。
 今後の具体的なタイムスケジュールとしては、遅くても23年中には国家公務員法等の関係法律等の改正・整備が必要であり、本院としては、それらを逆算すれば、22年中を目途に具体的な立法措置のための意見の申出を行うことができるよう、本年秋以降にも、定年延長に係る人事管理全体の見直し等に関する個別課題について、何らかの方向性・考え方等を示しながら関係各方面と幅広く意見交換を重ねつつ、鋭意検討を進めていきたいという趣旨を報告に盛り込むことを考えている。

 回答に対し公務員連絡会側は、次の通り局長の見解を質し、要求実現を迫った。
(1) 官民較差については、マスコミ報道もされており、組合員の関心も強い。もう少し明確に答えていただきたい。
(2) 前回の交渉で、一時帰休やワークシェアリングの影響は小さいとの考えが示されたが、影響がないわけではないことや今の時点では回復しているということもあるのではないか。
(3) 地域の官民較差はどういう状況になっているのか。
(4) 一時金について「凍結分を相当に上回る」というのは、どのくらいの月数になるのか。
(5) 自宅に係る住居手当の廃止は地方に対する影響が大きいので、改めて慎重に検討することを要請する。少なくとも国家公務員の事情に基づく廃止であることを明確にしてほしい。
(6) 高齢雇用施策については、個々の問題を含めて十分議論させていただきたい。

 これに対し吉田局長は、次の通り答えた。
(1) 具体的な数字は、勧告の際、明らかになるので、今申し上げたように「俸給表の改定を検討する必要がある程度のマイナス」ということを受け止めていただきたい。
(2) ワークシェアリングを行った事業所は少ないし、従業員はさらに少ない。一時帰休はワークシェアリングよりは多いが現場が中心であり、そういう意味で大きな影響は出ていない。賃金実態は4月時点で把握しており、年の途中で上下することもあるが、それも含めて翌年の時点で把握する以外にない。
(3) 地域給与の水準については、平成17年の場合と同様に、官民の地域別の数字を出して前回の3年平均の数字4.8%と比べてどうかということを示すことにしており、数字は前回と比べ縮まっている。
(4) 一時金について「相当に上回る」というのは、本年夏は大幅に下がっており、昨年冬も厳しい状況であり、総体としては極めて厳しいということを申し上げている。今の段階で月数は申し上げられない。
(5) マイナス較差となるので手当の分は住居手当を充てたいと考えている。新規財形融資の申込みが激減しており、当分の間維持するとしていたが、その意義が薄れたということなどを報告で説明したい。
(6) 高齢雇用施策については、順次人事院としての考え方を提示し、各府省の実情を把握するなど関係者の意見を聞きながら検討していくこととしたい。

 最後に吉澤事務局長が「月例給のマイナス較差の配分や一時金の割り振りについては、別途、十分議論をさせていただく。本日の回答は要求からすれば不満だ。総裁交渉に向けて少しでもマイナスを圧縮し、公務員の生活を防衛するよう最大限努力していただきたい」と強く求め、交渉を締めくくった。


以上