2010年度公務労協情報 10 2009年12月22日
公務公共サービス労働組合協議会

「地域主権改革」で逢坂首相補佐官に要請−12/22
−国・地方の役割分担明確化、人材移管の仕組み整備等を求める−

 公務労協は、22日15時から、総務省内で地方主権改革担当の逢坂首相補佐官と会い、別紙の「「地域主権」改革に対する要請について」の申入れを行った。
 この申入れは、新政権の下で地域主権戦略会議が設置され、今後、地域主権に資する施策が検討されることになることから、国・地方の役割分担の明確化、国の出先機関見直しに関わる人材移管の仕組みの整備などを求めて行ったもので、公務労協側は吉澤事務局長のほか、自治労、国公連合、国公総連、国交職組、林野職組の関係構成組織の書記長等が参加し、政府側は逢坂補佐官、地域主権戦略室の高野・吉田両参事官が対応した。
 冒頭、吉澤事務局長が要請事項に対する見解を求めたのに対し、逢坂補佐官は次の通り答えた。

(1) 地域主権改革は、リストラや効率化だけが目的ではなく、究極的には国民のためのものでなくてはならない。それは、公共サービス基本法の基本理念にも共通するものである。
 とりわけ国の出先機関の見直しについては、民主党が掲げている補完性の原理を貫徹していく中で、国と自治体の関係や事務のあり方を見直し、その結果として国の出先機関を見直すことになると考えている。
(2) 今後の地域主権改革の進め方については、12月15日に閣議決定された「地方分権改革推進計画」において、地域主権戦略会議を中心に、地域主権改革の推進に資する諸課題について更に検討・具現化し、改革の実現に向けた工程を明らかにするとされているところである。
(3) また、これに先立ち12月14日に開催された地域主権戦略会議(第1回)では、「地域主権戦略の工程表(案)(原口プラン)」が示された。今後、この「工程表(案)」を土台にして改革の工程が検討されることとなる。
(4) こうした取組みにあたっては、公務労協の皆様方を含め関係各方面のご意見もよくお聞きしながら、「地域主権戦略会議」において検討を進めてまいりたい。
(5) 自公政権下の地方分権改革推進本部で決定された、第2次勧告を受けての「出先機関改革に係る工程表」については、「分権計画」において、言わば「上書き」され、出先機関の見直しについては「地域主権改革の推進に資する諸課題」の一つとして「更に検討・具現化」するものとされているところである。第2次勧告をそのまま鵜呑みにするものではない。
 また、「人材調整準備本部」については、地域主権戦略会議を設置した11月17日の閣議決定において「地方分権改革推進本部」が廃止されたことに伴い、廃止されているが、国の出先機関の見直しに当たっては、職員の雇用の確保を前提として、人材の移管等を丁寧に進めていく必要があると考えている。

 逢坂補佐官の見解を受けて、関係構成組織の代表が次の通り要請を行った。
(1) 新政権が、新たな政策を全国展開していく上で必要な事務・事業を精査し、組合員の雇用と労働条件に十分配慮しながら検討を進めていただきたい。また、公務労協や関係組合との前広な協議を行っていただきたい。
(2) 国の出先機関の原則廃止という言葉が先に出ており、組合員は結論ありきの検討が行われるのではないかとの危惧を持っている。ぜひとも丁寧な検討と結論をお願いする。
(3) 国の出先機関見直しの検討に当たっては、財源と人員移管の問題も含めて検討していただきたい。また、国と地方との意見交換の場を設けていただきたい。
(4) 全国知事会が、国の出先機関の事業仕分けを行っていることを危惧している。まずは、事務・事業をどうするかという基本的な論議を行い、最後に組織見直しの検討を行うよう、丁寧な論議をお願いする。
(5) これまでの地方分権の検討は、国民や住民の生活にどのような影響があるのか、誰にもわからないまま進められてきた。これでは納得性がないので、見える形での議論を進めていただきたい。

 要請に対して逢坂補佐官は、「民主党の地域主権改革の基本的な考え方は、@補完性の原理を大事にすること、A自治体のことは基本的には自治体で決められること、B権限や財源はなるべく責任のあるところへ戻すこと、C主権者である住民に一番身近な市町村を重視すること、というものである。これらを念頭に置きつつ、検討に当たっては丁寧を旨として、本日の要請内容も踏まえて対応していこうと考えているので、今後もいろいろとご意見をいただきたい」と述べた。

 最後に吉澤事務局長が、「年明け以降、地域主権戦略会議などで具体的な議論が始まるが、丁寧な議論が行われるよう重ねてお願いする」と要請して、申入れ交渉を締めくくった。

(別紙)

2009年12月22日

内閣府特命担当大臣 (地域主権推進)
 原口 一博 様

公務公共サービス労働組合協議会
議長  中村 讓

「地域主権」改革に対する要請について


 日頃から、国民生活の安心と安全をはかるためご尽力されていることに対し、心から敬意を表します。
 さて、地方分権改革推進委員会は先日、鳩山総理に対し税財政に関わる第4次勧告を行い予定した全ての勧告を終了しました。政府は、これら勧告を踏まえ地域主権戦略会議を設置し、「地域主権」に資する改革に関する施策を検討し実施する、としています。
 私たち公務労協は、地方分権とは、社会経済情勢の変化に対応した形で国と地方自治体の行政の役割分担を見直し、その上で、より地域に密着した地方自治体が国民生活に不可欠な公共サービスを住民のニーズにそって遂行できるようにするもの、と考えています。
 その意味で、臨時国会における鳩山総理の「『人間のための経済』を実現するために、私は、地域のことは地域に住む住民が決める、活気に満ちた地域社会をつくるための『地域主権』改革を断行します」との所信表明演説に賛同するものです。
 一方、この改革では、国の権限などの地方自治体への移譲に伴う国の出先機関の廃止も想定され、該当職員は雇用不安を募らせています。また、受け入れ側の自治体にとっても、財政上の負担のあり方など様々な課題が生じるものとなっています。
 いずれにせよ、地方分権の本旨を踏まえた改革が重要であり、「行革、総人件費削減」を目的とした改革であってはなりません。
 つきましては、今後の「地域主権」改革の検討にあたり、下記事項が実現されるよう要請いたします。



1.「地域主権」改革の検討にあたっては、公共サービス基本法の基本理念である、「安全かつ良質な公共サービスが、確実、効率的かつ適正に実施されること」を前提に、国と地方の役割分担の明確化、基礎自治体が担うべき事務や役割範囲の特定等を明確にして進めること。

2.国の出先機関の見直しに当たっては、政府の責任において国家公務員の雇用と生活を確保することを明確にした上で、人員移管の仕組み等の整備に万全を期すこと。

3.国の出先機関の見直しをはじめ、「地域主権」改革の具体化にあたっては、公務労協及び関係組合と十分な協議を行い、合意の上に進めること。

以上